日々・ひび・ひひっ!

五行歌(一呼吸で読める長さを一行とした五行の歌)に関する話題を中心とした、稲田準子(いなだっち)の日々のこと。

2008年8月の東大阪歌会

2008年08月03日 | 五行歌な日々
随分、遅くなりまして。

あの日はとても、暑かった。
8月の東大阪歌会、
私と久々の楽人さんと増田幸三さんの3人で。

歌は六首。お披露目

     ★

       くんっと
       気温が上がる瞬間に
       日の出とは違った
       朝の始まりを感じて
       顔を上げる      楽  人①

       夾竹桃が
       墓地へ
       真紅を放つ
       炎日の
       直中(ただなか)    増田幸三①    

       いろんな人が
       いろんな思いを
       馳せている
       青空に届く手前の
       曇り空 降れ     稲田準子①

       あの音あの匂いが
       欲しい
       線香花火に
       うずくまる
       あの青い闇も     増田幸三②

       雷さんの
       ヒステリー
       突然の大雨に
       持っていくとこを
       なくしちゃった    楽  人②

       「神さま、
       ほみとけさまっっ!」……。
       かんだおかげで
       ちょっと
       浮く         稲田準子②


     ★

便宜上、番号を打ちました。

楽人さん①の歌は、
1行目の「くんっと」が、いい感じだなって。
日の出という光からの朝と、
日常が本格的に始まる頃の、
温度から来る朝との、
夏の二段階の朝を上手く表現しているなぁって。

増田さん①の歌は、
日差しのギラついた感じとは違う、
夾竹桃が放つという表現。
でも、お墓からの照り返しだとかは、
体感できる、ワザありの歌でした。

稲田①の歌は、
ある日の曇り空を見て。
あの雲の向こうに、青空があると考えて。

例えば、
AさんとBさんは反目しあっていたとする。
その人たちが、それぞれでふと、
空を見上げて、
思いを貫きたいと空に見上げて思ったとする。
でもAさんとBさんは、
それぞれの正当性を持ってはいるが、
両方叶うとなると、矛盾が生じる。
だから、空に届く手前で、
願いがぶつかって、もつれて、雲を作る。
雲は、青空を見えなくする。

これは、例。

実際には、人間関係のあるなしに係らず、
Aさん、Bさん、Cさん……Xさん、Yさん、Zさんに至るまで、
なにかしらふと、青空にふと、
思いを馳せる。

もつれてもつれて。黒くなって黒くなって。

いらいらして、めんどくさくなって、
私は単純に、
誰の思いも汲み取る気もなく、
「もう、降っちゃえー!!」と、
願わずにいられなくなる。

そんな心の持久力のない自分に、
気がついた歌……ってそんな自虐的な(笑)。
ま、今読み直して、そう思うって事だけど。

増田さん②の歌の方が、
増田さん①の歌よりも、実は好評で、
作者さんは、意外だな、と思われたようでした。
ちょっと思わせぶりかな、と、
ご自分で気にしていたようだから。
なにか、「夜」だとか「線香花火」だとか、
表記されている「アイテム」よりも、
時間的なもの(「過去(経験)」とか「今・未来」とか)の、
受け入れ方のようなものを、語り合いました。

あと、作品を集めている特権で、
増田さん①②を、一枚のFAX用紙で読んだ時、
「色が対照的な二首を送ってきたなぁ」と、
眺めてしまいました。
本人は、意識して、カップリングされたわけではないそうですが。

楽人さん②の歌は、
解釈が作者と異なってしまいました。

読み手は、
「雷さん」とさん付けしているので、
雷さんがヒステリーを起こしていて、
そのヒステリーのやり場がない感じを、
詠っているのかなぁと思ってたのですが、
実際には、二句切れ(二行目切れ?)で、
ゲリラ豪雨に対して、
作者自身の中で起こった、
やり場のない気持ちを、
後ろ三行で言っている、といったかたちでした。

稲田②の歌は、
ある日の風呂場で、
何かウツっぽい状態で、
モンモンとしてて、
「あぁ~!!もう~っっ!神さま!!ホトケさまっっ!!」
と思わず口にしてしまったのですが、
そこの「ホトケさま」が「ほみとけさまっっ!!」
になって、
「……あほちゃう」と、自分にしらけてしまったことを、
詠った歌です。

本当は、「独り言」とわかるような表記もありましたが、
推敲の段階で、省きました。

すると、楽人さんが、
「独り言とは思わなかった。
人前で口を滑らしたので、
その場から、ちょっと浮いた存在になったのかなと思った」
の、解釈をもらった時は、
はっとさせられました。

そうか。
私は自分の精神状態が、
ちょっと浮いたってことを言ったつもりだけど、
確かに、
状況から自分が浮いたようにも読め。

むしろそのほうが
この歌のかたちだとすんなり読めちゃうような。

なるほど。

ちなみに、歌会プリントでは、
「ほみとけさま」に、傍点をふって、
強調した表記にしました。

     ★

この日は、
いや、この日の前後は、
本当に暑く、
ゲリラ豪雨も各地であって。
うちの歌会にはめずらしく、
天候を詠う歌が、多かったです。

暑すぎて、歌ネタが、天候に走った、とも、
言えなくもないと、笑い合ってしまいました。

今日は9月19日。

まだ30度を越える日もありますが、
確実に秋になってきています。

秋の風物詩(?)と
風流に言うには、大型な、
台風13号もやってきて。

次回の歌会は、10月5日(日)。

次回も、
天候ネタを詠ってしまいそうで
なんだかヤだわ、と、思いつつ。
(私がね。
他の人はきっとバラエティ豊かだから……と、これプレッシャー?・笑)、

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