日々・ひび・ひひっ!

五行歌(一呼吸で読める長さを一行とした五行の歌)に関する話題を中心とした、稲田準子(いなだっち)の日々のこと。

2008年4月の東大阪歌会(後半)

2008年04月06日 | 五行歌な日々
ではでは早速後半を。

     ★

       大人びたキミに
       もてあそばれる
       前髪
       そのしぐさに
       年相応の顔をみる     ほしかわなお

       足元に
       自己主張している
       糸水仙
       しゃがみこんで
       見る            大西稚比子

       褒めないで下さい
       頭を撫でる
       その手の位置で
       成長が
       止まっちゃいそうで     稲田準子

       そしていつか語られる
       彼らはなぜ滅びたかと
       気候変動のため?
       いや、違う
       集団ヒステリーさ     北里英昭


       ★

ほしかわさんの歌は、
「誰の髪をもてあそんでいるのか?」
というところで、読み手が戸惑っていた。

「大人びたキミ」が、
自分の髪をもてあそんでいるのか、
「大人びたキミ」に、
作者の髪がもてあそばれているのか。

歌全体の印象から、
前者のような気がするけれど……どうだろう……というところで、
歌の景色が定まらず。

「もてあそばれる」という受身形がクセモノでした。

とても大人びた年下の男性が、
仕事場(?)にいて、
難しい話をしているんだけれど、
髪をいじるしぐさが、年相応だと、
作者には思え、
何かほっとしたのだそうです。

大西さんの歌は、
「糸水仙」の花の感じがわかると、
より味わえるかも。

茎や葉っぱが糸のように細い水仙で、
とても小さい花なんだけど、
花のガクも花びらも、とても鮮やかな黄色で。

作者のいう「自己主張」とは、
その鮮やかな黄色から受け取ったもの。
可憐な花なのに、その黄色の強烈さ。

丁度今の時期に咲いています
(検索したらいろんな人のブログで写真入でヒットしました)。

稲田の歌は、
褒められる立場と褒める立場と、
両方の目で、うんしょ、うんしょと考えながら。

私は人の頭を撫でるのが結構好きで、
夫を子供扱いや、犬のペット扱いにして、
よくなでなでするのだが、

ふと、その、頭を撫でる行為が、
「てっぺん」を表す行為のように思えた。

「おまえのてっぺんは、ここだよ」と、
示しているような。

そう思えてくると、
今度は、撫でられる立場で、
その状況を考え始め。

すると、息苦しさを感じるようになった。

「もっと伸びたいのに」とでもいうような。
頭を押さえつけられているような。

反発心といわれれば、反発心なのだけれど、
そこに気持ちの落としどころを定められず。

どちらかというと、
褒められることは、好きなほうだ。
褒められたいという欲求は、強いほうだと思う。

なのに、こんな風に思うなんて、という、
嫌悪感が入り混じるので。

「こんな風に思ってしまってごめんなさい」とでもいうような。
あ、あたしの中の、太宰治がぁ~(笑)

で、実は、この歌は、
この歌のかたちではないけれど、
『五行歌』5月号の投稿として送っていた。

フライングだが、載せてしまうと、

褒められて
ここまで伸びてきたけれど
頭を撫でてくる その手に
押さえつけられていると
感じ始めた 自分が嫌で


とまぁ、嫌悪感でまとめたのね。

で、最初はこの歌のまんま提出するつもりでいたんだけれど、
見直したとき、
「褒めないで」と言える、
精神的なタフさが、首をもたげてきたのね。

言い訳せずに言えないのかと。

愚痴ではなく、
不満でもない、
拒絶する言葉を歌の言葉として選ぶのは、
書き手として、
ものすごく覚悟というか、度胸がいる。

少なくとも私はそう。

読み手がどう感じるかとかではなくてね。

「どういう風に見られるか(読まれるか)」よりも、
「こんな風に思っている自分を受け入れる」ということとして。

歌を詠うときに思い知らされる、その本性のようなもの。

だが、本性を詠うのも、本能のようなもので。
腹をくくれば、詠わずにはいられない。

また
褒められる立場の気持ちのラインがピシッとひけると、
褒めているときの自分の中の濁りも見えてくるってもんで。

人を褒めているとき、
私は「褒めている自分」というものを意識しすぎている。
「人を褒める行為」で、
相手を支配しているとでもいうような錯覚で、
ニヤニヤしているところがある。

本性は治らない。

だが、気づいてしまったからには、
飼い慣らしたいです。

嫌悪感なんて、楽なオチで終わらせず、
上回っていきたい。本性を。

北里くんの歌は、
そのアイロニーな感じが、好きだなぁと。

ほしかわさんが、
ショートショートの星新一さんの作品みたいだ、
と言っていたけど、ものすごく共感。

ユーモアが漂っているんだけれど、
でもその皮肉は、笑っていいのかどうか。

少なくともヒトゴトのようには笑えない核がある。
笑い事ではない核がある。

どうなっていくのでしょうね。これから。

     ★

体調の事があるので、
二次会は失礼させてもらうつもりでいたが、
もうちょっとお話したくなったというと、
じゃあ食事ではなく、お茶で、ということで、
スタバへ。

胃はもうなんともなくなっていたが、
まだ、視神経が痛むというか、肩こりがするというか、
そんなごちゃ混ぜな頭痛はしていた。

が、
頭痛の種類によっては、
コーヒーって、いいように作用するんですよね。

アイスラテを飲んでいたのだが、
心なしか、肩こりや視神経の痛みが少し楽になった。

で、回復期に入ると、やっぱりね(笑)

大西稚比子さんが先に退席するころに一緒に……、
と思っていたのだが、
結局「もうちょっと、もうちょっと」
ってことで、閉店になるまで、つまり最後までお話をしていた。わはは。

次回の東大阪歌会は、6月になります。

半袖で、お会いしませう♪

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