不動の動

洞察しましょう――(観相学的)断章(フラグメント)。。う~ん、、洞察には至らない印象を書き留めるメモ、いや落書きかな。

火曜日朝ニ

2015-06-23 | Weblog

毎日朝刊


やっぱりテキ、と読むのかなあ。









山口新聞
四季風
「五月雨をあつめて早し最上川」は芭蕉の有名な句である。明治時代の俳人正岡子規は新聞の文芸欄で、この句よりも、与謝蕪村の「さみだれや大河を前に家二軒」のほうが優れていると論じ、世間に衝撃を与えた
▼子規の時代には芭蕉の知名度は圧倒的で、神格化されていたほど。蕪村は俳人というよりも、画家として有名だった。それが子規の論評一つで俳句にも光が当てられたのである
▼芭蕉の句は技巧に過ぎておもしろくない、といった意味のことを子規は述べている。後年、”日本近代詩の父“萩原朔太郎は『郷愁の詩人-蕪村』で二人の作風を比べ、子規以後、「写実主義で視覚的」が定説になった蕪村の句に、独自の見解を述べた
▼単なる写実主義ではないとし、「青春」「若さ」が底に流れる子守唄の哀切な思慕こそが、真の抒情詩人、蕪村の作風のキーワードだと論破した
▼五月雨は陰暦の5月、現在の暦でいう梅雨、ちょうどいまの季節に降り続く雨のことである。芭蕉は水墨画の世界、蕪村は光と色彩の西洋画に近いという捉え方もあるが、さて、梅雨の雨にけぶる街並みや野山を皆さんはどう詠むか。そんな心の余裕を持てるなら、梅雨もまた楽しからずや。(佐)
2015年6月23日(火)掲載


愛媛新聞
人間のコスパ 2015年06月23日(火)
 おかしいと思ったら案の定だった。「4月の実質賃金、2年ぶりプラスに」―国の発表を本紙も報じたが、これは速報値。確報で、前年同月比0.1%減に下方修正された。つまり、24カ月連続マイナス▲
 「確報は賃金水準の低いパート労働者のデータがより多く反映されたため」と言い訳するが「景気回復の印象操作?」と邪推したくなる。見せかけの数字より実感こそ正しく、大切なのに▲
 国も分かっている通り、4割を占める非正規労働者の賃金水準は正社員の6割。今、最も効果的かつ必要な経済政策は「雇用の安定と格差縮小」のはずだが、現実は全く逆▲
 労働者派遣法改正案が衆院を通過した。3年ごとに人を替えれば、企業は派遣労働者をずっと使える。派遣ならAさんもBさんも同じ、安ければいい―人をコストとみて「企業が好き放題できる」(厚生労働官僚)法案を、政権がごり押しする冷淡に身震いする▲
 「結婚は、コスパ(コストパフォーマンス、費用対効果)が悪い」。先日見た記事の、結婚に否定的な20代男性の声に胸をつかれた。寂しいが、さもありなんとも思う。何しろ生身の人間を、国や企業がコスパで切り捨てる時代▲
 かつて「一人口は食えぬが二人口は食える」と言われた。今は1人が暮らしやすく、しかし1人さえ暮らしかねる社会なのかもしれない。個々の幸せの実感や希望を大切にしない国の、梅雨空のような重苦しい未来を憂う。



北海道新聞 卓上四季
慰霊の日
06/23 10:30
墓のような形をしたその塔は、平和祈念公園を見下ろす小高い丘に立っていた。沖縄県南部の糸満市内にある「南北之塔」。沖縄戦で命を落としたアイヌ民族の兵士39人をはじめ、全国の戦死者数千人が眠っている▼取材で訪れたときのガイドの言葉が脳裏に焼き付いている。「ここは列島の南北に住む人が、気持ちを束ねる場です」。極寒で暮らしていた人が、どんな思いでブーゲンビリアの咲く南の地に向かったのだろう▼建立に尽力した1人は、今の釧路管内弟子屈町出身のアイヌ民族の故弟子(てし)豊治さんである。兵士として、塔のそばで戦った。忘れられないのは、米軍の弾が飛び交う中、隊長が部下に軍人勅諭を唱えさせていた光景だ(橋本進編「沖縄戦とアイヌ兵士」)▼もはや兵士の命など一顧だにしていない。沖縄は米軍の本土侵攻を遅らせるための“捨て石”にされた。弟子さんは自ら受けた民族差別と同じように考えたのだろうか▼きょうは日本軍が沖縄で組織的な戦闘を終えた慰霊の日。70年たっても政府は米軍基地の県内移設にこだわり、負担が減る見通しが立たない。県民が再び捨て石にされたと思っても不思議ではない▼南北の言葉に似た表現がある。アイヌ語の「ウコイリワクネ」(互いに兄弟)と、琉球の方言「イチャリバチョーデー」(会えば兄弟)だ。痛みも喜びも響き合えるのは列島の端同士なのかもしれない。2015・6・23



山陽新聞
滴一滴
 闇とはこんなに暗いものなのか。日本記者クラブの取材団として訪れた沖縄の「糸数アブチラガマ」で知った。ガマとは自然洞窟のことで、沖縄本島の中南部に集中する▼全長約270メートルの巨大な地下洞窟である。1945年4月に米軍が上陸した後、負傷兵約600人と住民約200人が身を潜めた。敵が迫ると負傷兵は南へ撤退したが、約150人の重症者は自死のための青酸カリを渡され、置き去りにされた▼「彼らの苦しみを想像してみてください」。案内してくれた當山菊子さん(61)の合図で一斉に懐中電灯を消した。外部の光が全く届かない漆黒の闇。その中で彼らは最期に何を思ったのか▼多くのガマで起きた出来事は凄惨(せいさん)を極めた。住民の集団自決、スパイ容疑による殺害、子どもを泣かせるなととがめられ、わが子の口をふさいだ親…。日本最大の地上戦が行われた沖縄では県民の4人に1人が命を落とした▼「生き残った人は今も傷ついている」。ここで何があったのか、當山さんは戦争体験者から聞き取りを続けているが、証言を拒む人が少なくないという。「戦争は人間をみんな異常にする。話せば誰かを苦しめると思い、話せないのです」。生存者の内にある闇もまた、あまりに深い▼きょうで沖縄戦終結から70年になる。人々の心の中で、あの戦争は終わっていない。 
(2015年06月23日 07時53分 更新)


デーリー東北新聞
天鐘(6月23日)
 青森県近代文学館(青森市)には県を代表する作家13人の原稿や遺品が常設展示されている。この中に北村小松作の模型飛行機『ぶた号』が一際異彩を放って陳列されている▼太宰治が晩年に執筆メモとして使った手帳や、三浦哲郎の浄書原稿『忍ぶ川』など貴重な文学資料と並び、目ぱちくりの豚が描かれた木製の模型飛行機が所在なげに置いてある。八戸市出身の劇作家で小説家、北村が自作した『ぶた号』だという▼北村は慶大卒後、松竹に入社して映画の原作や脚本を数多く手掛け、作家としても人気を博した。八中時代の夢は飛行機の設計技師だったが受験に失敗。「脚本作りは飛行機の設計に似ている」と映画の道に入った▼原作と脚本を北村が書き、田中絹代が主演した初のトーキー映画『マダムと女房』が大ヒット。モダニズムの旗手ともて囃(はや)されていた彼の元に陸軍省の中佐が突然現れた。航空本部と情報部が企画する映画の脚本を書いてほしい―との依頼だった▼軍は依頼でも彼にとっては「強制指令で縛られたも同然だった」(小説『銀幕』)。昭和14年、執筆を強制された『燃ゆる大空』が映画化され、皮肉にも大ヒット。敗戦とともに“戦争礼賛作家”の汚名を着せられ、公職追放の憂き目に遭うことに…▼館内にちょこんと置かれた『ぶた号』は一見剽軽(ひょうきん)だがその瞳は実に悲しげだ。汚名を着せられ追放された煩悶(はんもん)の中で製作された。追放解除された時「やり切れなかった」と吐露している。模型製作の時だけは古里の大空を自由に羽ばたく少年の夢に戻れたのだろう。



2015年6月23日(火) 東奥日報 天地人
 「巧遅(こうち)は拙速に如(し)かず」。中国の兵法書「孫子」にある格言だ。上手でも遅いよりは、下手でも速い方が良いとする。完璧であっても、時機を逸しては元も子もない。実社会では教えが生かされる場面は多々あるが、正確な判断が求められる状況では巧遅は拙速よりも尊い。
 安保関連法案をめぐる国会論議も、そうだろう。国民からは急ぐ理由は見当たらない。衆院特別委員会では「違憲性」をめぐり論戦が続く。集団的自衛権の行使容認に関し、憲法学者に続き、内閣法制局の元長官からも「違憲」の見解が示された。
 片や現内閣法制局長官は集団的自衛権を「フグ」に例え「全部食べると毒にあたるが、肝を外せば食べられる」と言った。他国防衛まで目的にするなら違憲だが、政権が主張する「限定的」な集団的自衛権は合憲との趣旨だ。
 「憲法の番人」とも呼ばれる内閣法制局トップの発言である。厳格な憲法解釈をフグに置き換えるとは驚く。「憲法栄えて国滅ぶの愚を犯してはならない」と学者を公然と非難した自民議員もいた。そもそも国家権力を拘束するのが憲法である。
 安保法案、56%「違憲」。きのう本紙が伝えた世論調査の結果だ。「説明不足」との声は84%にも及ぶ。国民の理解を得ているとは到底言い難い。国会の大幅延長が決まったが、拙速な幕引き、強行採決だけは御免被る。


木朝

2015-06-04 | Weblog

これはご本人はこそばゆいだろう。追悼文のようではないか! わかります、ラブレターでしょ。


朝日天声人語
 これはおもしろいと思った。1991年、作家の高橋源一郎さんが本紙で文芸時評を始めた時だ。斬新だった。例えば「擬音の多用は下品とされるが、上品がなんぼのもんじゃい」。破格な文章に魅了された▼文芸時評なのに新聞の社説も取り上げた。本紙の社説をまとめて読み、その印象を「悩める人」と書いた。「あらゆることを悩んでしまうので、一つのことを深く悩む時間がなくなってしまうきらいがあることも心配だ」。痛かった▼その高橋さんが今度は論壇時評を手がけ、いま5年目である。これまでの分を最近、『ぼくらの民主主義なんだぜ』として出版した。自在な書きぶりは変わらない▼現代美術の展覧会を見に行って「ぶっ飛んだぜ!」。と思えば、重い心身障害を持つ赤ちゃんを抱いて「天使」を感じ取る。論壇の枠を超え、幅広い題材を低い目線から見つめる姿勢が共感を誘う▼民主主義とは何か。高橋さんは繰り返し問う。一つの答えは「意見が通らなかった少数派が、それでも、『ありがとう』ということのできるシステム」だ。意見の違う他人と、それでも「一緒にやってゆくこと」だ。今の日本政治に民主主義はあるのかと考えさせられる▼思えば文芸時評の最終回の題は「威張るな!」だった。互いの溝は越えられなくても、自分の立場を相手が理解してくれることはありうる。ただし、その相手に対して威張るな――。これはまさに民主主義の一つの要諦(ようてい)ではないか。高橋さんは実に一貫している。


 

東京も梅雨が近い、か。

神戸新聞 正平調             

時計2015/06/04

少し窓を開けて寝ていたら、強い雨音で目が覚めた。体を起こし、雨の音に聞き入る◆雨音は懐かしい事々を思い起こさせる。中原中也も「雨の日」という詩で、心に浮かぶ思い出をつづっている。例えば「舌あまりの幼な友達」、例えば「慈父(じふ)の首(こうべ)」。しかし目覚めるほどの雨脚である。ざーざーと耳に響く音に胸がざわめく◆鹿児島の口永良部島(くちのえらぶじま)では、噴火で積もった灰や岩石が土石流となって流れ出す危険がある。家々をのみ込み、港を埋めてしまうことになりはしないだろうか。避難先で、眠れぬ夜を過ごす住民のことを思わずにいられない◆雨期に入るネパールでは、大地震の土砂崩れでできた「ダム湖」が決壊し洪水が村々を襲う恐れがある。地盤が弱ったところでは土砂崩れも起きやすい。にもかかわらず、支援団体の報告では災害への備えどころか、日々の暮らしに必要なテントや毛布も足りない◆昨年、広島発の記事が、土砂災害で避難したお年寄りの様子を伝えていた。窓を打つ雨に体をこわばらせる姿が、像となって記憶に刻まれている。「あー雨が、あー雨が」と何度もつぶやく女性の姿が◆昨日、近畿地方の梅雨入りが発表された。雨音は伝える。災害に打ちのめされながらも、身を寄せ合って今を生きる人たちの姿を。支援を待つ人たちのことを。2015・6・4

 

 

愛媛新聞 地軸

妻の病 20150604日(木)

 「彼女がどういうふうにものが見え、どういうふうに感じているかということを、もっとわれわれが理解して対応してあげなきゃいけないとは思うんだけども。それが分からないんだよね。少しは分かるんだけど」▲

 記憶障害に加え幻視や幻聴に翻弄(ほんろう)される若年性認知症の妻。夫は揺れながらも、病気としてでなく人間として相手を見つめようと懸命に寄り添い続ける。あすまで松山市内で上映中の「妻の病」(伊勢真一監督)は、高知県南国市の小児科医と妻の10年間の記録▲

 時折見せるふたりの笑顔が美しい。夫は穏やかな介護に向け「認知症の人の心を知るということが全ての始まり」と気付く。病を経て触れた妻の深い人間性に心を打たれ、いとおしさを募らせる▲

 現実はきれい事で片付けられない。身の回りの世話、不安やいらだち、開業医としての仕事。自らもうつ病を患い、心身は限界。それでも夫は周囲の支えを得て、また歩む。「愛し直す作業がしたい」。手帳に刻んだ言葉が胸を突く▲

 介護は1人では背負いきれない。国は介護保険財政を見直し、介護が必要な人の生活の質を上げるとして在宅介護を推進する。だが、介護サービスの充実がなければ家族を追い詰める▲

 映画終盤、夫は自らに言い聞かせるようにつぶやく。「生きなきゃ」。認知症と向き合い、同じようにつぶやきながら一日一日を乗り越える多くの人々に、温かな社会でありたい。

 

凡語京都新聞

動物の悲しみ

  小さい頃、家にはいつも犬がいた。朝夕の散歩は時に面倒だったが、大切な日課だった。一時、猫も同時に飼い始めた。最初、犬も猫もお互いを警戒していたが、そのうちに一緒にえさを食べるほど仲良しになった▼ある日、猫が急に姿を消した。翌朝、犬を散歩に連れ出すとコースを外れ、ぐいぐい引っ張る。その先、道路脇に息絶えた猫がいた。「なぜ犬が」の不思議さが今も残っている▼たまたま手にしたバーバラ・J・キング著「死を悼む動物たち」(草思社)が遠い昔の疑問に答えてくれた。猫好きでもある米国の女性自然人類学者の筆者が、動物の感情、とくに悲しみの行動を丹念に検証し、評価した▼死んだ子から離れようとしないイルカやチンパンジー、ヒヒがいる。仲間の遺骸を土や葉で埋葬するアフリカゾウも研究者の目に触れた。草原や動物園、家庭で観察者の目撃談があふれる現代だから、真偽の判断は難しい▼そこで、著者は人間の感情を動物に重ねすぎない姿勢を一貫した。結論は冷静で明快だ。「他者の死を深く悲しむという人間の能力を、他の動物たちも部分的に共有している」▼地球上では武力紛争やテロが絶えない。国内でも家族が関係する殺人が多い。愛すればこそ悲しむ。動物たちの姿から人間が学ぶことは山ほどある。

[京都新聞 20150604日掲載]


めも

2015-06-02 | Weblog

中国ネット通販大手が日本商品専門サイト
6月1日 23時30分

中国のインターネット通販大手が日本の企業の商品を専門に販売するサイトを新たに立ち上げ、中国の消費者に人気のある日本ブランドの商品の取り扱いを強化することで、事業の拡大を図るねらいです。
中国のインターネット通販大手「京東集団」は、中国の消費者の間で日本ブランドへの人気が高まっているとして、日本の企業の商品を専門に販売するサイトの運用を1日から始めました。
都内で記念の式典を開いた、京東集団のグループ会社の沈皓瑜CEO=最高経営責任者は「急速に成長している中国のネット市場に、中国の消費者が優れていると考える日本製品を提供し、皆さんとウィンウィンの関係になりたい」と述べました。
新たなサイトには、およそ300社が参加し、日用品や健康食品など3万点ほどの商品を扱っているということで、今後、さらに参加する日本企業の数を増やすことを目指すとしています。
中国の民間の調査会社によりますと、中国のインターネット通販の去年の取引額は、日本円で56兆円余りで、年々、二桁成長が続き、さらなる市場の拡大が見込まれています。
一方、参加する日本企業にとっては中国でのビジネス拡大が期待され、式典に参加した健康食品の小売店の担当者は「中国市場で簡単に販売できるのであれば、今後、参加を考えたい」と話していました。