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抜苦与楽

2015年08月01日 03時32分29秒 | 慈しみと悲しみと

                      北海道 善光寺 釈迦如来立像

大法輪閣編「仏教名句・名言集」を久しぶりに読む。

「大智度論」第二十に、「衆生を愛念して楽を与えるを慈といい、衆生を愍傷(みんしょう)して苦を抜くを悲という」とある。

父は照り 母は涙の 雨と降り 同じめぐみに 育つ撫子

父はきびしく 母はやさしく子を教育する。父のきびしい面が抜苦であり、母の優しい面が与楽にたとえられる。

しかし、今の世の中こういう両面を使い分けることが難しい。また、夫婦関係がぎくしゃくしたりして、昔のように親の姿を見て子が育つという環境も少なくなっている。

1週間ほど前、郷里浜松で親友のU氏と酒食を共にした際、共通の知人Sさんの息子KくんのFight&Life誌格闘技記事コピーを渡された。大きな写真と3ページにわたるインタビュー記事で、「18歳、MMA5戦5勝。全てケージファイト」の大見出し。

Kくんはお母さんによく似たハンサム少年で、格闘技の世界に進むことは聞いていたがすごいことになっていた。記事の中で尊敬する人は?の質問に、お母さんと格闘技の師匠の名前をあげていた。

母一人子一人の母子家庭で育ったが、尊敬する人にお母さんと答えたことにジンときてしまった。まさに親の姿を見て子が育つというお手本でもある。ちなみにSさんは、スペイン語が話せる明るい性格で、私が若かりし頃写真のモデルになってもらった人である。

お釈迦さんが言われたように、生まれてきたから苦がある。生まれてきた以上、辛いこと、苦しいこと、悲しいことなどいっぱいある。仏の慈悲は抜苦与楽のためでもある。

仏像の手のかたち印相に、右手で衆生の畏れを除く施無畏印、左手で 衆生の願いを叶える与願印があるが、これも衆生のための抜苦与楽、救済に導くものである。



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