グローカル雑記帳

異文化理解や国際交流、中国のこと、日本の地方創生などについて。
また、日々の思ったことなど。自戒も込めた記録です。

中国と少数民族 ―モンゴル族、朝鮮族、満洲族、回族、ウイグル族2/2―

2019年02月13日 | 中国や大連のこと
 前回からの続きです。

 ウイグル族の人は別ですが、モンゴル族、朝鮮族、満洲族、回族の人たちとは、職場や仕事を通して知り合いました。大連で外国人と接するような人たちは、外国語を操ります。日本風に言うなら、私が大連で知り合った少数民族の人たちは、「外国語を駆使し、外資系で働く人たち」でした。南方の少数民族については分かりませんが、東北部である大連の少数民族は、その言葉から連想されやすいであろう「弱者」ではありませんでした。逆に、都会に暮らす優秀な、力のある人たちでした。

 ですが、「弱者」と感じられないということは、少数民族が抑圧されていないということではありません。モンゴル族は、モンゴル語が母語。朝鮮族は、韓国語(朝鮮語)が母語です。母語は民族の言葉で、外国語として中国語を習うのです。ですので、日本へ留学し、大連でも日本語で仕事をしている朝鮮族の人たちからは、「中国語よりも日本語が得意だ」と言われました。この言葉は、真実に近いでしょう。この様な言語状況は、たくさんの朝鮮族の友人と触れ合う中で、徐々に分かってきたことです。

 しかし、ウイグル自治区の強制収容所が国際的にも非難を浴びている通り、同化政策は着々と進んでいます。中国語しかできない少数民族も、増えているのです。また、中国語の方言すらも、抹殺の対象になっています。大連でも「方言はやめて、普通話(共通語のこと)を話しましょう。それが進歩的な生活です」といった標語を街中で目にします。中国語の方言は、外国語ととらえた方が正確です。中国語の普通話しかできない人は、上海方言や広東方言を理解できません。要するに、「自分たちの理解できない言葉を使わせないこと」を、中国政府は目指しているのではないでしょうか。それが、独裁体制を維持するための手段の1つなのでしょう。
 トルコ外務省の声明が言う通り、同化政策は「人類にとって大きな恥」であり、「人類の悲劇」です。
 進行中の同化政策が中国にはありますが、日本がアイヌや琉球に対して行ったように、また、アメリカのネイティブアメリカンやオーストラリアのアボリジニの例なども然りで、過去の(完了した)同化政策も、世界各地にあるでしょう。進行中の同化政策も、中国以外にあるかもしれません。あらゆる同化政策は、多文化主義の観点からも、批判的に見直されるべきです。

 最後に、回族の人のこと書いて、終わろうと思います。私は、その回族の友人に、翻訳を頼んでいました。正確で、微に入り細を穿つ翻訳をする人で、翻訳家の仕事とはどういうものなのか、私はその友人から教えられました。ですが今は、音信不通になってしまいました。中国と1975年から関わっている私の大先輩は、「隔離されたのではないか」と言います。長年の中国経験から、そう感じるとのことでした。民族が理由なのか分かりませんが、その友人はいじめに遭っていることも、私には話してくれました。漢族に合わせようと、無理している風もありました。前述の通り、回族もイスラーム系です。まさかとは思いますが、ウイグル自治区の強制収容所が、私の頭によぎります……
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