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医療少年院見学

2014年12月04日 16時17分34秒 | ハチパパのひとり言

今年から少年審判の付添人を始めて、少年院について知っておきたいこともあり、所属する神奈川少年友の会の人たちと神奈川医療少年院の見学をさせていただいた。 

家庭裁判所で少年院送致の審判を受けた、概ね12才から20才未満の男子少年のうち、知的障害者及びそれに準じた処遇を必要とする者、情緒的未成熟により社会不適応が著しい者を収容して、必要な治療・教育を実施している施設である。収容対象地域は北海道、東北、関東、静岡と広範囲になっている。

収容人員は80人で現在67人が収容されており、職員は52人と多いように見えるが院長のご説明や見学過程の職員のお話を聞いていて、実際の治療・教育にかなりの手間と時間がかかることが容易に想像出来た。

少年院というと刑務所のような暗いイメージがあったが、ここは昔、森永製菓の創業者が寄付したとされる広い敷地に、職員の2階建て管理棟から見渡せるように、平屋の居住棟、教室、図書室、作業棟、講堂などがコの字型に建てられている。窓も鉄格子のようなものは極力排除され、中庭には桜や金木犀などの四季折々の木々や花々が植栽されていて、社会復帰への院内生活が安定した状況で送ることができるよう様々な配慮がなされている。ちなみにここを脱走しようとする少年は今まで一度もなかったそうである。

入院時に約2ヶ月かけて基本的な生活習慣と生活技術を学び、その後約半年かけて、自分の非行について目を向けて、問題点の克服や二度と過ちを繰り返さないために、何をすべきかを考え実践していくとのことである。

そのための作業療法として、木材工芸や陶芸を通して働くことや技術を身に付け、創造することの大切さを学び集中力や持続力も付けていくこと、また、心理療法の技法を使って自分の気持ちや感情を適切に表現したり、人とのかかわりが上手くできるような技術を学んでいるとのことである。

そして社会復帰が近づくと、社会生活上必要な技術の獲得訓練や、社会での労働に近い形の農園芸や工場実習などを行い、概ね1年半ほどで出院となるようであるが、最大の悩みは少年が帰るところがない帰住困難者が半数以上もいるという。しかも出院者の3分の1は親元でないところへ帰るという。

院内行事の運動会に親が来るのは半数ぐらいで、少年の中には見捨てられた感情を持つ子もいるかもしれない。いつぞやの朝日新聞に掲載されていた「少年事件について考える」という記事で、元裁判官の言葉に、『「捨てられた」感じさせるな』というのがあった。そもそも非行に至る原因の一つとして、被虐待、ネグレスト、いじめられ経験などが多く、特殊教育課程の少年に必要な「自分自身尊厳の実感」が持てないという実情があるらしい。何とも切ない気持ちになるが、職員の皆さんのご努力、ご苦労に敬意を払い見学を終了した。26/12/2



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