日々・ひび・ひひっ!

五行歌(一呼吸で読める長さを一行とした五行の歌)に関する話題を中心とした、稲田準子(いなだっち)の日々のこと。

新型インフルエンザの一週間(後編)

2009年05月27日 | その他の日々
前日に自分からも、
派遣会社に電話を入れて、
「本当に、この土日は仕事あるんですか?」
と、念押す位に、
半信半疑でスーパーへ行く。

それでもまだ、疑う。

パンの仕事だから、
もしかしたら、現場へ行けば、
試食なしで、品出しと陳列を、
させられるのかもな、なんて。

しかし、実際にはあった。

おかげで、
「荷物になるかもしれない」と思って、
最小限の道具しか持っていってなかったから、
いろんなものを買うハメに。
(※紙皿や爪楊枝とかの消耗品は、お給料支払時に精算されるけど、
まな板とかは、実費なので……とほほ)

それでもまだ、疑う。

果たして、お客さんは試食をするんだろうか、と。

     ★

開店して、1、2時間すると、
お客さんが徐々に増え始める。

マスク姿は、
花粉症の時期に見慣れる程度の割合か、
それ以下。

それは、意識が低いのか、
マスクが欲しくても買い損ねているのか、
見た目では判断できないけれど、
試食は、予想に反して、よく食べていった。

もともと、試食をよくする(そして買わない)
お店ではあるのだけれど、
「やっぱ、タダで食べられるというのは、別なんだな」と、
やや冷ややか目に思う。

仕事的には、いいことなんでしょうけどね。

試食品は、菓子パン。
この23日の土曜日は、
キムタクのドラマの初日でもあって、そのドラマとコラボしているパンでもあって。

試食品を目にする以前に、
話題性が、
お客さんの食指を動かしているようにも見受けられた。

ウィルスよりも、
巻き散っているキムタクの魅力。
ヒステリックなほどの、ひつこい番宣で。

食べずにはいられなくなるんですね~。

     ★

そんな、
普段と変わらない光景の中でも、
何か、小さな小石が落ちると、
いつも以上に、
いびつな波紋が起こるのを何度か見た。

それは、
試食を主食として、
食べ歩く人の中でも、
特に不潔な感じの人が、
試食台の前で突っ立ったまま、
口をモグモグしているときの、
周囲のお客さんの「ピキッ」と、
神経にヒビでも入ったかのような表情をして、
その人を見つめる姿。

大概、こういう場合、
他のお客さんは、シカトとして、スルーする。

「あぁ、あなたこそ、あなたこそ、食べていってほしいのにぃ~」

と、いう願いは届かずに。

しかし、今回は、
スルーもせずに、しかし、試食品にも手を出さずに、

「あんさん、その人に食べさせるんどすか!?」

みたいな、非難めいた視線をちょっと遠いところから、
私に浴びせてくるのだ。

それが、
「その人、ウィルスもってはるんちゃいますか?」
という非難なのか、
ウィルスとは無関係で、
「うちはそのキムタクのパンを食べたいのに、
(不潔そうな)その人の次には、よう食べられまへん!」
という非難なのか、
本当のところはわからないけど、
ちょっと、印象に残る非難めいた視線だったので、
ややいつもと違う背景が、そういう過剰さを生んでいるように、
私には思えた。

もしも、後者の理由なら、
ここで食べずとも、買って家で食べてみたらええやん、
と、突っ込むところなんですけどね。

でも、前者でも、やっぱ偏見かな。

マネキンとしては、こういう場合、
それでも1度目はやっぱり食べさせる。
断れない。

「はい、これあげるから、もうこないでね」

というような思いはあるにしても。

     ★

いびつな波紋は、他にもあった。

2日目の日曜日になると、
家族で買い物に来ているお客さんも多い。

で、子どもだ。
今度は私自身がいびつな波紋の中心に。

あるお母さんが、私の向かい側にあるお惣菜を見ていて、
子どもの方が、試食品のある私の方へやってきた。
親子はマスクをしていない。

でも、マスクをしていないなら、
くしゃみやセキは、しちゃいけないと思う。

子どもは試食品を食べた後、
セキのようなくしゃみをした。

私は思うより先に、「ひっ!」と反応した。

私自身に飛沫が飛び散ったから、というのではなく
(そうだとしても、私は手は手袋、マスク着用してるし)
『試食品に、ついた!?』という、疑いからだ。

その時子どもは、飛沫を飛散させまいという行動は、
一切しなかった。母親は気づかずお惣菜を物色している。

「おいおい。もともと、風邪気味な子どもだったら、
こんな人ごみのとこへ
連れてくるなよ。反射的に過敏に反応しちゃうだろー!」

百歩譲って、預けることが出来ず、
連れて歩くしかなかったのだとしたら、
せめて、目を離すなよー!

念の為、試食品を紙皿ごと捨てて、
もう一度試食品を切ってたら、
その子どもは、また別のところで
セキのようなくしゃみをした。

今度は、子どもの周囲にいた人が、
反射的に振り返った。

それで改めて、
「あぁやっぱり、いつもと変わらないようで、
変わってるのか」と、思った。
自分自身までも。

一皮むけば、
いつ私も「避けろ、関西」的視線を、
誰かに向けるかわからないんだな、
という因子めいたものを感じる。

物色し終えた母親が、子どもと合流して、
またくしゃみのようなセキをした。
さすがに、母親は注意して、
手をつないでレジへいったけど。

しかし私は、
「注意をしたらセキが止まる訳でもないだろう」と、
辛らつに思う。

もうちょっと具体的に、
せめて、ガーゼでも、ハンカチでも出して、
「くしゃみするときは、これを口に当てて、し」
とか、やってほしかったな、なんて。

     ★

今週に入って、大阪は、
「流行警戒宣言」は、「警戒宣言」に変わったらしい。

26日(火)に、
お給料を取りにいったら、派遣会社は閑散としていた。

聞けばお給料をもらえる人は、月曜日のうちに来て、
入ってきた仕事を次々と取っていったという。

ただそれも、ほとんどが6月以降のもので、
今週もまだ中止がほとんどらしい。

また、その6月以降も、
個人的にマスク持参が条件というのがほとんどで、
マスクが買えなかった人は、
なかなかとりにくい状況のようだ。

「中止かと思えば、前日になって(仕事依頼が)復活する可能性もあって……」と、
派遣会社自身も、フェイント気味なこの状態に、
ため息をついていた。

こういう時は、
今のうちに出来ることをしたほうがいいですね。
悪いことをぺラッとめくれば、いい出来事。

時間が出来たんだと思って。

とりあえず私は、
節約本を読んでは、
「人の知恵って素晴らしい~!」と、感動したり、
引越しするんで、収納テクの本を読み直したり、
インテリア関係の本の写真を見ては、
「やっぱり飾ることより、合理的な整理整頓が好き!」
と、いう感じです。

今週もやっぱり人ごみは避けますが、
なんやかんやと日々を楽しんで過ごす予定でございます。

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