――映画「身も心も」(柄本明、奥田瑛二、かたせ梨乃、永島暎子、速水典子、宮本亜梨紗、加藤治子、原作=鈴木貞美、監督=荒井晴彦・1997) DVD

複雑な過去を持ち、いまだに青春を引きずる全共闘世代の男女4人の愛の彷徨を描いた心理ドラマ。
◇
妻子と別居している開店休業中のシナリオライター、関谷善彦(柄本明)は、大学時代の友人・岡本夫妻がニューヨークへ出張する間、留守番を頼まれた。善彦は、東京から飛行機で1時間ほどの小さな町=大分県湯布院=へやってきた。善彦は、岡本良介(奥田瑛二)が彼を気遣って留守中の仕事にと残していった辞書の校正に取りかかった。そこへ、原田麗子(永島暎子)という女が東京からやってきた。良介の妻・岡本綾(かたせ梨乃)から、留守中の喫茶店を手伝うよう頼まれたという。
ほとんど初対面の善彦と麗子の話題は、互いの共通の友人・岡本夫妻のことばかりだった。そして、ふたりのとりとめのない会話から、4人の複雑な関係をお互いが知ることになった。善彦は学生運動中にバリケードを壊しにきた機動隊に火炎ビンを投げ、3年間投獄された。その間に恋人の綾を親友の良介に奪われた。麗子はそのころから綾の親友で、綾の気持ちの揺れを逐一聞いていた。
ある夜、酔っ払った麗子が綾の口調を真似て、「3年が待てなかったのよ」といった。善彦もふざけて良介の真似をして応じた。なかば冗談、なかば本気で、麗子は綾を、善彦は良介を演じ、たがいに心の中を語った。叶えられなかった本当の愛と、偽りの演じる愛とがないまぜになった。そして、ふたりは身体を重ねるようになった。
そのようなとき、綾が突然ひとりでニューヨークから帰ってきた。うまくいかなくなっていた夫婦関係を修復するはずの外国生活が逆に亀裂を深め、綾は良介を置き去りにしたまま、この町にもどってきたのだった。善彦は昔のことを思い出し、綾とも関係をもった。
それからも、善彦はどっちつかずのまま、綾とも麗子とも関係をつづけた。やがて、ニューヨークから良介がもどってきた。彼は善彦への過去の裏切りが、まだ割り切れずにいた。
良介と綾は、離婚することになった。この町を去る決心をした善彦と麗子は、ふたり一緒に町を出て、東京で別れた。善彦がマンションへ帰ると、娘のあやね(宮本亜梨紗)が部屋のドアの前に座って待っていた。善彦は、笑顔で娘に向かって走っていった。
◇
<キャスト>
関谷善彦(柄本明)=妻子と別居している開店休業中のシナリオライター。大学時代の友人・岡本夫妻のニューヨーク出張中の留守番を頼まれ東京を遠く離れた小さな町とへやってくる。
原田麗子(永島暎子)=岡本良介の妻・綾と親友である麗子は綾から彼女が手伝っていた喫茶店の留守番を頼まれ、関谷善彦と同じくしてこの町へ東京からやってくる。
岡本良介(奥田瑛二)=「僕は綾に母親を求めていた」「女は20年経つと変わるよな。おふくろは変わらん。歳をとるだけだ」というマザコン男。母親は加藤治子。
岡本綾(かたせ梨乃)=良介との夫婦関係を修復するはずの外国生活が逆に亀裂を深め、麗子は夫良介をニューヨークへ置き去りにしたままこの町にもどってくる。
◇
挿入歌「SEXY」(下田逸郎作詞・作曲) 歌=石川セリ、下田逸郎
子供みたいに笑うあなたが 急に黙ってセクシー
旅に出るなら 夜の飛行機
つぶやくあなた セクシー
夜の深さにふたり溶けてゆくのね
愛の言葉はみつめあうこと
ふたつの心 セクシー
愛の暮らしに少し疲れた あなたとわたし セクシー
明日のことは 誰も知らない
だから今夜は セクシー
夜の深さにふたり溶けてゆくのね
愛の言葉はみつめあうこと
ふたつのからだ セクシー























……ノスタルジーを煽るような挿入歌。同時代の主人公たち。生きてきた青春の匂いがただよってくる。

複雑な過去を持ち、いまだに青春を引きずる全共闘世代の男女4人の愛の彷徨を描いた心理ドラマ。
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妻子と別居している開店休業中のシナリオライター、関谷善彦(柄本明)は、大学時代の友人・岡本夫妻がニューヨークへ出張する間、留守番を頼まれた。善彦は、東京から飛行機で1時間ほどの小さな町=大分県湯布院=へやってきた。善彦は、岡本良介(奥田瑛二)が彼を気遣って留守中の仕事にと残していった辞書の校正に取りかかった。そこへ、原田麗子(永島暎子)という女が東京からやってきた。良介の妻・岡本綾(かたせ梨乃)から、留守中の喫茶店を手伝うよう頼まれたという。
ほとんど初対面の善彦と麗子の話題は、互いの共通の友人・岡本夫妻のことばかりだった。そして、ふたりのとりとめのない会話から、4人の複雑な関係をお互いが知ることになった。善彦は学生運動中にバリケードを壊しにきた機動隊に火炎ビンを投げ、3年間投獄された。その間に恋人の綾を親友の良介に奪われた。麗子はそのころから綾の親友で、綾の気持ちの揺れを逐一聞いていた。
ある夜、酔っ払った麗子が綾の口調を真似て、「3年が待てなかったのよ」といった。善彦もふざけて良介の真似をして応じた。なかば冗談、なかば本気で、麗子は綾を、善彦は良介を演じ、たがいに心の中を語った。叶えられなかった本当の愛と、偽りの演じる愛とがないまぜになった。そして、ふたりは身体を重ねるようになった。
そのようなとき、綾が突然ひとりでニューヨークから帰ってきた。うまくいかなくなっていた夫婦関係を修復するはずの外国生活が逆に亀裂を深め、綾は良介を置き去りにしたまま、この町にもどってきたのだった。善彦は昔のことを思い出し、綾とも関係をもった。
それからも、善彦はどっちつかずのまま、綾とも麗子とも関係をつづけた。やがて、ニューヨークから良介がもどってきた。彼は善彦への過去の裏切りが、まだ割り切れずにいた。
良介と綾は、離婚することになった。この町を去る決心をした善彦と麗子は、ふたり一緒に町を出て、東京で別れた。善彦がマンションへ帰ると、娘のあやね(宮本亜梨紗)が部屋のドアの前に座って待っていた。善彦は、笑顔で娘に向かって走っていった。
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<キャスト>
関谷善彦(柄本明)=妻子と別居している開店休業中のシナリオライター。大学時代の友人・岡本夫妻のニューヨーク出張中の留守番を頼まれ東京を遠く離れた小さな町とへやってくる。
原田麗子(永島暎子)=岡本良介の妻・綾と親友である麗子は綾から彼女が手伝っていた喫茶店の留守番を頼まれ、関谷善彦と同じくしてこの町へ東京からやってくる。
岡本良介(奥田瑛二)=「僕は綾に母親を求めていた」「女は20年経つと変わるよな。おふくろは変わらん。歳をとるだけだ」というマザコン男。母親は加藤治子。
岡本綾(かたせ梨乃)=良介との夫婦関係を修復するはずの外国生活が逆に亀裂を深め、麗子は夫良介をニューヨークへ置き去りにしたままこの町にもどってくる。
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挿入歌「SEXY」(下田逸郎作詞・作曲) 歌=石川セリ、下田逸郎
子供みたいに笑うあなたが 急に黙ってセクシー
旅に出るなら 夜の飛行機
つぶやくあなた セクシー
夜の深さにふたり溶けてゆくのね
愛の言葉はみつめあうこと
ふたつの心 セクシー
愛の暮らしに少し疲れた あなたとわたし セクシー
明日のことは 誰も知らない
だから今夜は セクシー
夜の深さにふたり溶けてゆくのね
愛の言葉はみつめあうこと
ふたつのからだ セクシー














































……ノスタルジーを煽るような挿入歌。同時代の主人公たち。生きてきた青春の匂いがただよってくる。