『100万回生きたねこ』
佐野洋子 作・絵
定価1470円
講談社
100万年も しなない ねこが いました。
100万回も しんで 100万回も 生きたのです。
100万人の 人が、そのねこを かわいがり、100万人の
人が、そのねこが しんだとき なきました。
ねこは、1回も なきませんでした。
●
あるとき、ねこは 王さまの ねこでした。ねこは、
王さまなんか きらいでした。
●
あるとき、ねこは 船のりの ねこでした。 ねこは、
海なんか きらいでした。
●
あるとき、ねこは サーカスの 手品つかいの
ねこでした。ねこは、サーカスなんか きらいでした。
●
あるとき、ねこは だれの ねこでも ありませんでした。
なにしろ、りっぱな とらねこだったので、 りっぱな
のらねこに なりました。
●
どんな めすねこも、ねこの およめさんに
なりたがりました。
●
たった 1ぴき、ねこに 見むきも しない、白い
うつくしい ねこが いました。
「そばに いても いいかい。」
と、白いねこに たずねました。
白いねこは、
「ええ。」
と いいました。
ねこは、白いねこの そばに、いつまでも いました。
白いねこは、かわいい 子ねこを たくさん うみました。
ねこは、白いねこと たくさんの 子ねこを、
自分よりも すきなくらいでした。
●
白いねこは、すこし おばあさんに なっていました。
ある日、白いねこは、ねこの となりで、しずかに
うごかなく なっていました。
ねこは、はじめて なきました。夜になって、朝になって、
また 夜になって、朝になって、ねこは 100万回も
なきました。
●
ねこは、白いねこの となりで、しずかに うごかなく
なりました。
ねこは もう、けっして 生きかえりませんでした。
わが家の「にゃん太」→
佐野洋子 作・絵
定価1470円
講談社
100万年も しなない ねこが いました。
100万回も しんで 100万回も 生きたのです。
100万人の 人が、そのねこを かわいがり、100万人の
人が、そのねこが しんだとき なきました。
ねこは、1回も なきませんでした。
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あるとき、ねこは 王さまの ねこでした。ねこは、
王さまなんか きらいでした。
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あるとき、ねこは 船のりの ねこでした。 ねこは、
海なんか きらいでした。
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あるとき、ねこは サーカスの 手品つかいの
ねこでした。ねこは、サーカスなんか きらいでした。
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あるとき、ねこは だれの ねこでも ありませんでした。
なにしろ、りっぱな とらねこだったので、 りっぱな
のらねこに なりました。
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どんな めすねこも、ねこの およめさんに
なりたがりました。
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たった 1ぴき、ねこに 見むきも しない、白い
うつくしい ねこが いました。
「そばに いても いいかい。」
と、白いねこに たずねました。
白いねこは、
「ええ。」
と いいました。
ねこは、白いねこの そばに、いつまでも いました。
白いねこは、かわいい 子ねこを たくさん うみました。
ねこは、白いねこと たくさんの 子ねこを、
自分よりも すきなくらいでした。
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白いねこは、すこし おばあさんに なっていました。
ある日、白いねこは、ねこの となりで、しずかに
うごかなく なっていました。
ねこは、はじめて なきました。夜になって、朝になって、
また 夜になって、朝になって、ねこは 100万回も
なきました。
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ねこは、白いねこの となりで、しずかに うごかなく
なりました。
ねこは もう、けっして 生きかえりませんでした。
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