AKIRAがGLAYのメンバーに加わったことでドラムの音も安定し、TAKUROはますますやる気が出てきた。
「絶対、これから1年のうちに曲で答えを出すよ。絶対、頑張るよ」と言いながら曲作りに励んだこともあって、持ち歌がたまってきた。AKIRAが働いていたサウンドステーションで安上がりなレコーディングのパックを売り出したのは、ちょうどそんな頃だった。
●レコーディング決定
「レコーディング6時間パック」という企画だ。4万円払えばスタジオが4時間使えて、レコーディングができた。
そこでAKIRAが、「レコーディングしようよ。TAKUROの曲もけっこう増えてきたし」 こう言い出すと、全員が「いいじゃん、それやろうよ。4万円ぐらいだったら高くないからさ」と盛り上がり、レコーディングが決定した。
このとき録ったデモテープが「DANCE VISION」だ。曲目は、『FLOWERS GONE』、『JUNK ART』、そして『TWO BELL SILENCE』、『MOON GOLD』、『心に雨が・・・』の5曲入り。
午後3時ごろから始まったレコーディングも、夜の9時には終わった。かなり納得のいくレコーディングができた。
レコーディングといっても、メンバーにはちゃんとした技術があったわけではない。ただ、AKIRAがこのサウンドスニプーションに3カ月ほど店員として働いていたのでメカにもかなり精通するようになっていたのがかなり役に立った。
ベースやギター、ドラム、そして、ボーカルを次々に重ねていく。「函館で録った曲もこんなに綺麗に澄んだ音は録れなかったよね。最高だよ」と、メンバー誰もが口をそろえた仕上がりだった。
この『DANCE VISION』は後々、GLAYの最大の収入源になった。
【記事引用】 「Beat of GLAY/上島明(インディーズ時代のドラマー)・著/コアハウス」