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白隠禅師 坐禅和讃3

2021年04月06日 07時00分00秒 | 慈しみと悲しみと

          福岡県前原市 大悲王院 千手観音立像

況や自ら廻向して  自らが経を読んで積んだ功徳を、衆生に廻らし差し向けるならば

直に自性を証すれば ずばり自己の本性、真実の自己に対面し覚めるのだ。

自性即ち無性にて  自己の本性はすなわち無である、と悟った時

己に戯論を離れたり その体験は、すでに戯論の世界から離れているのである。

因果一如の門ひらけ 因と果は、今、ここでは一つのものである。その門を開けば

無二無三の道直し  あるのは一筋のまっすぐな道、道は二つ三つと無いのだ。

無相の相を相として 自由自在で、なにものにも礙ぎられない心であれば

往くも帰るも余所ならず どこへ行っても自分の家と同じようなものである。

無念の念を念として 固定した考えにとらわれない心を持っていれば、

謡うも舞うも法の声 謡うことも、舞うことも、なにごとも仏作仏行である。

三昧無礙の空ひろく 心を集中して邪念を消し去れば、大空のように自由無礙。

四智円明の月さえん 仏の持つ四つの智慧、その四つの智慧の光は月を照らすほど冴える。

この時何をか求むべき この時、何を求めるか、もはや何も求めるものはない。

寂滅現前する前に  すでに煩悩から脱却して、悟りの世界は現前しているのだ。

当処即ち蓮華国   この場所が蓮華国であり極楽浄土なのである。

この身即ち仏なり  この身が、すなわち仏なのである。

 

人間の本体は無性であり、我もなければ他もない。無性の性とはそのまんまの性である。このことに覚めることを証するという。三昧無礙とは、何もさまたげられない自由自在の境地をいう。そして四智円明とは、仏の持つ次の四種類の智慧である。
1.大円境智 大きくて円い鏡のように、すべてを映し出す智慧です。
2.平等性智 鏡はあらゆるものを、選り好みせず平等に映し出します。好き嫌いのない心。
3.妙観察智 対象に善もあれば悪もある。それを正しく判断する智慧。
4.成所作智 所作を成す。すなわち、なすべきことを成し遂げる智慧。

毎日洗面所で見る我が身わが顔、よう77年間も生きて来たと思う一方で、老いた顔と張りのない肉体を眺めてため息をつく。鏡はありのままの自分を嘘偽りなく映し出す。いまなすべきことを成し遂げるべきと鏡の中の自分が言っている。

 

 

 



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