日々・ひび・ひひっ!

五行歌(一呼吸で読める長さを一行とした五行の歌)に関する話題を中心とした、稲田準子(いなだっち)の日々のこと。

着物は雨に濡れたのか?④

2009年03月01日 | 着物の日々
新幹線に乗って、
新大阪に着いたとたん、
真っ先に行ったのは、お手洗いだった。

長蛇の列、出入り口を越えて長々と。

思えば、
三箇所でお茶をしているのである。
それでいて、
一度もお手洗いに行っていない……雨コートを脱ぐ以外は(とほほー)。

「お、お願い……はやく……」と願うのも、
自然だというもの。

それでも、なんせ着物なので、
それなりの手順を、
最低限の丁寧さで辿っていくのは、
当然なわけで。

決して、雑にはしなかったつもり。
ただ、気になったのは、床の汚さ。

最近のお手洗いは綺麗すぎるのか、
一昔前だと、このくらいの水と泥の汚れは、
お手洗いにはつきものだったのが、
ものすごく不満に思える。

着物を着ているから余計にだとは思うけど。

今回の着付けは、
姿見でちゃんとチェックして着付けが出来た分、
裾を床線ギリギリのいいところの長さで、
着れたと思っている。

これができていないと、
着物から白足袋が目立ち、
特に今回の青系の着物からだと、
後姿なんか、
まさに『ドラえもんの足』状態になる(わかる?)。

そんな感じになっていないのは、
ファッション的にはグッドなんだけど、
この新大阪のお手洗いで、
泥ハネなんかしちゃったりしたら、
足袋は汚れないけど、裾が汚れる訳で。

そんなこんなで、嫌な足元だったなと心を淀ませながら、
そこを後にしたんだけど。

だから二日後、
つら下げておいた着物のホコリを軽くはたいて、
畳み始めた時、
その裾に、黒い泥ハネのような汚れを見つけて、
まず最初に疑ったのは、
溝の口での雨ではなく、
あの新大阪駅のお手洗いだった。

びえぇぇぇぇ~!!

雨コートなどの努力が、水のあわわあわわ~!!

     ★

それでも、何度も判断のゆるぎは押し寄せて、
「ひょっとしてこれは、着物の模様かもしれない」
と思いなおしたりもした。

真実を即飲み込める人間なんて、そうはいない。

なので、そこからさらに数日後、
野菜などをシェアしに来てくれた実家の母に見てもらって、

「これはあかんやろ。目立ってるし」とバッサリ言われたときは、
『あぁこれで疑念の渦から脱出できる』と逆にほっとした。

「それにしても……なんやろね。この黒いのは」母が言う。

「新大阪駅のお手洗いでの泥ハネだと思うけど……」
「んー……、泥かなぁ……」

泥以外の黒いものって、一体何があるというんだろう?

仕事をしたりもしたので、
クリーニング屋さんへ行けたのは、
結局、3月も10日ほどを過ぎていた。

     ★

明石に住んでいた時、
クリーニング代は9000円もとられた。

と、いうのも、
京都の着物専門のクリーニング屋さんへ送るから、
とかなんとか言われて、承諾せざるを得なかったのだが。

なので、自分ちの近くのクリーニング屋さんで、
『着物OK』と書かれていたって、
簡単に預ける気にはなれなかった。

明石へ引っ越す前の大阪市内に住んでいた頃にも、
一度クリーニングを出したことがあるのだが、
そこは、京都へなど送らずに、
手間隙かけて、老夫婦が着物を洗ってくれた。

電車代を使ったって、9000円よりはるかに安価。

間違いなく、雨なんて降らない、
早春のひだまりも初々しいある火曜日に、
懐かしい風景を堪能しながら、そこへ行く。

                    ……も、もうちょっとだけ、つづく。

最新の画像もっと見る