思い起こせば、民主時代に、各大臣が右往左往したのは他でもない、役人が結託して情報を大臣にあげなかったからだし、尤もあげたところで、その情報の中身がわからぬ輩がいたかもしれない。田中眞紀子が外務省でひと騒動起こしたのも、官僚の反乱であった。有志は、民主だからというかも知れぬが、自民政権の今でも、年金問題は解決しない、復興税の使途不明も解決してない。大臣だぞ、と恫喝したところで無駄である。彼らが向いているのは太平洋の彼方である。白亜の豪邸である。秘密が10あったら、1つだけ教えればよい。誰にも言わないでねの殺し文句である。大臣なるものは、それを聞いて得々とするだろう。喜色満面の笑みを浮かべるだろう。浮かべてどこぞでうっかり喋るだろう。喋った内容を嬉々として報じるものがいるだろう。ここまでは、今の世と変わらない。変わるのは、喋らせて、報じさせて、あの法律の登場である。
顔面蒼白になった官僚が、「大臣」に耳打ちする。どうして喋ったのですか、法に触れますよと。そこで畳み掛けるように対処法を教える。大臣は地獄に仏とばかりに、官僚の言う事を聞くであろう。聞いて、漏らした相手に伝えるであろう。今度はこれこれを報じよと。勿論、大臣は先ほど自分が周章狼狽したことなど忘れている。そうして、さも自分が策を弄しているかのように相手に伝える。
斯くして事は目出度く相成りにけり。今で言う、TPPに、労働法の改正、増税、年金削除、何でもやり放題である。幸い、今度の法案は機密漏洩を防ぐものである。絵図面をひいたものは、わからないままであろう。どうしてこうなったのかもわからないままである。時の大臣某が裏で云々という言葉が巷間に出回った頃には、何もわからない。大臣なんて持ち上げていても選挙が終わればただの人である。騒いだところで、簡単にしょっぴける。出庭って来るのはし下っピキで十分である。
黒澤の名作の一つに「悪い奴程よく眠る」とあった。小生も枕を高くして眠る。