日々・ひび・ひひっ!

五行歌(一呼吸で読める長さを一行とした五行の歌)に関する話題を中心とした、稲田準子(いなだっち)の日々のこと。

一体何のために着物を着たのっ!(泣)

2005年05月01日 | 着物の日々
歌会当日なのに
歌会口実の着付けの話を。
歌会自体のことは、明日書きます。

     ★

雨が降ろうが、ヤリが降ろうが、
今日の歌会は、
どうしても着付けがしたかった。

何故かというと、
1月の関西新年合同歌会に来られた、
九州の五行歌の紫野恵さんから、
帯紐をいただいていたから。

自分で着付けた着物で、
一番最初に行く歌会の帯紐は、
そのいただいた帯紐を
使わせていただき、

その写真を、
お礼の言葉を添えて、
お送りしたいと思ってたから。

もう、来月だと暑いので、
今月の歌会しか着るチャンスは、
ないと思っていたから。

なのに(なので?)、なかなか眠れないまま、
夜明けが。

夫を起こす時間が。

     ★

それにしても、どうして、
こんなに忙しい時に限って、
手抜きをしないんだろう。

ダラダラと時間がある時は、
めんどくさくなって、
夫のご飯なんて、
カップラーメンを置いておくとか、
うすっぺらい千円札で、
ふちゃふちゃと頬を叩くのに(笑)

やる気が、連動していく。

昼・夜と準備しなければならないので、
夫のお昼ごはんは、お弁当箱を準備して、
晩ご飯のメインは、
予定変更して、お刺身で楽することにした。

お刺身を買いに行く時、
空はすでに曇っていたが、
雨はまだ降っていなかった。

そうだ!と、ひらめいた。

私は雨女なんだけど、
傘を持っていく時に限って、
道中は雨に遭わずにすむってことは、
よくある。

今日、傘を飾りだと思って、持ち歩けば、
雨は降らないかも!

スーパーから戻って、
ドアノブのところに、傘をかけた。

絶対忘れないために。

     ★

着付けは一時間半かかった。
紫野さんの紐も帯と似合っている。

が、帯を結び終えたところで、
裾がさっきよりずるっとしてないか……?

着物の腰紐がゆるかったらしい。
恐れていた、「お岩さん状態」だ。

が、直す時間はもうない。

お太鼓に押し込め押し込め、
ドアノブの傘を持って、家を出る。

目が悪い人は、
数秒ほど人より不幸を遅く感じることがある。

まだ、雨は降っていないように見えた。

が、

自動ドアを通り抜けて、一歩でると、
「よ、おねーさん、粋だね」と
細い雨が肩を叩いた。

……ブ男にナンパされるより、嬉しくない。

♪飾りじゃないのね、この傘、はっは~ん。
 雨除けするするためさすのね、ほっほ~ん。

作戦(というか、おまじないに近かった……)失敗。
歌わずには、いられない。

裾を気にしつつ、雨を気にしつつ、
ゆっくりとしか歩けず、東大阪へ向かう。

     ★

歌会が終わる頃には、
裾も危ういが、襟元もゆるい感じになっていた(泣)

早い目に帰ろうと思ってたけど、
結局話に力が入って、
いつもどおりに10:00まで、
場所を変えては、話をしていた。

裾、襟、裾、襟、と
交互に気にしながら、帰宅する(つらかった~)。

家に帰ったとたん、
それまで不自然なほどなかった
尿意がからだを駆け巡った。

慌てて、
コーフンしたお殿様が、
町娘に「よいではないか、よいではないか」と
着物を脱がすように、自分で脱ぐ(笑)

……無事完了(笑)

ブラとパンティと足袋という変な格好で、
ソファにいる夫に、遅ればせながらの、
「ただいま」を言う。

「なんやねん。そのマヤ文明、気持ち悪い」
と、
夫が私のお腹の着物でついたアトを見て
気持ち悪がった。

マヤ文明……、たしかにそんなイレズミ風だ。上手い。

嫌がってる夫が面白くて、
TV画面をさえぎったりして遊び始めた。

えへへへ~といちびってたけど、
急に青ざめる。

忘れてたっっ!
紫野さんに送るための写真、撮ってないやんか!

     ★

マヤ文明のお腹を抱えて、見れば、
町娘が泣き崩れたかのような、
着物や長襦袢の脱ぎ散らかしが。

その下に隠れていた、紫野さんからの帯紐。

一体何のために、雨だけど覚悟して、
着物を着ていったんだろう……。

絶句していた後ろから、夫が、

「今日な、休みやったのに、
結局何やかんやで、夕方五時までおってんやんか。
んなもんやから、お弁当だけ食べたから
晩ご飯はなんも手をつけてないから」

振り向けば、テーブルには、
汚れていないお茶碗が、味噌汁のおわんが、
電気に照らし出されている。

一体、何のために、二食分を私は……!!!

……虚脱感。
急に疲れが出てきた。

へっこみながら、着物を着物ハンガーに吊るす。

つらされた着物は、
なんだか、貼り付けにされた自分を思わせた。

……アーメン。

(後日談:翌日、着物をたたもうとしたら、
     自分が予想している以上に、
     泥はねがありました。
     クリーニングに出したのは言うまでもありません。
     クリーニング代かかるのは言うまでもありません。
     雨の日は、どんなに着物が着たくても、
     着物を着るのはやめましょう。
     泣きたいっっ!!!)

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