北海道新聞 2007/11/20 掲載より わらべうた
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叱られて
1.叱られて 叱られて
あの子は町まで お使いに
この子は坊やを ねんねしな
夕べさみしい 村はずれ
こんときつねが なきゃせぬか2.叱られて 叱られて
口には出さねど 眼になみだ
二人のお里は あの山を
超えてあなたの 花のむら
ほんに花見は いつのこと
・・・切り絵・村上保 ・・・
小さいときこの歌を初めて聞いて、なぜか「怖い歌だ」と感じた記憶がある。確かに広田龍太郎のメロディーの作りが、最初はメジャー調なのに途中から急にマイナー調に変わって、そこがやたら怖い感じがしたのかもしれない。
叱られて町までお使いに出されるという、詩の中の主人公を自分に置き換えたかもしれない。
この詩の子供はきっと奉公人か、なさぬ仲の親子に違いない。でなければ、夜になって叱られた後に、♪こんときつねが・・・出てきそうな場所をわざわざ通って、お使いに出されるとは思えないからだ。
実は作詞した清水かつらは、4歳で実母と生き別れ、随分と寂しい日々を送っていた。継母は、かつらをとてもかわいがってくれたというが、その後に弟妹が何人もうまれた。きっと口では言い表せない寂しさがあったはずだ。この歌に潜んでいる悲壮の色や、こわさの感覚はそのあたりに鍵が隠されている気がしてならない。 合田道人(作家・歌手)
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久しぶりのシリーズで