日々・ひび・ひひっ!

五行歌(一呼吸で読める長さを一行とした五行の歌)に関する話題を中心とした、稲田準子(いなだっち)の日々のこと。

着物は雨に濡れたのか?③

2009年03月01日 | 着物の日々
再びの溝の口駅。

決して晴れ間が見え始めたわけではないが、
黒っぽいグラデーションの雲の色が、
灰色系のグラデーションに変わってきてる。

「もしも雨コートがいらなくなったら……」

そんなことを考えたら、
少し大きめの紙袋を買わずにはいられなくなった。

『あら、駅弁以上の出費になったわけザマスわねぇ~』
……そんな内なる声も無視!無視!

気がつけば、
チェックアウトから如呂如呂さんと待ち合わせの間に、
1時間あったのが、あっという間になくなってて。

予想を完全に裏切って、時間を持て余すことが全くなかった。
……あんまり、嬉しい気持ちでもなかったが。

     ★

駅で待ち合わせた如呂如呂さんと合流して、
前述(五行歌インタビュー前編)したように、
和食店へ。

雨コート、もちろん脱いで着席な訳だが。

着付けの先生は、

「雨コートを着る前に
裾を帯のところまでめくりあげて、
ひもで片結びで結んでおくの。

でね、脱ぐときは、
雨コートを着たまんま、
手を入れて、
帯のところの紐を解くの。

そしたら、雨コートの中で、
裾が下に降りるから、
めくれ上がった状態を人にお見せすることはないでしょ?」

と、口頭で教えてくれていたような気がする。

練習でも実戦(実践?どっちの漢字だ?)していないので、
からだでは全く思い出せないが。

が、その脱ぎ方を思い出しても、
今、この和食店でつっ立っている状態から、
『ひもを解いて、するり裾作戦』が出来ない状況にいることに、
愕然とする。

雨コートと着物の間に着ている道中着が、
私の手を阻んでいる。

あぁ……やっぱり着ないべきだったのかぁぁぁぁぁ?

「す、すいません。お手洗いに行ってきていいですか?」

と如呂如呂さんに一言断って、女子トイレへ。

個室に入るほどでもないか、と思って、
もうそのままいきなり、雨コートを脱ぎ始める。

雨コートの下は、道中着……のさらに下は、長襦袢のひらひら。

ドジョウすくい、阿波踊り、エッサッサー……。
そんな、明るく笑える連想をした。

手洗い場所は、濡れている。
道中着を脱ごうにも、雨コートを置く場所がない。

個室に入ったところで洋式の、
便器のフタの上に置くのも、どうかと思い、
コートを右や左の小脇に抱えるのを変えながら、
なんとか道中着も脱いで、ひもをするりと解く。

あぁ、めんどくさい。なんて遠回りをしているんだろう。

でも、「着物を着る」というスイッチさえ入っていれば、
例え、こういう経験をしても、
着物が好きでいることには、変わりなく。

「もう二度と着るもんか!」という気にならないのは、
なんだか不思議なような気もする。

     ★

和食店から、
場所を移動する際、一旦外に出た。

雨は上がっていた。

口ゲンカ婦人たち(五行歌インタビュー裏話後編より)のいた
店をでて、
バス停までの移動の時も、雨は上がっていた。

しかし、新横浜行きのバスに乗り込み、
高速道路に入って、しばらくの間は、
本格的な大粒の雨で、

「……バ、バスの中でコートを着ろってか!?
こ、これは、折り畳み傘をさしても、
肩とか確実に濡れるぞ!!!」

と、如呂如呂さんとの雑談も、
途切れるぐらいに青ざめたのだが、
新横浜駅に着いたときには、

「雨?そんなのを降らした覚えはございやせんぜ。」

とでも言いたげな空が、
しれっとそこにあるだけで。

ワールドワイドな空に対して、
ちっぽけ日本女子が言うのもなんだが、
完全に、おちょくられてるような気がしてならない。

まぁそれでも、嫌いになれないけれど。
空を嫌いになって、なれるわけないけど。

                     ……もうちょっとだけ、つづく。

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