日々・ひび・ひひっ!

五行歌(一呼吸で読める長さを一行とした五行の歌)に関する話題を中心とした、稲田準子(いなだっち)の日々のこと。

善意を試される。

2006年12月13日 | その他の日々
昨日驚いたこととは、
お金を拾ったこと。

あなたは、道端でお札を発見したことはあるか?
私はこれが、初めてだった。

4千円。

     ★

年賀状の作成に飽きてきて、
散歩に出かけて、コーヒーを飲んで、
簡単なお買い物をして帰る途中の道端だった。

外はすっかり暗くて、街灯が路上を、
ピンポイントに明るく照らしていた。

その明るさから、少し外れたところに、
見開きで落ちていた定期入れ。

あからさまに見えていたお札。
私の善意を問うように。

こんなにあからさまにお札が見えているようではと、
見てみぬ振りができなくなり、拾った。

しかし、交番へ行くには、遠く、
私は徒歩だったので、時間がかかる。
晩御飯の準備もしなくちゃいけない。

本人が戻って、探しに来たら、
悪いなぁと思いつつ、とりあえず、
家に持って帰る。

     ★

定期入れの中には、
定期券は入っていなかった。

私も知っているスーパーの、
いくつか捺印されているポイントカードも
入っていたけど、
最近もらったらしく、名前などは記載されていなかった。

あとは、名刺サイズのある工場のミニカレンダー。

その工場名を
ネットで検索したら、
遠いけど、
私がそれを拾った場所から、
自転車なら通えない距離ではない。

そこに勤めている女性か?と推理した。

(※女性と思ったのは、定期入れには、
HANAE MORIの蝶々が施されていた、
赤いものだったから)

工場の住所や電話番号を書き写して、
一連のことを夫に言って、
「明日そこに電話を入れたら、探してもらえないやろか」
と、見たこともない工場の食堂の掲示板に、
張り紙が張られているのを、
想像しながら、聞いてみた。

「無理やろ。その程度の手がかりじゃ。
警察に言うたらええやん。
俺も、財布を落としたときにな、
警察から連絡があって……」

と、何度も落としている中の、
たった一度もらった
警察からの連絡のときの詳細を、
話し始めた。

そうそう。そうなのだ。

紛失した本人が一番ダメージを持つけれど、
その周囲の人間も、悲痛な思いをするのだ。
特に鍵やお金の場合。

腹が立つやら、情けないやら、離婚したくなるやら(笑)

警察なんかを経由するより、早いのなら、
さっさと本人に返してしまいたいのだ。私は。

     ★

結局、
「ちゃんと探してくれるから」と、
夫に説得されて、
交番へ持って行くことにした。

そんな日なのに、
翌日(つまり今日)は、ザザぶりの雨だった。

私の善意を試しているようだと
また思った後、
いや、これは、善意というより、
持っていたくないだけよ、
と空に言い返して、交番へ。

調書を作ってもらう。
ネットで調べた工場の住所や電話番号などの、
情報提供もした。

できれば、その場で、
工場へ電話してくれたらと期待したけど、
やはり、そういうことにはならなかった。

調書の「参考」という欄に、書き写されただけだった。

当たり前と言えば当たり前なんだけれど、
例えば、自転車を盗まれたとき、
警察は、
探してくれるということはないし、
家出人だって、保護されれば連絡をする、
という、受身程度でしか動いてくれないという、
イメージがどうしても私にはあって。

だけど、
調書の最後に、
調書を受け取った部署が(名前忘れた……)、
ちゃんと、参考場所などに問い合わせたり、
ポイントカードのスーパーにも、
連絡を入れたりして探しますから、
ということを言ってくれた。

見つからないなら、仕方ないが、
ほんの少しの手がかりでも動いてくれるのならと、
少しだけほっとする。

……の割には。

もし、紛失者が見つからない場合は、
半年後に2割受け取ることができると聞いて、
「あれ?1割じゃなくて、2割?ラッキー」と、
思ういやらしさもあったりして(800円程度なのに・笑)

善意の気持ちだけで行動をすることの、
なんと難しいことか。

善意をシステム化し、
そこにのっかることの、
なんと楽なことか。

そしてそれが、
壊れかかっている現実の、
なんと悲しいことか。

雨の中を帰りながら、いろいろ思った。

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