Yassie Araiのメッセージ

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朝日記220613  「技術圏」、ゴーレムと集合的ディスポジションなどその2

2022-06-16 10:29:32 | 絵画と哲学

朝日記220613  Carsten Hermann-Pillathの「技術圏」、ゴーレムと集合的ディスポジションなどその2

 (その1に帰る) 朝日記220613 研究ノート 課題としてCarsten Hermann-Pillathの「技術圏」その1 

 (目次に帰る)朝日記220513 研究ノート価値客観主義と価値主観主義の相克について

3 本論文のまとめとして 

3.1 Pillathの論文からかんがえること;「技術圏」それ自身が意味がるのか?~

Pillathの定義によると「技術圏」科学は「技術圏」を知るための学問(科学)とする。

その知る対象の「技術圏」はなんであるかという設問は、認識論的には Ask the question

となり前提そのものに問いが向けられる公理主義の課題としては矛盾にはいり、普遍解をもとめる設問としては成り立たない。しかし、その現象についての仮説モデルにたいして実証解をひとまず見出す論理再帰(アルゴリズム解)を求めることは可能である。

その存在の在り方に着目しての現象的存在Phenomenological Ontological existence solutionsに着目するのである。

いま、ある技術(空を飛ぶ)という現象があり、飛翔を可能にするであろう属性項目が上げられたとする。

その属性を使って技術を表現してみることができるか。

たとえば、空を飛ぶということを可能にする手段とその実現のための行動をすることを目的するのための「技」の行為をひとつの仮説現象としよう。

仮説現象は、行為の結果を人間自身が知覚して、これを同じ目的であった他の行為の結果と比較して、共通と相違をしらべよう。 そして目的により近づく行為のプランを立て、行動に入る。その計画と結果の差異からの次の行動をおこすサイクルはまた仮説現象といえよう。 飛ぶことからみれば、鳥をみて翼の形状に気が付いたであろう。 肌に感じる風の実体(空気)に乗るというイメージを獲得したかもしれない。 止まっているよりも動いたほうが浮力を生むことも獲得したかもしれない。動かすのには、安定が必要で飛翔体の重心の位置の調整に気付いたかもしれない。

これを言葉にすることもできるが、この技の実現に直に関わる者は、言語はきわめて少なくでもよいであろう、たとえば 「よし」と「だめ」だけでもよいくらいであろう。

ひとりではなく、仲間と一緒ならば、体験を共有すれば、技の要点と改良点に言語はいらない。

言語がいる場合は、その技の遂行のために工作場や、材料、工具、実験場などの獲得が必要である。 技の当事者が財力を所有して投入が自由であれば、ここもまた、言語は要しない。 往々、財の提供者が必要であるから、ここから言語が必要となる。もっとも、財力提供者が、この技の持ち主の行為の場を一目みて、「よし」と「だめ」を出すこともありうる。 言語が必要になるのは、ある技の成功が、実際に飛ぶということのもつ他へのインパクトであろう。これも一目瞭然で、技の主が群衆に見せるだけで十分であろう。

飛ぶ技術は、伝搬していく。

好い事ばかりではない。飛ぶ技術体で人がケガをしたり、不幸にして死傷事故がおきたりする。すると、社会の反応は如何になるであろうか。 危ないものは、やめるべきだという意見がでてくる。 技の当人は、その技に集中しているから、止めないであろう。その社会の合意で、強制停止がなされる。

一方、技が伝搬しているから、他の地での同好競合の士がいて、これが競争で、よりよいものを造り上げる。その地では、それが、自分たちの能力と勢力の顕示になるというなら、積極的にこれを応援する。つまり、差別化である。

これは、一般には経済の問題として論じられるが、飛ぶという技の開発ということを知るものとの間にはギャップがある。 技の部外者は、その技に関心があるか、無いかはそれに何らかの関わりをもったかどうかで、その態度がきまるであろう。 技によってあるものが生まれる(人工体という)。この産もうと言う行為は、生物の増殖と似ている。抑えがたい本能がそこにあるのであろう。人工体というのは、結局、だれかが産む、そして拡散するが、その伝搬拡散の結果、競合をよび、集合体内外での優勝劣敗は避けられない。

その人工体がもつ、便益と危害については具体的にあげることができよう。これを支配するのは、およそは、富を持ったもの、支配力を持ったものであろうし、その導入判断は社会的安定、経済的利得の期待できまる。つまり政治・経済である。それでも、技そのものに無関心であると、他の共同体に負けてしまう。したがって、技の得意なものを抱えて、支援し、これを支配する。

ここまでは、人工体とそれへの人間による支配が一体となっていて、狩猟道具などの開発や、農具の開発など新石器時代でモデルでもある。

しかし、産業革命期にはいると、産業革新は、単なる政治体制や経済体制だけでは説明しきれない技の進展の態様の違いがでてくる。 石炭の増産、高温火力の炉構築、炭素鋼の発明、車輪回転数制御をともなう蒸気機関の発明、設備の大型技術など 一つの生命体のような生存体つまり人工体として登場して、それ自体が変化、適応、固定の進化のサイクルをもつことになる。 ここまでくると、単に経験だけの職人だけでは成り立たなくなる。数学や理学の素養を獲得した人間の参加がある。 技術の発展の芽は枝分かれして多様化したなかでの展開である。 こういう人間行動の人工体の集積ができる。これは、単なる政治や経済のための制約条件としてのみとらえられるであろうか。

あらためて制約条件そのもの、そのなかには、職人の技も包含はしているが、その制約条件そのものは科学の対象になりえよう。 極端に言えば、反重力ということでこれまでの重力は正値であるという条件を外す試みもありうる。制約条件の対象は機械のような物理的な実体でなく、人間組織の指向・行動の機能と特徴など非物質的実体の付加などもあろう、新たな研究人材の投入もあろう、社会的な安全の制約を拡大するという選択もあろう。これらは、これまでの政治や経済からの視点の社会的組織や制度の管理支配の構造からは、対応できないという事態が考えられる。科学発見の前段階から、それがどのような形でうまれるか、産まれたあとにどのように成長するか、それがどのような社会変化をどのような速度で、どのような規模でおきるか、この枠組み構造からは答えがでない。 否、誰かがヒントを出すが、その誰かさえも知識は限定されている。 しかも、関心の外にある市井の生物とおなじで、それ自身が自律しているとみるようにみえ、だれも Go もStopもする見識を持ちえない。 大衆レベルになると、危ないことは廃棄せよというが、あとどうなるかの確信ももてないから、時を稼ぐ。つまりdisposition晒すというアイディアまでで留まる。 disposition、それは得体のしれな巨大なる怪獣Sonvieとして敵対的にみてしまうか、それ自身が指向・行動意識主体subjectをもつもの、そして行動手段を豊富にそなえる客体objectをもつもの、この二つの結合を待つ事態(state of the affair)としてとらえるかの選択問題である。

 

Herrmann Pillathは、この技、あるいは技術という人工体そのものを生物と並ぶ「生きもの」Beingとして捉える、これを「技術圏」とし、それを科学として取り組むことを提案したのである。 現象としてあるらしい、その現象を解明する、存在論Ontologyとしての学領域を提案するのである。

彼の論文は、結局、agenceとinstitutionのモデルの域を出ていないが、「技術圏」科学が科学としてみる方法論を、工学的理論に求めているといえよう。特に、工学が蓄積してきた非平衡エントロピー流の拡散理論や、レイノルズ数で代表された相似則理論などの方法論資産の社会系、政治系を含めた人工体への適用をさえ模索しようとしている。

彼は一方で、「技術圏」と「生物圏」(および社会学)、他方で「技術圏」と経済学(および、社会学)との間での学領域として独立した学域disciplineの成立をも考究中である。発想が大胆であるので彼の論文に当初、違和感を持ったし、いまもそうであるが、発想が非凡であるところに、パラダイム進化の場として価値がありそうである。

もうひとつの問題は、「技術圏」科学と人間社会のモラリティーと責任について倫理として「方法論的個人主義」についての課題が残るのである。 Pillathは、カントの定言命令へとヒントを出すが、この系統の論は、ほんの序の口である。肝心なのは、彼をはじめ西側の哲学は、理念と現象の二元論のなかで、一方で、存在論Ontologyとしての現象をまとめていくが、その前提として認識論としての理念の存在を見ていくことを外していないところに、敬意をもつものである。 総合知学としての次元の問題である。

 

3.2 本稿著者のメモ Arai’s note:

「技術圏」科学としていくときに役に立ちそうなモデリング数学上の項目

「技術圏」科学としていくときに役に立ちそうなモデリング数学上の項目を熱力学と情報科学の視点から置く。これらについてはさらに精査されるべきである。

 

I.熱力学

Termodynamics

II 情報系エントロピー

Entropy in Informatics

以下は、網羅したものではなく、この科学の研究を進めるうえでのengineering的な

手段になるものであろう。

 

~~~~~~

List (Items required on further surveys on scientific terminology to Technospere)

 

I.熱力学と情報理論

Termodynamics and Information mechnics

 

*一般熱力学から

Thermodynamics

 

 Isolated system (孤立系)

 Closed and Open System(閉鎖系と開放系)

Thermodynamics for System Equilibria平衡系での熱力学)

 Comprehending view between Macro- and Micro-Scope(マクロとミクロとの対応)

 

*エントロピー流について

On Theory of Entropy flow

 Non-Equibria Thermodynamics;(非平衡熱力学 )

 Entropy Density Distriutions as Dynamic and Spacial Density Flow;(エントロピーの時空間密度流)

Observer Standing View Problem; Euler sytem and Lagrange system;

(観測者の立ち位置の問題; Euler系とLagrange系  )

Case Study A on Bulk flow and Diffusion Process, as Non-Equilibria Thermodynamics(流れや拡散などの場での非平衡熱力学)

Case Study B on Chemical Reaction with Case Study A (化学反応のある場合の非平衡熱力学)

Further investigation on Auto Catalytic Phenomena and its Mechanics. (自触媒化学現象とその機構についての調査研究)

‘Glass and Wine’ as Chemical Phenomena and its Fields (機能と構造について)

 Segregation between Phenomena and Fields(as Constraints) ( 現象と場(制約条件)の問題の区別)

 For example; Bird nest (孵化と環境「場」)

Entropy flow under Stiff Phenomena (パラメータの次数が極端に異なる系)

For example, mathematical modeling cases under parameters each others with extremely different orders of magnitude(極端に異なるorder of magnitudeをもつエントロピー流の式について)

Entropy flow under Non-linear Phenomena(反応半減時間の極端に異なる反応系)

 ‘Cooking pan and Recipe’ or   ‘Glass and Wine’ problem (反応プロセス「レシピ」と反応器「鍋」)

 

Further investigation on Scaling laws(スケーリング則について)

 Scaling Analogy on Tempo-Space Aggegation(時空間上のマクロとミクロについて)

For example, Reynold number, what does it say? (レイノルズ数の教えるもの)

 Non-dimensional Number, and Eigen value and Stability (時空間上の無次元数、固有値と安定問題)

Multiple Boundary Layers Decomposition(時空間の多境界層への分解)

 

Purtervation Decomposition of Stiffness and Non-linear treatment

(Order of magnitudeの近い複数の式セットへの分解)

On Technospere sience, its Developments(「技術」圏科学への展開への類推)

Accomdation , Facility, Institution(反応器「鍋」を造っておくということ)

Accumulation of Cooking Recipe(反応プロセス「レシピ」を作ること)

Who is cooking problem.(実際にオペレーション「クック」すること)

 

II 情報系エントロピー

Entropy in Informatics

 

Shannon ‘s Entropy and its definition( Shannonのエントロピー定義)

Information Entropy and Constraints (情報エントロピーと情報制約条件)

Entropy Flow Density Distribution (エントロピー分布)

(Maximum Entropy Principle)(最大エントロピー原理)

(Lotka’s Maximum Power Principle)(最大力原理 )

(Jaynes Max/Min Principle)(有効エネルギー分布)

 

Entropy density flow modeling with thermos,chemical,and informative phenomena(非平衡熱力学のエントロピー流式への情報エントロピーの結合化)

Case Studies from advance modeling achievement

For example, Polymer’s molecular distributions and reaction schemes (高分子分子量分布と反応モデルが教えるもの 例 反応速度モデルを分子量分布測定から同定するということ ) 

 

以上


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