





登場人物は主に2人。第一線で有名ブランドの香水を作ってきた天才調香師・アンヌと、彼女に雇われた運転手のギヨーム。仕事の忙しさとプレッシャーから嗅覚に異常をきたしてしまったアンヌは、華やかな表舞台からは程遠い地味な仕事でようやくプライドを保つ日々を送っている。彼女の仕事を運転以外にも手伝わされるのが不満だったギヨームだが、やがて調香師の仕事にもマネジメントにも手腕を発揮し始め、再起をはかるアンヌと共に新しい香りを作り出すために前に進んでいく、という内容。調香師しかできないのにそれを失うかもしれないという不安を持つアンヌと、別れた妻と暮らす一人娘の親権をとるために安定した職と収入が必要なギヨーム。仕事を通して信頼関係を築いていく二人のだんだん変わっていく表情が良いです。






フィンランドの田舎町の食堂を舞台に、心と体にいろんなものを抱えた人たちの物語が展開します。叔母が残した食堂を継ぎ、何のこだわりもないやっつけ料理で店を切り盛りする女性・シルカ。妻を事故で亡くし、その時に世話になった恩人を探しに上海から息子と共にやって来た男・チェン。
チェンが疲れ果てて食堂でお茶を飲んでいると、アクシデントにあったバスの中国人団体観光客が急遽、この店でランチをとることに。食にうるさい中国人にシルカの料理は受け入れられず、途方に暮れていると、料理人であるチェンが手伝いを申し入れ、買出し・調理・サーブ・デザートまでを鮮やかにこなします。そして恩人探しを手伝うからここで料理をしてくれないか、というシルカの申し出を受けます。それからは薬膳料理をベースに、体に優しいメニューで高齢の常連客の体調を改善したり、観光バスが運ぶ団体客に地元の素材を生かした中華料理を出し、食堂は繁盛、地元客にも受け入れられていきます。チェンは自分の仕事で立ち直り、未来を作っていくのです。その先のストーリーはよくあるものですが、世界中に受け入れられる中華料理と、それを作る一流料理人のウデ。やっぱりおいしいものは人を幸せにしてくれますね。




重たい映画です。ポーランドを舞台に、実話をもとに作られました。Le Figaroのプレビューでは「聖と不敬が共存する映画」と評されています。
殺人罪で少年院にいたダニエルは、仮釈放で田舎の製材所に職を得て向かいます。彼は少年院で出会った神父の影響で聖職者になりたいと思うようになったのですが、前科があるとなれない規則なのです。立ち寄った教会で新任の司祭と勘違いされた彼は、この教会の司祭を任され、そのまま成りすましてしまいます。なんとか職務を果たし、次第に信頼もされてきたある日、彼の過去を知る男が現れ、彼を脅します。そこからの顛末は、天国から地獄へ落ちるような展開になります。切望する職に就けないという事実と、ウソをつきながらも教会を頼る人を救っているという事実。見終わってから、重たい作品だったなと思いました。