不動の動

洞察しましょう――(観相学的)断章(フラグメント)。。う~ん、、洞察には至らない印象を書き留めるメモ、いや落書きかな。

火朝

2018-10-30 | Weblog
河北新報
河北春秋(10/30):身の毛もよだつニュースだった。「ユダヤ人…
2018年10月30日 火曜日
 身の毛もよだつニュースだった。「ユダヤ人は全員死ね」と、男は叫んで乱入し銃を乱射した。米国で起きたユダヤ教会堂の襲撃事件。赤ちゃんの命名式や礼拝に集った信者らの11人を殺害し、6人を負傷させた▼容疑者は犯罪歴のない白人の男で、白人以外の人種や少数者らに差別的な考えを持つ人々の多い交流サイトに投稿していた。犯行前、移民を支援するユダヤ人団体を憎悪する書き込みをしたと伝えられた▼「オルト・ライト(新保守派)」なる言葉がある。長らく社会の支配階層だった白人男性らを中心に、仕事を脅かし伝統の価値観を変える動きに怒りを抱く人々の動きだ。その声を代弁しないメディアを信じず、同様に批判的メディアに「偽ニュース」と反撃するトランプ大統領の支持者が多い▼米国では別の物騒な事件も起き、トランプ氏を批判してきた民主党のオバマ前大統領、俳優ロバート・デ・ニーロ氏ら9人に小包爆弾が送られた。容疑者はやはりネットで「政敵」への憎悪を拡散していた男だった▼「国民の敵」。自らの政策や姿勢に異議を唱える者を、ツイッターでこう攻撃するのが今のトランプ流。敵対をあおる政治は社会の分断を隅々に広げ、暴力的な犯罪まで引き起こす。世界が憧れた「自由の国」はもはや幻影か。(2018.10.30)


木曜朝

2018-10-25 | Weblog
デーリー東北
天鐘(10月25日)
 コンビニのレジで会計をする度に、済まないという気持ちが増すようになっていた。誰に対してかというと、相手は地球。ビニールごみをまた増やしてしまう▼ちょっとお菓子やおにぎりなどを買った時の袋だ。「袋はいいですよ」と断りたいのに、ついつい入れてもらい、たまる一方。サイズは小さいが、何十枚ともなればあっという間にかさばる。家で生ごみをまとめるのに使っても余る▼スーパーにはエコバッグを持参するけれど、さっと立ち寄るコンビニには財布だけ持って入るのが常。意識して“マイバッグ”を用意すれば済む話なのだが▼海洋汚染の一因として問題になっているプラスチックごみ。漂流したビニールを餌だと思って飲み込む生き物もいるという。削減に向けて環境省は、レジ袋の有料化を小売店に義務付ける方針を固めた。コンビニも対象になる▼異論、効果への疑問も聞こえる。確かに有料化だけで全てが解決するわけではないが、環境保全を考えるきっかけにはなる。既に多くのスーパーなどは有料化を導入済み。消費者は最初戸惑ったが、バッグ持参派は確実に増えた▼身近なレジ袋が地球規模の問題につながっている。人間社会の利便性だけを基準に判断している場合ではなさそうだ。地球に共生する「生き物」として気配りを忘れてはいないか。快適な生活がある一方で、別の生き物の生活が破壊されている。


イージス・アショア
北斗星(10月25日付)
2018年10月25日
 「国策だから反対できないという意見があるが、決してそんなことはない」。新潟県旧巻町(新潟市)で町長を務めた笹口孝明さん(70)が以前講演で力説していた。原発問題に正面から対峙(たいじ)した重みが伝わってきた
▼東北電力が巻町への原発建設計画を発表したのが1971年。町を二分する議論が繰り広げられる中、住民団体代表として奔走したのが笹口さんだ。町長に就任した96年には原発の是非を問う国内初の住民投票に踏み切った。反対6割と「原発ノー」の意思が鮮明になり、その後計画は頓挫した
▼地域に大きな影響を与える問題だからこそ住民の意思が鍵を握る。国策とはいえ情報が十分開示され、一定の合意が得られて初めて可能となる。笹口さんの主張は明快だった
▼秋田市の陸上自衛隊新屋演習場が候補地に挙がる迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」は、防衛を目的とした国策だ。だがテロや軍事衝突が起きた場合、被害が演習場にとどまらないことは誰でも想像がつく。住民が反対するのは当然だ
▼適地か否かを見極める調査を前に、防衛省幹部らが秋田市を訪れ知事や市長、住民に調査の概要を説明した。判断は来年度下すという。国の土地だから粛々と進めます。そんな有無を言わさぬ姿勢に見えて仕方がない
▼「最悪なのは論議が深まらない中でいつの間にか決まってしまうことだ」と笹口さん。住民をないがしろにした判断など受け入れられるはずがない、と今から言っておく。


下野新聞 雷鳴抄
96%
 「96%」。震災から7年7カ月がたった東京電力福島第1原発や周辺の現状を示す一つの数字である。先日、共同通信の視察団に加わり現地を訪れた際、発電所の内外で聞き「時の流れ」を考えさせられた▼原発内では、爆発や火災のあった1~4号機を間近で見た。津波の爪痕が生々しく残る。燃料デブリの取り出しや汚染水対策など課題はなお山積みで、改めて事故の重大性を実感した▼ただ、防護服の作業員は姿を消し「一般作業服で歩けるエリアが96%」と担当者は話す。現在も4千人以上が働く。職場環境という点では改善しつつあるようだ▼一方、原発がある双葉町はいまだ96%が帰還困難区域だ。全町避難が続き、役場機能もいわき市に移されたままである。「復興のために」と汚染土壌の中間貯蔵施設を受け入れた伊沢史朗(いざわしろう)町長は講演で、「町を新しくつくり替える」と力説した▼折も折、津波対策を巡り強制起訴された東電旧経営陣は公判で責任を否定した。「真実を明らかにしてほしい」。被災者の偽らざる気持ちだろう▼小紙には原発事故以降、県内各地の空間放射線量率を掲載するコーナーがある。低レベルに下がり落ち着くが、それに比例して被災地への関心まで薄れてはいないか。闘いが続くフクシマの今を目の当たりにし、風化させてはいけないと肝に銘じた。


信濃毎日新聞
斜面
パレスチナ難民キャンプではイスラエル兵が取材を拒み、入ろうとする記者を拘束し時に発砲した。フォトジャーナリスト広河隆一さんは戦車に追い掛けられた。逃げたら撃たれる。だが取材できないまま逮捕されるわけにはいかない
   ◆
とっさに逃げ込んだ路地は5メートル先で行き止まり。万事休すと思った瞬間、パレスチナ人の家の戸が開き男が手招きした。広河さんはその家に飛び込んで追っ手から逃れた。住民はかくまえばイスラエル兵に殺される危険がある。それを承知で助けたのだ
   ◆
広河さんはかつて本紙に書いていた。加害者は被害を隠す。ゆえに被害者はジャーナリストの手を借りて被害を伝えようとする。それが次の被害を防ぐ唯一の道だから、と。世界の目が注がれることに生きる望みをかける。そうした人々とのつながりがジャーナリストの身を守る
   ◆
内戦のシリアで行方不明になった安田純平さんが解放された。無事を何より喜びたい。けれど経過をきちんと省みることも必要だ。なぜ拘束される事態に陥ったのか。準備は万全だったのか。現実を伝えてほしいと願ったシリアの人々への責任でもある
   ◆
3年前の後藤健二さん殺害事件を受け「危険地報道を考えるジャーナリストの会」が発足した。再発防止策を自ら考え継承する組織だ。報道の意義を知ってほしいと共著「ジャーナリストはなぜ『戦場』へ行くのか」を出した。世界の現実に目を閉ざさないためにも、読みたい1冊である。



中日春秋
 <人間の智慧(ちえ)は、ただこの二つの言葉にふくまれている…待て、しかして希望せよ>。デュマの長編小説『モンテ・クリスト伯』の有名な結びだ。苦しい時も希望をもって耐え続ければ、道は開ける。長い物語はそれが大切だと呼びかけて終わる
▼主人公の青年は陰謀により監獄に入れられ、脱獄するまで十年以上苦しみを味わう。待つことも希望することも難しい過酷な世界で、耐え抜いた強さが結語を生き生きとさせている
▼シリアの武装組織に拘束されたジャーナリストの安田純平さんが無事に解放された。希望を失わず、待ち続けた三年余りの日々ではなかったか。日本人がテロリストに拘束され、命を奪われてきた地域である。恐怖に耐え抜いた精神力は拘束を脱する要因になったに違いない
▼国境なき記者団のまとめでは、安田さんのように拘束されたジャーナリストが昨年末の時点で中東などに五十人以上。その帰還を待っている人々に、希望を与える物語にもなったのではないか
▼紛争地の現実を多くの人に届けるのが安田さんの狙いだったはずだ。それを果たせず、解放のために外国を含む政府関係者の力を大いに借りた。自己責任だという意見も上がろう
▼プロとして無念の思いや反省が湧き上がってくるのではないか。ただ過酷な世界で何を体験し、何を見たかを伝えることができる。それは重要な仕事だろう。



水朝

2018-10-24 | Weblog
朝日
(社説)障害者雇用 水増し不正の根絶を
2018年10月24日
 中央省庁が障害者の雇用数を水増ししていた問題で、第三者委員会の検証報告や地方自治体の自主点検結果が公表された。
 国の行政機関での不正事例は3700人分に上る。新たに公表された都道府県・市町村などの約3800人分と合わせると、過大計上は約7500人分にもなる。国会や裁判所でも同様の事例が見つかっている。
 信じ難いほどの不正の広がりだ。だが、なぜ水増しが行われるようになったのか、肝心な点が解明されていない。
 そもそも1カ月余りでの検証には、限界がある。調査を続け、歴代の関係者も含めて責任の所在を明確にし、厳正に対処すべきだ。不正の根を突き止め、絶つことなしに、再出発はあり得ない。
 第三者委によれば、各省庁は障害のある職員が退職した際、多くの場合、在職している職員の中から新たに障害者を選び、雇用率に算入していたという。まさに法定雇用率を充足するための「数合わせ」ではないか。
 手法も悪質だ。「うつ状態」と自己申告した職員などを、臓器などの内部機能に障害がある「身体障害者」としたり、長年引き継がれてきた名簿をもとにすでに退職した人や亡くなった人を加えたりしていた。
 再発防止のため、厚生労働省が各省向けの手引を作成し、各省庁でも複数の職員によるチェックを強化するというが、不十分だ。第三者委は、各省庁への指導監督体制の不備も指摘している。早急に見直すべきだ。
 水増しの発覚で下がった障害者雇用率を上げるため、政府は2019年末までに、計約4千人の障害者を採用する方針だ。早急な是正は必要だが、「数合わせ」に終わってはならない。
 やりがいを持って働ける職場の環境づくり、その人に適した仕事の内容や働き方の工夫、サポート体制がなければ、長く働き続けることは難しい。
 障害者の社会参加にとどまらず、共に働くことは誰もが働きやすい職場の実現にもつながる。共生の理念が政策に反映される意義も大きい。
 そんな障害者雇用の原点に立ち返り、それぞれの人が能力を発揮できる職場改革に取り組まねばならない。
 今年4月から法定雇用率が引き上げられ、民間でも障害を持つ人を活発に採用している。民間と奪い合うのでは、障害者の雇用を広げることにならない。民間でなかなか採用が進まない精神・知的障害の人たちの働く場を広げることこそ、公的機関の役割ではないか。


岩手日報
(風土計)2018.10.24
 秋の夕暮れ時は、夏場とは異なる太陽光の加減で遠近感が狂いがち。その時間帯に重大な交通事故が多発する遠因の一つとされる。県警が、薄暮時の取り締まりを強化するのももっともだ
▼「レーダーパトいるいる作戦」と銘打って幹線道の目立つ場所にパトカーを待機させ、運転者や歩行者に注意を促す。あえて「見せる」のがミソだろう。その存在が社会正義を体現するからこそ、効果も上がる
▼その実、パトカーも時に過ちを犯す。駐車違反や通行禁止区域への乗り入れで反則切符を切られた例もあるし、速度超過で書類送検された覆面パトカーもある。県内では、免許失効中に乗務していた例もあった
▼いずれも過去の本紙報道だ。日々の業務の全体から見れば極めてまれな事案が、その軽重によらず全国的に報じられるのは、それ自体が警察活動への信頼や期待感の証し。扱われなくなったら、その方が物騒だ
▼霞が関を揺るがす障害者雇用水増しは、1976年の雇用義務化当初から行われていたという。根底には「お役所が不正をするはずがない」との過信やなれあい。この状態で民間を指導していたとは、あきれる
▼今日から臨時国会。新閣僚に持ち上がる「政治とカネ」問題に官邸筋は「大ごとではない」とうそぶく。「政治家が不正をしないはずがない」とでもいうのだろうか。


信濃毎日新聞
斜面
「リボ払いに何年も気付かなかった」と知人の腹の虫はなかなか治まらない。自称“現金派”なのに大きな買い物でクレジットカードを使い、定額返済の仕組みを知らず金利手数料を払い続けた。認識不足が招いた悔しさはよく分かる
   ◆
日本では現金を使う人がなお多い。2015年の現金決済の比率は8割。韓国の1割、中国の4割に比べて圧倒的だ。偽札がなく奇麗なこと、落とした財布も戻る治安の良さ、ATMの普及などが理由に挙げられるが、現金のありがたみも無視できまい
   ◆
韓国で一気に普及したのは1997年の通貨危機がきっかけだ。政府は消費拡大や商店の脱税防止を狙ってクレジットカードの買い物に税金を優遇したり宝くじを付けたりした。使いすぎた個人の破産が多発し問題にもなった。わが政府も一気呵成(かせい)にキャッシュレスに走るらしい
   ◆
来年の消費税増税からカードやスマホでの買い物に増税2%分をポイント還元する検討に入った。軽減税率の食料品などにも付くので今よりも得になる。端末導入に二の足を踏む中小店舗への支援策も整えるという。それにしても強引すぎる誘導である
   ◆
キャッシュレスで得られる膨大な個人データが新事業を生む、先進諸国から取り残されるな―。経済産業省が旗を振る。カード事業は米国のレストランで財布を忘れ気まずい思いをした実業家の発案だった。以来便利さの追求は加速する一方だが、現金派が不利益を被らないよう願いたい。



神戸新聞
正平調
2018/10/24
ペンは剣よりも強し、の信念を貫いたジャーナリストの死に世界の憂慮が深まっている。サウジアラビア人記者ジャマル・カショギ氏がトルコのサウジ総領事館で死亡した事件である◆「暗殺とは、究極の検閲である」。英国の劇作家バーナード・ショーの言葉だそうだ。果たしてその記者が非業の死を遂げたのも“究極の検閲”によるものではなかったか。疑いのまなざしは日を追って強まる◆記事によれば、サウジの次期国王と目されるムハンマド皇太子の関与があったのかどうか、それが焦点だという。皇太子は強権的に異論を封じてきたとされる。その専制をきつく批判したのがカショギ氏だった◆サウジ当局は「彼は立ち去った」という最初の説明を覆し、総領事館で亡くなったことをしぶしぶ認めている。「口論と格闘の末に」と計画性は否定するが、はじめにウソをついたことでますます分を悪くした◆チャプリン語録にある。「わたしは祖国を愛しているが、祖国を愛せよと言われたら祖国を去る」と。サウジを追われて米国に移っても、カショギ氏は政府批判をやめなかった。そこに祖国への愛と良心を見る◆思ったことが言えず官憲の影におびえる時代が日本にもあった。言論封殺はあながち遠い異国の話でもない。


紀伊民報
水鉄砲
「読書週間」
 27日から読書週間が始まる。情報がインターネットで手軽に得られる時代だからこそ、若い人には読書に興味を持ってほしい▼ノーベル賞受賞者イシドール・ラビは、科学者になった理由をこう語る。「毎日学校から帰ると、母にどんな質問をしたかと詳しく聞かれた。だからいい質問をしようと懸命に努力し、科学への目を開かれた」▼教員も一方通行の知識を記憶させるのではなく、生徒を刺激し、疑問を引き出し、徹底的に答える授業が望ましいと、アメリカのコラムニストのトーマス・フリードマン。ピューリツァー賞を3回受賞し、経済の大転換と人間の未来についての予見で、世界的ベストセラーを書いた人だ。「これからの世界は、知能指数よりも好奇心指数、熱意指数が大事」と説く▼これは先日ノーベル賞を受賞した本庶佑さんの主張とも一致する。「全てを疑い、自分の頭で考えて納得できるまでやる」。それにはやはり読書の習慣が重要だ。すべてに「なぜ、それで」という疑問を見つけ、本を開き、その結果を家族や先生にぶつけよう▼こうして好奇心指数、熱意指数が身に付けば、知識への関心はますます高まり、人生が充実したものになる、とフリードマン▼大量の知識を基にあらゆる科目に目を配ろう。「本も読まない若者は携帯を使うサル」と皮肉る評論家もいる。エッセイスト、池澤春菜さんの「三つ子の読書、百まで」を銘記したい。(倫)

火曜朝

2018-10-23 | Weblog
信濃毎日新聞
斜面
無実の罪を雪(すす)ぎ、潔白を明らかにすることを「雪冤(せつえん)」という。旧会津藩士の渋谷源蔵が戊(ぼ)辰(しん)戦争(1868〜69年)から約40年後に著した「雪冤一弁」は、敗者の目から書いた貴重な記録だ。汚名を着せられた無念の思いが表れている
   ◆
戊辰戦争は王政復古のクーデターによって政権を奪取した新政府軍と旧幕府軍の内戦だった。薩摩、長州を中心とする新政府軍は「錦の御旗」を得て「官軍」を名乗ることに成功。旧幕府軍の主力だった会津藩は「朝敵」「賊軍」とみなされて敗北する
   ◆
2年後。旧藩士と家族1万7千人は下北半島に追いやられた。冷たい海風が飢饉(ききん)を引き起こす土地だ。飢えと寒さに人々は辛酸をなめた。戊辰戦争で砲兵として転戦した渋谷はこの開墾生活も経験している。勝者が思うままに記す歴史の理不尽さに煮え湯を飲まされたことだろう
   ◆
明治改元から150年の今日、政府が記念式典を開く。長州人を自負する安倍晋三首相のこだわりが感じられる行事だ。首相は8月、鹿児島の講演で「薩摩と長州で力を合わせ新たな時代を切り開きたい」と発言した。単色の歴史観は視野を狭めないか
   ◆
作家の半藤一利さんは福島民友新聞社刊「維新再考」のインタビューで指摘している。明治の指導者は朝敵を差別し、自分たちだけが偉くなって歴史を隠した。この150年には国家を滅ぼす要因が山ほどあった、と。複眼で実相を見つめれば、学ぶべき苦くて厳しい教訓が浮かび上がる。

月曜朝

2018-10-22 | Weblog

批判すべきところは批判し合い、協調できるところは協調を強める。合理性に立った、新たな日中関係をめざしたい。
朝日社説
https://www.asahi.com/sp/articles/DA3S13734291.html?ref=editorial_backnumber

月曜朝

2018-10-22 | Weblog

批判すべきところは批判し合い、協調できるところは協調を強める。合理性に立った、新たな日中関係をめざしたい。
朝日社説
https://www.asahi.com/sp/articles/DA3S13734291.html?ref=editorial_backnumber

日曜朝

2018-10-21 | Weblog
東京新聞
【社説】
明治150年に考える 来た道をたどらぬよう
2018年10月21日

 明治元(一八六八)年から数えて今年は百五十年。政府はさまざまな行事で祝います。明治とはどんな時代だったか。歴史の美化を離れて考えます。
 汽車や西洋風の赤れんが建物…。上流階級が舞踏会を楽しんだ鹿鳴館もありました。明治には目をみはる変化がありました。
 西洋の思想や文学、科学も入ってきます。それを理解するために和製漢語が生まれました。
 「交響曲」「空想」「詩情」などは森鴎外が。「不可能」「経済」「価値」「無意識」などは夏目漱石が造語したそうです。「芸術」「科学」「知識」などは哲学者の西周(あまね)が考案したとも…(作家・半藤一利氏の著作による)。
◆松陰の帝国主義とは
 何とも「文明開化」の明るい雰囲気が感じられませんか?
 別の一面もあります。「富国強兵」のスローガンに駆り立てられ、国内外に無数の犠牲者を生んだ時代です。日本史で「近代」とは、明治維新から一九四五年、太平洋戦争の敗戦までとされます。血みどろの時代でした。
 <急いで軍備をなし、隙に乗じてカムチャツカ半島やオホーツクの島々を奪い、琉球にも幕府に参勤させるべきである。朝鮮を攻めて、北は満州の地を割き、南は台湾やフィリピン諸島を手に入れよう。進取の勢いを示すべし>
 幕末にこんな趣旨の文章を残した人がいます。長州(山口)の思想家・吉田松陰です。「幽囚録」(講談社学術文庫)に書かれています。
 軍事力で他国の領土や資源を奪う帝国主義の思想そのものです。実際に朝鮮や台湾は、日本の植民地になりました。中国東北部の満州には日本の傀儡(かいらい)国家「満州国」をつくっています。
 まるで松陰が描いた“戦略図”は、近代日本の戦争の歴史そのものではありませんか。
◆統帥権で軍が暴走した
 カムチャツカ半島はなくとも、樺太の南半分は手に入れ、フィリピンも太平洋戦争のときは日本軍が占領していました。
 確かに江戸末期はアジア諸国が西欧列強に蚕食され、植民地になった時代です。その中で松陰は共存共栄の道ではなく、アジア争奪戦に加わらないと日本が滅んでしまうと考えていたのです。
 ひょっとして長州の志士たちに「幽囚録」の一節も埋め込まれていたのでしょうか。あくまで仮説ですが、松陰の帝国主義的な思想が彼らに受け継がれていたとすれば、対外戦争の歴史を説明することにはなります。
 例えば明治政府の軍を握っていたのは長州閥の山県有朋です。「松陰の最後の門下生」と自ら語りました。徴兵制をつくったのも山県、参謀本部の設置や軍人勅諭の制定も山県です。「日本軍閥の祖」と呼ばれ、枢密院議長を三回、首相を二回歴任しました。軍備拡張を推し進めました。
 同じ長州閥の伊藤博文がつくった明治憲法には「天皇ハ陸海軍ヲ統帥ス」との条文がありました。統帥権の独立は、軍への政治の介入を防ぎました。昭和になって軍の暴走を招いた原因とされます。
 明治維新から七十七年間は「戦争の時代」でしょう。統帥権の規定で、政治によるコントロールが利かない軍隊になっていたのではないでしょうか。
 終戦からの今日までの七十三年間は、まさに「平和の時代」です。それを守ってきたのは日本国憲法です。それぞれの憲法の仕組みが、戦争の時代と平和の時代とを明確に切り分けたと考えます。
 戦争へ進んだ要因は他にも多々あるでしょう。興味深いエピソードがあります。作家の保阪正康さんは昔、日米開戦時の首相・東条英機らが「なぜ戦争をしたのか」と疑問を抱き、昭和天皇の側近・木戸幸一に書面で質問しました。
 「(彼らは)華族になりたかった」と答えの中にあったそうです。内大臣だった木戸の想像ですが、軍功があれば爵位がもらえたのは事実です。公爵や伯爵など明治につくられた特権階級です。満州事変時の関東軍司令官も男爵になっています。爵位さえ戦争の一つの装置だったかもしれません。
◆国民も勝利に熱狂した
 むろん国民も戦争に無縁ではありません。日清・日露の勝利、日中戦争での南京陥落、真珠湾攻撃に万歳を叫び、提灯(ちょうちん)行列です。勝利の報に熱狂したのは国民でもあるのです。
 でも、戦争は残忍です。日露戦争では日本兵だけで約十二万人が死にました。歌人の与謝野晶子は「君死に給(たま)ふこと勿(なか)れ」と反戦詩を発表しています。太平洋戦争では民間人を含め、日本人だけでも約三百十万人の死者-。血みどろの歴史を繰り返さない、それが近代を歩んだ日本の教訓に違いありません。

土曜朝

2018-10-20 | Weblog
信濃毎日新聞
斜面
作家吉村昭さんは北アルプス黒部峡谷に建設中だった「黒四ダム」の現場に滞在したことがある。小説「高熱隧(ずい)道(どう)」は軌道車で向かう途中、資材運搬用トンネルで異常な熱気に包まれ、息苦しさに動揺した体験がきっかけになっている
   ◆
第三発電所を造るため昭和11(1936)年から2年半をかけ当時の日本電力が貫通させた900メートル余のトンネルだ。険しい渓谷の工事は困難を極めた。資材を運ぶ屈強の男が次々と谷に転落した。最難関はすぐ突き当たった温泉湧出地帯の岩盤だった
   ◆
最初に請け負った業者は工事を放棄。隣の工区の業者が引き継いだが、岩盤の温度は160度を超えた。やけどや自然発火による発破の爆発で死者が相次いだ。もっとも犠牲者が出たのは爆風を伴う泡(ほう)雪崩だ。宿舎が吹き飛び火災も発生。一度に80人が亡くなる惨劇も起きている
   ◆
高給とはいえ過酷な作業。完成できたのは命を軽んじる戦時の時代背景もあったろう。今では自然に挑んだ電源開発の歴史遺産だ。この高熱隧道を含む「黒部ルート」約18キロが一般開放される。地元富山県の強い求めに関西電力がしぶしぶながら応じた
   ◆
トンネルを補強するなどして2024年度から年最大1万人を受け入れる。大町市扇沢と立山室堂を東西に結ぶアルペンルートに北の欅平(けやきだいら)からの黒部ルートが合流しT字になる。外国人にも人気だけに長年の夢がかなう富山の期待は高まるばかり。安全対策や自然保護に万全を期したい。

金朝

2018-10-19 | Weblog
信濃毎日新聞
斜面
<A missingvoice>。米紙のワシントン・ポストは10月5日、<失われた声>の見出しでコラム欄を白紙のまま発行した。サウジアラビア政府を批判する論陣を張っていたジャマル・カショギ氏の寄稿が載る予定だった
   ◆
その3日前、カショギ氏はトルコのサウジ総領事館を訪問後に消息を絶つ。前後にサウジ人15人が入国し、館内に出入りしていた。母国の人間の手にかかったとしたら無念は想像するに余りある。「白紙」はカショギ氏の悲痛な声に代わる無言の抗議か
   ◆
アラブの大国サウジは次の国王と目される皇太子が絶大な権力を握っている。石油依存からの脱却など急激な改革を推し進める一方、批判の声を強権で封じ込めている。人権活動家らが逮捕され、2月には王家の汚職体質を指摘したジャーナリストが禁錮5年の有罪判決を受けた
   ◆
小欄の筆者は5年前、軍政から民政に転じたミャンマーを訪れた。半世紀ぶりに検閲制度が廃止され民間の新聞が発行されたばかり。原稿を書く記者の表情が輝いて見えた。だが当局は最近、少数民族問題を巡って言論弾圧を再び強め、記者を処罰した
   ◆
カショギ氏はポスト紙への最後の寄稿に書いている。国がもたらす物語が人々の心を支配し、信じていないのに多数の市民がこの虚偽の物語の犠牲者になっている、と。アラブに表現の自由を求める訴えだが、むしろ「失われた声」を生む強権政治は世界に広がっている。その現実を憂う。

水朝

2018-10-17 | Weblog

これは注目の裁判、これから山場ですね。

東京新聞
【社説】
原発事故公判 なぜ?に誠実に答えて
2018年10月17日
 東京電力の元幹部が被告人席に立った。市民が強制起訴した福島第一原発事故の刑事裁判だ。大津波は予見できたか。なぜ事故を防げなかったのか。国民は真相を知りたい。誠実な答えがほしい。
 検察審査会による強制起訴での刑事裁判は、過去にJR西日本の福知山線脱線事故の例がある。歴代の三社長が起訴されたが、昨年、無罪が確定した。
 制限速度を大幅に超過し、脱線転覆させた運転士と違い、歴代社長にはそこまでの危険性の認識はないと裁判所が判断したからだ。
 では、福島の原発事故の場合はどうか。もし大津波の襲来を予見しつつ対応を怠り、全電源喪失の事態を招いたとしたら…。
 大津波に対しては防潮堤を高くするなど、さまざまな工事を伴う。経営トップらの決断で対策のゴーサインが出る。東電幹部の判断一つで原発事故に直結するといえる。そこがJR西日本のケースと大きく違う点だ。
 二〇〇八年まで遡(さかのぼ)ってみる。国の地震予測「長期評価」を基にした簡易計算では、津波の高さは七・七メートル以上と社内会議で報告された。その後、東電子会社の詳細な計算で最大一五・七メートル以上となることが判明した。
 この日の法廷では被告の武藤栄元副社長も「〇八年六月に社内会議で初めて説明を受けた」と認めている。武藤元副社長は原発の安全を担う責任者だった。だが、東電は対策に乗り出すのではなく、土木学会に試算手法が妥当かどうか検討を委ねている。
 「問題の先送り」なのか「慎重な検討」なのか。「時間稼ぎ」との元東電社員の証言もあった。
 武藤元副社長は「長期評価は信頼性がないと説明され、新しい知見が出たわけではないと思った」と法廷で反論している。
 実は津波対策の明暗を分ける報告会が東電内であった。沖合の防潮堤の建設費が数百億円に上ることが示されると、ある幹部は「(津波数値を)少しでも下げられないか」と尋ねたという。
 国際原子力機関(IAEA)は「日本の原発は安全との思い込みで、安全レベル向上に挑もうとしない傾向があった」との報告書を出している。
 大津波の予測段階で、東電は費用と労力を惜しまず、なぜ迅速な対応が取れなかったのか。IAEAの言う安全神話を信じたせいなのか。「レベル7」を招いた根本原因を突き止めたい。



朝日
(社説)太陽光の停止 電力捨てない工夫を
2018年10月17日
 資源が乏しい日本で、すぐ使える自然のエネルギーを捨ててしまうのは、何とももったいない。最大限活用する方法を考えることが重要だ。
 九州電力が、太陽光発電の一部の事業者に、一時的な稼働停止を求める措置に踏み切った。昼間に管内の供給力が需要を上回り、電力が余りそうになったためだ。需給バランスが崩れて大停電などが起きるのを防ぐための対応で、国が定めたルールに基づく。離島を除けば、全国で初めて実施された。
 九州は日照に恵まれ、太陽光発電が普及している。九電は日中、火力発電の出力抑制や、余剰電力で発電用の水をくみ上げる揚水の活用などで対応してきたが、乗り切れなくなった。
 今後、再生可能エネルギーを伸ばしていくと、発電停止は各地で起きる可能性がある。事業者の収益を圧迫し、普及を妨げかねない。これを避けるには、天候による太陽光や風力の出力変動をならす「調整力」の確保が不可欠だ。電力業界と政府は対策を急がねばならない。
 電気をためる仕組みには、大容量の蓄電池や揚水発電がある。広域の送電線網を通して他地域に送るのも有効だ。ただ、設備の増強には多くの費用がかかり、だれが負担するかが課題になる。各地の事情に応じて効率よく整備することが大切だ。低コストの蓄電池など、技術開発への政策支援も必要になる。
 家庭や事業所でできる工夫も広げたい。たとえば、給湯器などの機器を太陽光の出力ピーク時に合わせて使う方法だ。この時間帯の電気料金を安くすれば、利用を誘導できる。電力会社は知恵を絞ってほしい。
 今回の出来事は、原発の再稼働が進むと、再エネ拡大の壁になりうることも示した。九電は4基の原発を動かし、太陽光の受け入れ余地が狭まった。
 国の「優先給電ルール」は、再エネではなく、原発などの「長期固定電源」の運転を最優先としている。経済産業省は「原発は出力調整が技術的に難しい」と説明する。
 だが、政府が今年改定したエネルギー基本計画は、再エネの主力電源化をめざす方針を打ち出した。その障害になりつつある優先給電ルールが妥当なのか、問い直す必要がある。
 こうした状況が生まれたそもそもの原因は、基本計画が原発を基幹電源として使う方針を掲げ続けていることにある。政府はまずこの位置づけを見直し、原発依存度を下げる具体策を練るべきだ。「再エネ主力化」の本気度が問われている。

月曜朝

2018-10-15 | Weblog
神戸新聞
正平調
2018/10/15
「ぼくの肺には、永久に光る粉が刺さっている」と、ルポ「石の肺」で自らの経験をつづった作家佐伯一麦(かずみ)さん(59)。他の小説世界にも、アスベスト(石綿)による健康不安がにじむ◆20代で電気工になり、作家業の傍ら30代前半まで現場で働いた。ビルや団地の天井裏にもぐりこむ。「ヤバイ現場」には石綿やグラスウール、コンクリート粉などが立ちこめた。作業着に付いた埃(ほこり)をはらうと「アスベストの細かい繊維が陽にキラキラと光った」◆1千万トン輸入された石綿のうち約8割が吹き付け材や断熱材など建材に使われた。加工や切断、研磨で現場には粉じんが飛ぶ。労働者には危険性が十分知らされず、長い潜伏期間を経て中皮腫など死に至る病が発症する◆国は早くから危険を認識していながら、長く製造や使用を禁止しなかった。建材メーカーも製造を続けた◆兵庫など各地の労働者や家族が起こした集団訴訟で、国やメーカーの責任を認める判決が続いている。先月の大阪高裁判決で国に賠償を命じた司法判断は10件連続になった。国は最高裁に上告した◆アスベストはギリシャ語で「永遠」「不滅」を意味する。それほど有用性が強調されたが、被害が深刻化した今、肺に刺さった棘(とげ)を永遠にしておいていいはずがない。

日朝

2018-10-14 | Weblog
これ、太陽光発電が普及すると必ず地産地消に議論が進んでいくから、今のうちに歯止めをかけようとしているのでしょう。
でも、北海道のブラックアウトの経験で明らかなように、太陽の出る昼間は近くの太陽光発電も利用できるようにしておくのが危機管理の観点からもいいと思います。

九電出力制御
頻発の恐れ、事業者戸惑い
毎日新聞 2018年10月13日 23時00分(最終更新 10月13日 23時00分)
 九州電力が13日に太陽光発電の出力制御を初めて広域で実施したのは、太陽光の急増に加え、原発4基の再稼働により、供給力が大幅に高まったためだ。これまでは水をくみ上げる揚水式や火力の発電量を調整するなどして需給バランスを保ってきたが、それでは間に合わなくなった。今後も太陽光が増えれば出力制御が頻発する恐れもあり、事業者からは戸惑いの声が上がっている。



予備選のアイデアはいいな、と思う。

枝野氏、野党一本化「予備選を」 参院選1人区
政治 2018年10月12日 20時32分
 立憲民主党の枝野幸男代表は12日、共同通信加盟社編集局長会議で講演し、来年夏の参院選に向け、32ある改選1人区で野党候補の一本化を春先までに実現する意向を表明した。同時に「与党候補に勝てるように事実上の予備選挙を行い、各地域で野党候補を決める。徹底して協力し一本化する」と述べた。
 現状では各党調整よりも新人らの発掘が最大の課題となっていると位置付け「立民は地方組織が弱い」と打ち明けた。
 また「各党の取引と見えるようなことはしない。市民が主体となって決めてもらう」と説明。「事実上の予備選」は事前の世論調査などによる絞り込みを念頭に置いているとみられる。
(共同)

土曜朝

2018-10-13 | Weblog
北海道新聞
椰子の実とプラごみ
10/13 05:00
卓上四季
民俗学者の柳田国男が学生時代、愛知県の渥美半島の先端にある伊良湖岬に1カ月ほど滞在したときのこと。海岸に流れ着いたヤシの実を見つけた。柳田からその話を聞いた親友の島崎藤村が詩を書き、曲が付けられてできたのが、唱歌「椰子(やし)の実」である▼「名も知らぬ遠き島より 流れ寄る椰子の実一つ」。南の国から流れ着いたヤシの実に「おまえは波に何カ月浮かんでいたのか」と問いかける。太平洋を漂った末に、砂浜に打ち上げられるのがヤシの実ならロマンも広がる。だが、これが大量のごみでは…▼米西海岸では、日本や中国から流れ着くごみが膨大な量に上るそうだ。トランプ大統領は「大半の国に責任がある」と述べ、処理費用の負担などの対応を各国に求める考えを明らかにした▼海に流れ込むプラごみは、世界で年間800万トンと推定される。それらは細かく砕かれて微細なマイクロプラスチックとなり、貝や魚、海鳥の体内に取り込まれる。対策は喫緊の課題だ▼環境省は、買い物の際のレジ袋の有料化を小売店などに義務づける方針を固めた。しかし、レジ袋だけが問題ではない。広くプラスチック製品の回収とリサイクルの徹底を進める必要がある▼食欲の秋。度々旬のサンマを焼いて味わっているが、マイクロプラスチックのことを考えると、大好物のわた(内臓)を前に、箸が止まってしまう。結局は食べるけど。2018・10・13

金朝

2018-10-12 | Weblog
朝日
(社説)東京五輪経費 思惑先行、見えぬ実態
2018年10月12日
 本当のところどれだけの経費がかかるのか。東京五輪・パラリンピックに向けられる人々の視線は厳しさを増すばかりだ。
 会計検査院が「中央省庁の予算で286の関連事業がすでに実施され、この5年間で8011億円を支出した」とする報告書を、国会に提出した。
 大会組織委員会、東京都、国の昨年の合意では「経費総額は1兆3500億円。組織委と都が各6千億円を、国は残りの1500億円を負担する」とされており、検査院の指摘は驚きをもって受け止められた。
 もっとも事情は複雑だ。
 8011億円の中には、選手村へのアクセス道路整備のため国が都に交付した約300億円もあれば、気象予測の精度を高める費用約370億円も含まれる。暑さ対策の一環として、国土交通省が大会関連施策に位置づけているという。
 どちらもおかしな話である。
 道路整備費は、あらかじめ国の負担額に計上するか、少なくとも別途必要な経費として公表しておくのが誠実な対応ではないか。一方で、気象衛星の運用費も五輪関連だと言われたら、多くの人は面食らうだろう。
 五輪への理解を広げるため、見かけ上の経費を圧縮するなかでひねり出された「1500億円」と、逆に、五輪に乗じて少しでも多くの予算を獲得したい省庁が、競い合って積み上げた「8011億円」と。
 二つの数字の向こうにそれぞれの思惑や打算が透ける。いずれにせよ、実態を覆い隠し、市民から見えなくさせてしまう点で、両者は一致する。
 検査院は内閣官房の大会推進本部事務局に対し、五輪開催とはかかわりなく本来行われるはずの行政業務を含めて、大会との関連性を整理し、その内容や経費の規模を公開するよう求めた。至極当然の注文だ。
 五輪経費か否かの線引きにはたしかに難しい面がある。国際オリンピック委も明確な基準を示していない。判断に迷うケースは、事業の中身や意義を丁寧に説明して、人々に考える材料を提供するようにすべきだ。
 五輪のために何が行われ、費用はいくらで、期待された成果はあったのか。そうした検証と総括のためには、徹底した情報の公開が欠かせない。
 夏季・冬季を問わず、五輪に名乗りをあげながら撤退する都市が近年目立つ。背景には開催経費に対する不安がある。
 引き続き抑制に努めるのはもちろん、透明化を推進し、説明責任を果たすことで、東京大会を今後の良き先例にしたい。

めも

2018-10-11 | Weblog
安倍氏は嘘をおつきになってしまったらしい。

米大統領
安倍首相に米カジノ大手参入を要求 米報道
毎日新聞 2018年10月11日 10時09分(最終更新 10月11日 12時53分)
 調査報道で知られる米ニュースサイト「プロパブリカ」は10日、トランプ米大統領が2017年2月に南部フロリダ州で安倍晋三首相と会談した際、トランプ氏を支持する大口献金者が経営する米カジノ大手「ラスベガス・サンズ」に対し日本参入の免許を与えることを検討するよう強く求めたと報じた。
 同サイトは「外国首脳との会談で、献金者の利益に直接結びつく話を持ち出すのは外交儀礼に反する」と問題視。安倍氏はことし7月の国会審議で口利きはなかったと否定している。



中日春秋(朝刊コラム)
2018年10月11日
 ソ連の作曲家ショスタコービッチは、いくつかの作品で、少し不思議な響きがする四音をくり返し使っている。自分のイニシャルから四文字を取って、それを音名に、当てはめた。音で表した「私」である
▼スターリンによる圧政の時代を生きた。意に沿わない表現をすれば粛清もあった時代だ。作曲家は独裁者の死後発表した交響曲などに、この音型を使った。暗号のように仕込んだ真意ははっきりとは語られていないようだが、いま作品を聞けば、全体主義の下で抑圧されてきた「私」の存在を懸命に、表現しているように思える
▼こちらはひそかに仕掛けがほどこされていた絵画に、世界が驚かされたという例だろう。正体不明の路上芸術家バンクシーの作品である
▼英国で競売にかけられ、約一億五千五百万円という高額で、落札された直後、額縁に仕掛けられていたシュレッダーで、自動的に細断された。犯行声明のような動画によれば、作者本人が仕組んだのだという
▼反資本主義などを主張している人物のようだ。細断に込めた真意は不明だが、作品が恐ろしい額で取引される現状を際立たせるのが狙いなのだろうか
▼報道によると、作品の価値は細断で逆に倍増しそうだという。傷つけられて値段がつり上がる。皮肉な事態かもしれないが、芸術の真価を考えさせられもする。これも作者の狙いどおりかもしれない。


徳島新聞
鳴潮 10月11日付
 希代の芸術家、岡本太郎さんが終戦5年後に出した著書「アヴァンギャルド芸術」(美術出版社)にこんなくだりがある。<彼らの表現はノーマルな社会人の分別では到底考えられない、恐ろしいほどの激しさを持っている>
 彼ら、とは知的障害者や幼児を指す。岡本さんは彼らの障害や未熟さに、自分と同じ「爆発」する力を感じ、喜んだようだ。賛辞を継いでいる。<我々を根源的な感動に回帰させる異常な魅力>と
 徳島市の文化の森で障害者芸術祭「エナジー2018」が始まった。24回目の今年も油絵やクレヨン画、手工芸など315点が、これでもかと活力(エナジー)を放つ
 けれん味が全くない。思いもよらぬ色使いあり、奇抜な構図あり。自由がほとばしり、根源的感動に触れる気がする
 吉野川市の露口誠二さん(25)は、藍色の濃淡が美しい木工作品で、大賞(2人)に輝いた。「むちゃくちゃうれしい」。9年で入賞3度を経ての念願成就である。施設の通所作業にとどまらず、自宅に工房を設けて腕を磨いてきた
 木工を指導する先生になるのが夢だ。「まだ修行中。けど大賞になって、夢に一歩近づけたかも」。制作は生きるエナジーでもある。<(障害者らの)純粋さは、芸術家にとって一つの理想像>。岡本さんが著書につづったこの一文も、励みになるだろう。



水や空
長崎と中国
2018/10/11 09:35
©株式会社長崎新聞社
 帰国後、当時の知事の久保勘一さんは「長崎と上海を結ぶ海底ケーブルの実現は、間違いないという印象を受けた」と胸を張った。1972年の本紙にそうある▲今から見ると大風呂敷ながらも、手応えがあったに違いない。中国との友好関係にとりわけ思いの強い久保さんを団長に、その年の10月、本県は公式訪中使節団を送った。日中国交回復からわずか1カ月後、全国自治体では初めてだった▲何年か前、当時をご存知の人たちに話を聞いたことがある。その頃の記事を近ごろ引っ張り出し、久保さんの他の、もう一人の“立役者”の言葉を読み返している▲久保さんの後継で、先ごろ亡くなった元知事、高田勇さんは83年、中国共産党の胡耀邦総書記(当時)が来県した折、総領事館の長崎設置をひそかに要望した。「胡総書記はね、『もうすぐ設置します』と断言したんだよ。いやあ、驚いた」▲翌々年に総領事館ができた。「長崎県がとことん中国と付き合った成果だね」。在任中、実に30回訪中した高田さんがしみじみ語っていたのを思い出す▲今年は日中平和友好条約の発効から40年。対中関係改善のため、安倍晋三首相は近く訪中するという。国レベルとは別と知りつつ、久保さん、高田さんならば今の日中関係を天からどう見ておられるかと、ふと思う。(徹)


琉球新報
<金口木舌>シエスタのすすめ
2018年10月11日 06:00 働き方改革 駐留の実像 日米地位協定
 シエスタ(昼寝)しよう―。社員に昼寝を推奨する動きが大手企業でも広がり、働き方改革の先取りと注目されている。パジャマや布団の貸し出しまで徹底する会社も
▼さらに先取りしていたのか、県庁には昼食後のわずかな時間を睡眠に充てる職員が少なくなかった。ある企業はシエスタ導入の意義として、勤務時間よりも仕事の密度や成果を重視するという
▼シエスタはスペインやイタリアなどラテン圏での習慣。各国では観光客相手の店も午後になるとしっかり閉店する。「シエスタ」文化の幅の広さを感じる
▼イタリアでは米軍機もシエスタを邪魔してはならないそうだ。イタリア側が管理権を持ち、米軍基地にもイタリアの法律が適用される。6月まで本紙で連載した「駐留の実像」で島袋良太記者が詳しく紹介している
▼政府は2020年の東京五輪に向けて羽田空港の国際線を増便するため新飛行ルートを計画する。ただこのルート、米軍横田基地の航空管制空域にかかる。ここへ来て米側との調整が難航して運用できない恐れも出てきた
▼日本は米国に主権を主張できない国らしい。日米地位協定の見直しを申し入れるだけの能力も勇気もないのか。先の知事選で政府与党が推した候補も地位協定改定を公約に掲げていた。五輪を成功させるために「改革」すべき対象だと思うが、安倍首相どうでしょう。