グローカル雑記帳

異文化理解や国際交流、中国のこと、日本の地方創生などについて。
また、日々の思ったことなど。自戒も込めた記録です。

多文化社会と暦 ――大連のウイグル族が示してくれた現実

2019年02月14日 | 国際交流や国際理解
 中国では旧暦で正月を祝います。旧暦の正月を「春節」と言います。最近は、日本でも「春節」という言葉が普通に使われている気もしますね。2019年は、2月5日が旧暦の1月1日でした。

 先程、「中国では」と書きましたが、法定祝日として連休になるというだけで、中国の全ての人が春節を祝うわけではありません。この現実を教えてくれたのは、イスラーム系のウイグル族でした。
 私のいた大連で、ウイグル族の方々は、よくレストランを開いていました。屋台の場合もありました。そこで人気の一品は、羊肉の串焼きです。屋台で、羊肉の串焼きを食べながらビールを飲む、これは大連の夏の風物詩です。ウイグル族でない人も、普通にウイグル族の店で食事はするのです。

 ある年の春節のことでした。春節の時期は、ほとんどの人が地元へ帰るため、大連の様な都市部からは人がいなくなってしまいます。街は打って変わって静かになり、普段の様子から様変わりします。もちろん、多くの店が休業です。そんな春節一色の街の中で、通常営業しているウイグル族の方々を見たのです。それを見て、私はハッとしました。ウイグル族は、おそらくイスラーム暦に従っているのだと思います。春節など、大した意味はないのです。中国の暦は、ウイグル族など違う暦を持っている人たちを、完全に置き去りにしているのでした。

 暦のついでに時差にも触れますと、中国に時差はありません。国土は東西に広がっているのに、中国国内のどこへ行っても、北京の時間が適用されているのです。本当なら、アメリカの様に、国内で時差があるはずです。中国の西の方は、時計の示す時刻と実生活での時刻が、明らかにずれていると思います。中国の地図を見れば一目瞭然ですが、東側にある北京に対し、西の方はウイグル族やチベット族の土地なのです。


 暦に話を戻しますと、日本でも、色々な暦が存在するということを、念頭に置いておく必要があるのではないでしょうか。多文化共生を目指す社会では、なおさらのことと思います。
 私の経験では、春節の話しかできませんが、春節を祝う中国の方々は、とても春節を大切にしています。大連にいた頃、春節に対する人々の気持ち、つまり、どれほど春節を大切にしているかという気持ちを、痛いほど感じました。
 もし、職場や周りに中国の方(または、旧暦で正月を祝う方々)がいらっしゃれば、来年の春節(旧正月)は、ぜひ一緒に祝ってあげてください。日本で暮らしていても、春節(旧正月)は祝いたいはずなのです。そうすれば、相手との距離が、ぐっと縮まるはずです。
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