goo blog サービス終了のお知らせ 

ハチの家文学館

ハチの家写真館(http://hachinoie.exblog.jp/)の文芸版

付添人初体験

2014年07月12日 06時58分41秒 | ハチパパのひとり言

                           鎌倉 長谷寺

各都道府県に少年友の会という家庭裁判所と連携して非行少年の更生を支援する団体がある。今月その広報紙に掲載された私の体験談です。付添人の少年との関わりは審判までということになっているが、孤独な少年の心の支えに、その後もなってあげたい気持ちも強い。

  ・・・付添人初体験・・・

この度、初めて付添人の依頼を受け、身の引き締まる思いがした。早速家裁の「付添人活動について」を読み返す。

審判日は十一日後で、その六日前に一時間程度調査官から事件概要と少年の家庭環境などの説明を受けた。そして審判当日一時間前に初めて少年と面会、さらに裁判官との事前面談もあり、極めて短い時間での対応に戸惑いを感じつつ審判に臨んだが、初体験とは言え少年のために「聴いてあげたかった」「してあげたかった」ことのやり残し感があったのが正直な気持ちである。

担当した十八才の男子少年は、無免許で大型バイクを運転しタクシーに追突、運転手と乗客に怪我をさせた。過去に万引き、自転車盗歴があり、父親が匙を投げたのか今回の審判には出頭しなかった。

家庭環境は、一才の時に両親が離婚、母親が家を出て父親と姉、祖父母との生活が始まり、数年前に育ててもらった祖父母が他界、姉は大学に進学、少年は勉強嫌いだったのか中学を出てすぐに就職した。その後転職現在はラーメン店のアルバイト店員として働いている。

少年は付添人との面談時において、父親を何度も「あいつ」と呼び、今まで三十回以上も包丁を突きつけられたことなど、異常なまでの確執を想像させる発言がなされ、姉との会話も一切ないという孤独感が非行の一因ともとれる有様だった。

しかし、父親が示談で支払ってくれたお金を返すこと、ラーメンの仕事を覚えて将来自分の店を持ちたいことなどを話してくれ、審判においては裁判官の説諭に素直に応じて反省していた。審判の結果は交通保護観察処分となったが、最後に少年の更生を願い励ましの言葉などを述べさせていただいた。彼の心にどこまで響いたかはわからないが、父親と打ち解けた会話ができる日がくることを願い付添を終えた。

私自身、二十七才から二十年間二人の息子を抱えての父子家庭経験があり、この少年と同様におばあちゃんが子育てしてきた。本件は他人事ではなく自分のことを思い出しながら少年と接したが、同じ境遇を味わった人間の心の呻きが聞こえるようで、もう一度会って話してみたいと思うとともに、出来ることなら父親とも話をしてみたかった。



最新の画像もっと見る

コメントを投稿

サービス終了に伴い、10月1日にコメント投稿機能を終了させていただく予定です。