不動の動

洞察しましょう――(観相学的)断章(フラグメント)。。う~ん、、洞察には至らない印象を書き留めるメモ、いや落書きかな。

木曜朝

2018-05-31 | Weblog
いい加減、…
佐川宣寿氏のときに、上祐某氏を思い出したけど…
安倍氏も麻生氏も、シニカルさに、もううんざり。
中国でも、シニカルさ、というのはキーワードで、心ある人にとても批判されています。

朝日
(社説)党首討論 安倍論法もうんざりだ
2018年5月31日
 質問に正面から答えず、一方的に自説を述べる。論点をすり替え、時間を空費させる――。1年半ぶりにようやく開かれた党首討論は、そんな「安倍論法」のおかげで、議論の体を成さない空しい45分となった。
 野党党首の多くが取り上げたのは、やはり森友・加計問題だった。首相は骨太な政策論議を期待すると語ったが、政治や行政に対する信頼を揺るがす問題は避けて通れない。
 立憲民主党の枝野代表は、首相の妻・昭恵氏付の職員が、森友学園の求める優遇措置を財務省に問い合わせたことを「いいことだと思うか」とただした。
 首相は、それは「問題の本質」ではないと反論。従来の説明を延々と繰り返した最後に「私の個人の事務所に(問い合わせを)回してもらった方が良かった」と答えた。
 加計学園が理事長と首相の面会を捏造(ねつぞう)していたと発表した問題では「訴訟になれば時間がかかる。私の感情のために総理の時間を費やすべきではない」と述べた。枝野氏は首相が問題視していないことに疑問を呈しただけで、学園を訴えるべきだと迫ったわけではない。明らかに論点をずらしている。
 共産党の志位委員長は、公文書の改ざん、隠蔽(いんぺい)、廃棄、虚偽答弁が安倍政権下で相次いでいることの原因を繰り返し首相に問うた。しかし、首相はそれに答えず、「うみを出し切り、組織を立て直したい」と今後の対策に話をすり替えた。
 質問に誠実に向き合わない首相の姿勢に問題があることは間違いないが、与野党党首の真剣勝負の舞台が形骸化するのを見過ごすわけにはいかない。
 英国議会の例を参考に、00年に正式に導入された党首討論は、二大政党を想定した仕組みといえる。限られた時間を、多くの野党党首が分け合うのはそもそも無理がある。今回、枝野氏の持ち時間は19分、志位氏はわずか6分だった。突っ込んだ議論にはおのずと限界がある。
 一昨年末以来、一度も開かれていなかったこと自体にも問題がある。「月1回開催」という4年前の与野党の申し合わせはどうなったのか。
 トップ同士が幅広い視野で基本政策を論じ合う党首討論は、各党の考え方の違いを分かりやすく国民に伝える貴重な場だ。与野党は開催の定例化や時間の延長など、改善策を真剣に検討する必要がある。
 まずは今国会の会期内にもう一度、党首討論を開くことを提案する。今度はまっとうな論争を国民にみせるべきだ。


朝日
(社説)麻生財務相 もはや辞めるしかない
2018年5月31日
 麻生財務相はただちに辞任すべきである。公文書の重み、財務省が犯した罪の深さを理解できない大臣に、問題を解決できるはずがない。
 森友学園問題をめぐる決裁文書の改ざんを、財務省は「書き換え」と表現している。それを国会で指摘され、麻生氏は「バツをマルにしたとか、白を黒にしたとかいうような、いわゆる改ざんとか、そういった悪質なものではない」と答えた。
 野党から批判され一転、「白を白に変えたって駄目な時は駄目」と謝罪したが、本音が漏れたとみるのが自然だろう。
 麻生氏をかばい続ける安倍首相の責任は重大だ。「麻生財務相の指揮の下、全容解明し、再発防止に全力を挙げてもらう」というが、一連の問題はすべて麻生氏の指揮下の組織で起きたのである。
 麻生氏の続投にこだわるのは、問題の是正よりも政権の維持を優先させたい思惑にしか見えない。
 国民と国会に対する財務省の背信行為はすでに明らかだ。
 昨年2月以降、当時の佐川理財局長は森友への便宜を否定し、土地取引の交渉記録は「残っていない」と繰り返した。だが実際には文書は存在し、改ざんされ、廃棄されていた。
 この間、交渉記録の有無が問われ続けたのに、麻生氏が徹底調査を指示することはなかった。同省が調査を始めたのは、今年3月に改ざんが発覚し、野党の圧力に押されたからだ。
 今に至るも麻生氏はじめ財務省は、問題に自発的に対処しようとしない。この組織は根腐れを起こしているのではないか。
 財務省の再建には、事実と原因、責任の所在を徹底究明し、厳格な再発防止策をつくることが必須だ。そのうえで適正な処分と人事の一新を断行し、出直すしかあるまい。
 ところが麻生氏は今月、改ざん問題について「どの組織だってありうる。個人の問題」とも発言した。省内の調査が途上の段階だというのに、予断をもって問題を矮小(わいしょう)化する。これでまともな解明と対策づくりを指揮できるわけがない。
 虚偽としか言いようのない国会答弁を続けた佐川氏を国税庁長官に昇格させ、「適材適所」とも強弁した。前事務次官のセクハラ問題でも、常識はずれの人権感覚を露呈した。
 これほど前代未聞の不祥事を重ねた責任を直視せず、開き直る麻生氏を、いつまで副総理兼財務相にとどめるのか。安倍政権には、もはや普通の政治モラルを問うこともできないのか。

水朝

2018-05-30 | Weblog
買ってしまうと、使いたくなるか、不良債権化し、維持費がかさみ、ゴミ箱行きか、いずれかになる。前者はあってはならないが、後者もバカらしい。
朝日
(社説)防衛大綱提言 「予算倍増」の危うい道
2018年5月30日
 未曽有の財政難をよそに防衛費を聖域化し、専守防衛の原則から逸脱する軍拡路線であり、到底認められない。
 自民党が、年末に政府が策定する新しい防衛計画の大綱と中期防衛力整備計画への提言をまとめた。
 日本を取り巻く現在の安全保障環境を「戦後最大の危機的情勢」と位置づけ、防衛費の拡大を抑えてきた対GDP(国内総生産)比1%の突破を求めた。2%を目標とする北大西洋条約機構(NATO)の例を「参考」としている。
 5兆円台に膨らんだ防衛費を10兆円規模に倍増させようというのか。財源の議論もないまま大風呂敷を広げるのは、無責任の極みだ。
 もとより安倍政権の防衛費優遇は際立っている。4年連続で過去最大を更新し、昨年3月には安倍首相が「GDPの1%以内に防衛費を抑える考え方はない」と国会で明言した。
 あえて「2%」と明記したのは、首相の路線を後押しし、加速させる狙いだろうが、とても現実的とは思えない。
 敵基地攻撃能力の整備や、海上自衛隊の護衛艦「いずも」を念頭においた空母化の提言は、いずれも専守防衛の範囲を超える。陸海空に加え、宇宙、サイバーの領域も活用した「多次元横断(クロスドメイン)防衛構想」も打ち出した。
 安倍政権は、安全保障関連法で集団的自衛権の行使に道を開くなど、歴代内閣が踏襲してきた防衛政策を転換してきた。トランプ大統領が米国製兵器の購入を迫るなか、防衛費を大幅に増やせば、平和国家のさらなる変質は避けられない。
 安全保障は軍事だけでなく、緊張緩和をはかる外交とあわせて築かれるものだ。
 たしかに、中国海軍の強引な海洋進出に自衛隊が対処する必要はあろう。ただ、力に力で対抗するだけでは、かえって地域の緊張を高める恐れがある。
 北朝鮮の核・ミサイル開発の脅威を過剰にあおり、防衛力整備の追い風にしようとする姿勢も目にあまる。朝鮮半島の平和と安定に向け、関係国の外交努力が続くなか、ことさら軍備増強を打ち出す自民党の姿は、時代の流れに逆行している。
 国力の限界を踏まえ、軍事と外交を両輪とした戦略を構想することこそ、将来に責任をもつ政治家の役割だ。
 限りある予算の中で、政策の優先順位を誤ることなく、幅広い国民の理解を得る。提言からは、そんな視野の広さも丁寧な政治の営みもうかがえない。

火曜朝

2018-05-29 | Weblog
東京新聞社説

加計が「偽情報」 学部新設の正当性欠く
2018年5月29日

 二〇一五年二月の加計孝太郎理事長と安倍晋三首相との面談はなかった、と加計学園が説明を変えた。愛媛県にうそをついていたのなら、獣医学部新設の正当性や大学運営の資格が問われて当然だ。
 にわかには信じ難いが、学校法人加計学園が、一五年三月三日に愛媛県側と行った打ち合わせで説明していた加計氏と首相との面談の事実や、首相の発言内容が虚偽だったとのコメントを発表した。
 この発表が事実か否か。真偽を確かめることが必要だ。まずは加計氏ら学園関係者の証人喚問を求めたい。国政調査権を有する国会は真摯(しんし)に対応すべきだ。
 愛媛県が今月、参院予算委員会に提出した文書によると、加計氏は一五年二月二十五日、首相と十五分程度面談した際「今治市に設置予定の獣医学部では、国際水準の獣医学教育を目指す」ことなどを説明し、首相からは「そういう新しい獣医大学の考えはいいね」とのコメントがあったと、加計学園が県側に説明していた。
 この説明が事実なら、加計学園の獣医学部新設計画を初めて知ったのは一七年一月二十日だとする首相答弁とは明らかに矛盾する。
 加計学園はなぜ三年以上も訂正しなかった県への説明を突然、変えたのか。学部新設への首相関与の有無が国会などで問題となり、学部新設への関与や加計氏との面談を否定する首相を守るため、と受け取られても仕方があるまい。
 仮に、加計学園の県側への説明が虚偽だったとしたら、首相のコメントや、学園理事長と首相との面会の事実を捏造(ねつぞう)するような組織に学部新設だけでなく、そもそも大学を運営する資格や能力があるのか、という問題が浮上する。
 首相はきのうの国会答弁で「会ったか、会わなかったかはまったく関わりがない」と、加計氏との面談の有無と獣医学部の新設認可手続きとは無関係だと強調した。
 しかし、愛媛県文書では「総理案件になっている」と発言した柳瀬唯夫首相秘書官(当時)との一五年四月二日の面会は首相と加計氏との会食で地元の動きが鈍いとの話が出たことがきっかけだ。県や市が同年六月四日に学部新設を提案したのも、首相が加計氏との面談で「いいね」とコメントしたことが前提になっている。
 首相と加計氏との面談の事実関係や、愛媛県への加計学園の説明の真偽を確かめることは、学部新設だけでなく、首相答弁の正当性に関わる重大な問題だ。「関わりがない」では済まされない。



「日立は日英両政府に資金支援を要請した。
英国政府が、二兆円の融資を提示した。
残りを日立と英政府や英企業、日本の政府系金融機関や電力会社などが出資し、日立などの出資分は事実上、日本政府が債務保証するという方向で交渉が進んでいる。これも「国策」だということだ。」

日立の英国原発 国策のツケは国民に
2018年5月29日

 3・11以降、原発は世界中で“不良債権化”しつつある。新規建設は、「国策」でなければ成り立たず、企業は巨大なリスクを背負い込む。英国で原発新設に乗り出す日立。成算はあるのだろうか。
 時代の流れに、どこまで逆らうつもりだろうか。
 向かい風に帆を揚げて、急流をさかのぼろうとする小舟のようなものではないか。「成長戦略」という名目の小舟である。
 グレートブリテン島中西部のアングルシーという島に、二〇二〇年代前半の運転開始をめざして、百三十万キロワット級の原発二基を建設する。
 総事業費は三兆円以上。日立は六年前、英国の原発事業会社を買収して子会社化、資金難に陥った英国側の事業を引き継いだ。
 福島原発事故後の建設費急騰に音を上げて、日立は日英両政府に資金支援を要請した。
 最新の資金計画では、北海油田・ガス田の枯渇を見越し、先進国で唯一、原発新設に積極的といわれる英国政府が、二兆円の融資を提示した。
 残りを日立と英政府や英企業、日本の政府系金融機関や電力会社などが出資し、日立などの出資分は事実上、日本政府が債務保証するという方向で交渉が進んでいる。これも「国策」だということだ。国策のつけは国民に回される。
 安全対策を考えれば、原発は割に合わない。既に世界の常識だ。
 フィンランドのオルキルオト原発3号機は、総事業費が当初見込みの三倍近くに膨らんで、完成は現時点で十年遅れ。フランスのフラマンビル原発3号機の事業費も同様で、この二基のつまずきが世界最大の原発メーカーであるフランスのアレバ社を事実上の破綻に追い込んだ。原子力事業子会社「ウェスチングハウス(WH)」の破綻が東芝を土俵際まで追い詰めたのも記憶に新しい。
 再生可能エネルギーの台頭により、欧州ではすでに原発の電力は市場競争力を失った。
 英国政府は原発の電気を一定期間、高額で買い取るシステムを導入し、建設費を国民に転嫁した。原発事業はもはや、政府の後押し、つまり国民の負担なしには成り立たない。安全面だけでなく、経済的にも巨大なリスク、いわば“泥舟”なのである。
 3・11の当事者でありながら、さまざまなリスクを押して原発にこだわる日本政府。真意はどこにあるのだろうか。

月曜朝

2018-05-21 | Weblog

実はこの日、いわきにいました。
もちろん別件で…

東京新聞社説
島サミット 楽園でない実情知って
2018年5月21日
 太平洋島しょ国首脳らを招いて開いた「太平洋・島サミット」。海に囲まれ開放的な半面、基盤整備は遅れ、海面上昇という地球温暖化の直撃も受ける国々だ。厳しい実情を知る機会にしたい。
 太平洋島しょ国十四カ国の人口は計約一千万人、面積は日本の一・四倍だが、排他的経済水域(EEZ)は日本の四・四倍ある。マグロ、カツオなどの漁場としても重要な地域だ。
 小国だが、国連では一票ずつを持つ。関係強化には、日本の立場への賛成票を得たいとの思惑もある。
 戦時中、日本が委任統治をしたり戦場となったりしたが、対日感情は比較的いい。
 十四カ国中、六カ国が台湾と外交関係を持つが、最近では、ハコモノ建設など中国の支援を受ける国も目立っている。
 日本の呼び掛けによる島サミットは、一九九七年以来のつながりだ。各国のニーズを把握し、国際協力機構(JICA)を主体に支援を続けている。
 「楽園」のイメージが強い島国だが、国土は狭く産業は育っていない。生活物資は輸入頼りだが、海に囲まれアクセスは悪い。ごみの処理や電力の確保も難しい。地震やサイクロンなどの災害も多く生活は厳しい。
 温暖化による海面上昇で国土沈下が懸念されるツバル。護岸は崩れ、周囲には島内で処理できないプラスチックなどのごみが散乱していた。島を構成するサンゴの砂や小石を利用して海岸を再生し、運動会を開けるまでになった。
 多くの離島を抱える沖縄の自治体や企業によるノウハウ提供にも注目したい。島国が依存するディーゼル発電による電力供給を安定させるため、風力や太陽光による再生可能エネルギーを導入、微生物を利用した浄水場を整備するなどの事業に技術協力している。
 今サミットでは、洋上で物資を積み替える「瀬取り」を含む、北朝鮮の制裁逃れに深刻な懸念も表明した。
 ただ、サミットの準備会合では「自由で開かれたインド太平洋戦略の具体化に向けた連携」など日本の説明に、「反中国か」など戸惑いの言葉も出たという。押し付けがましさは禁物だ。
 福島県いわき市での開催は、東日本大震災からの復興をアピールする狙いもある。制約を抱える島国の取り組みは、災害など緊急時の対応にも通じる。島国を救う知恵を自らにも生かしたい。

日朝

2018-05-20 | Weblog
東京新聞社説

週のはじめに考える 裁かれる国家の「犯罪」
2018年5月20日
 国家の「犯罪」と呼ぶほかありません。障害者らに子どもを産ませない手術を強いた旧優生保護法。悲劇を招いた責任を問う怒りの裁判が相次ぎます。
 宮城県の児童施設にいた一九五七年の十四歳のころ、全く事情を知らされないまま精管を縛る不妊手術をされたというのです。施設の仲間から後日にその意味を聞かされ、驚くしかなかった。
 今は東京都で暮らす七十五歳のこの男性は十七日、国の謝罪と賠償を求め、東京地裁への提訴に踏み切りました。憲法が保障する子どもを産み育てるかどうかの自己決定権を奪われたと訴えている。
◆「人生を返して」
 四十年連れ添った妻が五年前に白血病で逝く寸前まで、手術のことを打ち明けられなかった。「一人の女性を不幸にしてしまった。私の人生を返してほしい」。怒りとやり切れなさはいかばかりか。
 障害があると診断されたこともないという。でたらめな手術が横行していた疑いが濃厚です。
 「不良な子孫」の出生防止を掲げた優生保護法が定められたのは四八年です。現憲法が施行された翌(あく)る年、世界人権宣言が国連で採択されたのと同じ年。先の大戦の過ちを反省し、国際的に人権保障の機運が高まっていた時期です。
 日本は逆行するように、個人の尊厳と権利を踏みにじる仕組みをつくった。しかも、満場一致の議員立法でした。人権意識がいかに未熟だったかがうかがえます。
 遺伝性疾患やハンセン病、精神障害、知的障害などを理由に、不妊手術(断種)や人工妊娠中絶を施すことを可能にした。
 法律名の「優生」とは優生思想に由来します。人間に優劣の序列をつけ、優れた人を保護し、劣った人を排除することに価値を見いだす考え方といえるでしょう。
◆優生思想の呪縛
 ちょうど戦後の復興期。引き揚げや復員、ベビーブームで過剰になった人口を抑えることが重要な政策課題でした。人口の「質」を向上させつつ「量」を管理することが焦点だったのです。
 やがて障害のある子どもを「不幸」とみなす優生運動が兵庫県を皮切りに広がる。高度成長は障害者の犠牲の上に実現したのです。
 七〇年代には出生前診断の普及を背景に、胎児の障害を条件に中絶を認める規定を設ける動きもあった。脳性まひ者らの「青い芝の会」が反発するも、法律の不平等性、非人道性は問われなかった。
 優生思想に根差した条文を削除した今の母体保護法に改められる九六年まで、優生保護法は半世紀もの間生きていました。社会の偏見や差別が被害者に沈黙を余儀なくさせてきたと思うのです。
 統計に残るだけでも、約一万六千五百人が不妊手術を強いられました。身体を拘束したり、麻酔薬を使用したり、うそをついてだますことさえ、国は認めていた。
 さらに、同意を得たとして約八千五百人が不妊手術を、約五万九千人が中絶を施されました。強要されたのかもしれない。そもそも無辜(むこ)の個人の私的領域に、国家が介入すること自体がおかしい。
 にもかかわらず、政府は「当時は適法だった」と強弁し、国会は救済立法を怠ってきた。私たちメディアも無関心でした。
 優生思想の呪縛は恐ろしい。すでに古代ギリシャの哲学者プラトンの『国家』で肯定的に述べられています。人類史に重大な影響を与えたのは、英国の遺伝学者フランシス・ゴルトンが十九世紀に唱えた「優生学」でしょう。
 いとこにあたるダーウィンの進化論に刺激され、人為的に遺伝的素質を改良すれば、人類は進歩すると考えた。それが近代科学の装いのもとで支持を集めていく。
 二十世紀に入り、劣悪な遺伝的素質を断ち切るとして、米国をはじめ世界各国が断種法をつくりました。戦時下の日本もナチス・ドイツにならい、優生保護法の前身となる国民優生法を定めた。
 ナチスは約三十六万人の障害者らに手術を強いたばかりではなく、虐殺に及びました。その犠牲者は二十万人を超すといわれる。
 それでも、ドイツは八〇年代には補償金の支給を始めた。約六万三千人に手術を強いたスウェーデンは、九〇年代に国の調査委員会を設けて補償制度をつくった。
◆良心と勇気の声を
 日本ではさる一月、宮城県の六十代の女性が先駆けて司法の良心に裁断を仰ぎました。それを契機に、国会は救済の必要性に目覚め、政府は調査に乗り出した。やはり鈍い人権意識です。被害者は年輪を刻み、時間との勝負です。
 東京の男性にも、北海道と宮城県で同日に提訴した男女二人にも被害を裏づける記録がありません。一人でも多くの被害者と真相を知る人に、勇気を出して声を上げてほしい。私たちも支えます。

日朝

2018-05-13 | Weblog
高知新聞
小社会 初夏を迎えると、星野富弘さんのハナショウブの水彩画…
(2018.05.13 08:00)

 初夏を迎えると、星野富弘さんのハナショウブの水彩画と添えられた詩を思い出す。〈黒い土に根を張り/どぶ水を吸って/なぜきれいに咲けるのだろう/私は/大ぜいの人の/愛の中にいて/なぜみにくいことばかり/考えるのだろう〉。

 若いころ、不慮の事故で手足の自由を失った。病床で母親に食事をさせてもらっている時、汁が顔にかかった。母の顔にご飯を吐き出し「チキショウ。もう食わねえ。くそばばあ」。ご飯粒を拾いながら母は泣いていた(「愛、深き淵より。」)。

 健康な他人の幸せが苦々しい。どうしようもなく膨れ上がってくるいら立ちをぶつける相手は、母親しかいなかったのだろう。やがて詩画に楽しみを見いだし、筆を口にくわえて描くようになる。寝たきりの床から社会へ、はい上がるのを支えたのも母の力だった。

 大勢の人の愛、とりわけ母親の無私の愛に、人は長い時間かかってようやく気がつくのかもしれない。星野さん自身、けがをしなければ母の真心も分からず一生を高慢な気持ちで過ごす、不幸な人間になっていただろうと振り返っている。

 〈神様がたった一度だけ/この腕を動かして下さるとしたら/母の肩をたたかせてもらおう/風に揺れるぺんぺん草の/実を見ていたら/そんな日が本当に/来るような気がした〉。

 きょうは「母の日」。たくさんのお母さんたちへの優しい思いがあふれる、そんな一日に。

Memo

2018-05-08 | Weblog
习近平同朝鲜劳动党委员长金正恩在大连举行会晤
央视新闻客户端
2018-05-08 19:00
​5月7日至8日,中共中央总书记、国家主席习近平同朝鲜劳动党委员长、国务委员会委员长金正恩在大连举行会晤。

めも

2018-05-04 | Weblog
NHK
トランプ大統領が在韓米軍の削減検討指示か 米メディア
5月4日 14時39分トランプ大統領

史上初となる米朝首脳会談が近く開催される見通しとなる中、アメリカの一部メディアは、トランプ大統領が韓国に駐留するアメリカ軍の縮小に向けた選択肢を準備するよう国防総省に指示したと伝えました。
これはニューヨーク・タイムズが3日、政権に近い複数の関係者の話として報じました。それによりますと、トランプ大統領の指示の背景には、朝鮮戦争の終結が宣言されて平和協定が結ばれることになれば、韓国に駐留するアメリカ軍の現在の規模を維持する必要性が低くなることがあるとしています。

その一方で、この指示は、来月上旬までに開かれる見通しの米朝首脳会談の交渉材料にすることを意図したものではないとしています。またトランプ大統領は、在韓米軍の一部撤退を決意していて、その理由としては、維持にかかる費用が見合っていないこと、数十年にわたる軍事的プレゼンスが、北朝鮮が核の脅威となることを食い止められなかったことなどを挙げています。

一方でトランプ大統領のこうした指示が、韓国や日本との同盟関係に与える影響を懸念する国防総省などの当局者を慌てさせているということです。

マティス国防長官は先月、記者団に対し、「今は北朝鮮との交渉に向けた手続きを進めなければならず、いかなる前提条件も予断も持つべきではない」と述べていて、在韓米軍の縮小が今後の米朝の間の交渉の材料となるのかに注目が集まっています。


・朝鮮半島の非核化が成功したら、日本も米軍駐留と中国軍の削減について、中国と交渉してもらいたい。

金朝

2018-05-04 | Weblog
事実は調整中、って…
岡山・加計学園
柳瀬氏「国会で答弁」 面会、詳細は語らず
毎日新聞 2018年5月4日 東京朝刊

 学校法人「加計学園」の獣医学部新設を巡り、関係者との面会の記憶がないと説明してきた元首相秘書官の柳瀬唯夫経済産業審議官は3日、「国会に呼ばれたら、誠実にしっかりお答えしたい」と述べた。経産省で記者団の問い掛けに応じた。面会した事実関係については発言を避けた。

 柳瀬氏に関しては、2015年4月に首相秘書官だった際、官邸で愛媛県関係者と…


朝日
(社説)平和主義と安全保障 9条を変わらぬ礎として
2018年5月4日
 これが憲法9条を持つ日本の自衛隊の姿なのか。
 海外派遣時の日報隠蔽(いんぺい)は、政治が軍事に優越するシビリアンコントロール(文民統制)の基礎を掘り崩す。幹部自衛官が国会議員を罵倒した事案は、軍が暴走した歴史を想起させる。
 一方で、専守防衛を逸脱する空母や長距離巡航ミサイルの保有の検討が進む。集団的自衛権の行使に道を開く安全保障関連法が施行され、米軍との共同行動は格段に増えている。
 ■「錦の御旗」を得れば
 それだけではない。
 安倍首相は9条に自衛隊を明記する改憲の旗を降ろしていない。1項、2項は維持し、自衛隊の存在を書き込むだけと説明するが、政権の歩みを振り返れば、9条の空洞化を進める試みと断じざるをえない。
 賛成39%。反対53%。
 本紙が憲法記念日を前に実施した世論調査では、首相案への支持は広がらなかった。
 そもそも政府は一貫して「自衛隊は合憲」と説明し、国民にも定着している。9条改憲に政治的エネルギーを費やすのは、政治が取り組むべき優先順位としても疑問が残る。
 「何も変わらない」という首相の説明は、額面通りには受け取れない。「戦争放棄」と「戦力の不保持」を定めた9条があることで、自衛隊の活動や兵器に厳しい制約が課され、政府にも重い説明責任が求められてきた。改憲すれば、その制約が緩むことは避けられない。
 首相の意向に沿って自民党の憲法改正推進本部がまとめた案では、自衛隊は「必要な自衛の措置」をとるための実力組織とされる。自衛隊に何ができて、何ができないのか、その線引きが全くわからない。
 歴代内閣が否定してきた集団的自衛権の行使は、一内閣の閣議決定で容認に転じた。自衛隊が憲法上の機関という「錦の御旗」を得れば、時の政権の判断次第で、米軍支援や海外派遣、兵器の増強がなし崩しに拡大する恐れがある。
 ■行き詰まる軍事優先
 そのとき、9条の平和主義は意味を失う。戦後日本が築いてきた平和国家の姿は変質し、近隣諸国からは、戦前の歴史への反省を否定する負のメッセージと受け取られかねない。
 それは日本の外交、安全保障上、得策だろうか。
 東アジアの安全保障環境は分水嶺(ぶんすいれい)に差し掛かっている。
 北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長が、南北の軍事境界線を越えて文在寅(ムンジェイン)韓国大統領と握手を交わし、11年ぶりの首脳会談が実現した。史上初の米朝首脳会談への準備も進む。
 情勢が激しく動くなか、日本の平和と安全を守るために何が必要か。長期的な理念を掲げながら、目の前の現実を見すえる政治の知恵が試される。
 安倍政権は、北朝鮮の核・ミサイル開発の動きを、同盟強化や9条改正の機運につなげてきた。日米同盟に頼り、韓国や中国との信頼関係は深まっていない。そのために、朝鮮半島の緊張緩和という大きな流れに乗り遅れつつある。
 米国が核兵器の役割を拡大する「核戦略見直し」を発表した時には、唯一の戦争被爆国にもかかわらず、高く評価する外相談話を出した。これでは、非核化に向けたイニシアチブもとりようがない。
 安全保障は軍事だけでは成り立たない。対話や協力を通じ、平和を保つ仕掛けをつくる。そんな外交努力が欠かせない。
 いま必要なのは、9条の平和主義を基軸として、日米同盟と近隣外交のバランスをとりながら、地域の平和と安定に主体的に関与することだ。
 ■身の丈にあう構想を
 戦前、言論人として軍部にあらがい、戦後は自民党総裁、首相も務めた石橋湛山は1968年、こんな一文を残している。
 「わが国の独立と安全を守るために、軍備の拡張という国力を消耗するような考えでいったら、国防を全うすることができないばかりでなく、国を滅ぼす」(「日本防衛論」)
 時代状況が異なっても、この見方は今に通じる。
 日本社会は急速な少子高齢化に伴う人口減少と、未曽有の財政難に直面している。この現実は、安全保障を考えるうえでも決して無視できない。
 トランプ米大統領はしきりに米国製兵器の購入を日本に迫っている。呼応するかのように、自民党内には5兆円規模の防衛費の倍増を求める声もある。
 しかし、社会保障費が膨らむなかで、そんな財源が一体どこにあるというのか。子どもの数が減っていけば、現在の自衛隊の規模を維持することも難しくなるだろう。
 国力の限界を踏まえ、軍事に偏らず、身の丈にあった安全保障を構想すべきである。
 不透明な時代であればこそ、9条を変わらぬ礎(いしずえ)として、確かな外交、安全保障政策を考え抜かなければならない。



NHK
ノーベル平和賞の劉暁波氏 当局監視下の妻 窮状訴える音声公開
5月4日 7時45分ノーベル賞

中国の民主化運動の象徴的な存在で去年亡くなった劉暁波氏の妻について中国当局の監視下での苦境を伝える電話の音声を友人が公開し、窮状を訴えました。
去年7月に亡くなった劉暁波氏は、中国共産党の一党支配を批判するなどして有罪判決を受け、服役中にノーベル平和賞を受賞した中国の民主化運動の象徴的な存在で、妻の劉霞さんは今も当局の監視下に置かれています。

劉霞さんの友人でドイツに住む寥亦武さんは、2日、劉霞さんとの電話のやり取りを香港のインターネットメディアで公開しました。
およそ7分間の音声には、劉霞さんが「携帯電話もパソコンもない」と嘆く声や、泣き声が記録されています。

また、劉霞さんは「生きるよりも死ぬほうが簡単だ」とも話していたということで、寥さんは劉霞さんの心身の状態が悪化していると指摘しています。

寥さんはNHKの取材に対し、中国当局が劉霞さんが希望する出国を許可せず行動の制限を続けていると批判し、「助けを求める声を多くの人に聞いてほしい」と窮状を訴えました。

一方、中国外務省の報道官は劉霞さんの状況について3日の記者会見で、「関係部門が法律に基づいて問題を処理する」と述べるにとどめ詳しい説明は避けています。



NHK
「潜伏キリシタン関連遺産」世界文化遺産へ
5月4日 5時13分国際

世界文化遺産への登録を目指していた「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」について、ユネスコの諮問機関は「世界遺産にふさわしい」と勧告しました。これにより、長崎市の大浦天主堂など12の構成資産はことし世界文化遺産に登録される見通しとなりました。
長崎県と熊本県の「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」は、原城跡や大浦天主堂、さらに禁教期に弾圧を逃れて移り住んだ集落など12の資産で構成され、日本政府がことし、世界文化遺産への登録を目指しています。

ユネスコの諮問機関「イコモス」は現地調査などを行った結果、「世界遺産に登録することがふさわしい」とする勧告をまとめました。

今回の勧告は4段階ある評価のうち最も高いことなどから、「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」は、ことしバーレーンで開かれる世界遺産委員会で正式に世界文化遺産に登録される見通しとなりました。

今回の勧告について、文化庁は「イコモスから構成資産をキリスト教の禁教期に絞るよう指摘をうけて当初14だった資産を12に見直したことが評価されたと思う。これらの地域の中には離島や過疎地域もあるため、これを機に地域振興に役立ててほしい」と話しています。

国内の世界遺産は現在、文化遺産が17件、自然遺産が4件です。
長崎市民「きっかけに観光客が訪れてくれたらうれしい」
今回の勧告を受けて、長崎市のJR長崎駅前では市民などから喜びの声が聞かれました。

長崎市の20代の女性は「いいことだと思います。教会の建物は美しいので、これをきっかけにたくさんの観光客が訪れてくれたらうれしいです」と話していました。

長崎市の60代の男性は「潜伏キリシタンの文化には負の側面もあるので、原爆と合わせてそういう部分も発信できるといいと思う」と話していました。

また、東京から観光で訪れた20代の男性は「以前、長崎の教会に行った時には厳かな雰囲気を感じた。長崎は観光地がコンパクトにまとまっているので、これからもっと観光客が増えると思う」と話していました。
長崎市長「『長崎のたから』が『世界のたから』に」
長崎市の田上市長は「『長崎のたから』が『世界のたから』としての価値を認められたものであり、大変うれしく思います。勧告どおり世界遺産へ登録されるよう、国や長崎県をはじめ関係する自治体や団体などと引き続き全力で取り組んでまいります」というコメントを発表しました。

カトリック長崎大司教区の高見三明大司教は「イコモスの積極的な評価を素直に喜びたいと思います。これまで世界遺産登録に向けて尽力されてきた方々のご苦労が報われますことをお祈りします」とするコメントを発表しました。

長崎県の中村知事は「推薦取り下げ以降、関係者が一丸となって推薦書の見直しに取り組み、評価を得られたことを大変うれしく思います。世界文化遺産として登録されるよう引き続き国や熊本県をはじめ関係自治体などと連携を図りながら全力で取り組んでまいります」というコメントを発表しました。
当初の14から指摘を受けて2つ外す
「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」は、長崎県と熊本県の主に江戸時代の禁教期のキリシタンに関する12の資産から構成されています。

当初は14の資産から構成されていましたが、2年前にユネスコの諮問機関から「キリスト教の信仰が禁じられた時期に焦点を当てるべきだ」と内容を見直すよう指摘されました。

そして、地元の自治体などが構成資産を見直した結果、名称を「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」から「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」に変更したほか、禁教との関係を証明するのが困難な2つの資産を外して、再び推薦書を提出していました。
ユネスコの諮問機関「イコモス」の勧告は
ユネスコの諮問機関「イコモス」の勧告は世界遺産への登録の可否を決める世界遺産委員会の判断に大きな影響を与えます。

イコモスの審査は「普遍的な価値の証明が十分か」や「保全状況は十分か」などを基準に行われます。そして、勧告は、最も高い評価の「記載」、「情報照会」、「記載延期」そして、「不記載」の4段階で出されます。

このうち、「記載」の評価を受けた資産はこれまですべて世界遺産に登録されています。

それに次ぐ「情報照会」は、追加で情報を提出させて翌年以降に再度審査を、さらに「記載延期」は本質的な改定が必要だとして登録を見送るべきという内容の勧告です。

ただし、過去にはこの2つの勧告を受けた資産が世界遺産委員会で登録が認められたケースもあります。

最も低い評価の「不記載」は、世界遺産にふさわしくないという勧告で、これが世界遺産委員会で確定すると世界遺産への登録は難しくなります。

memo

2018-05-03 | Weblog
3/30にナディッフ・アパートで開催された『ジェンダー写真論1991-2017』笠原美智子×石内都対談を再録しました。前・後編のまずは前編を公開しました。

第1回「ヴェネチアビエンナーレで目指した【女】【写真】【個展】」
写真家と学芸員、日本人女性としてのパイオニアであるお二人が、いかに歩み、2005年のヴェネチアビエンナーレに挑んだか。

「コミッショナーを依頼された時に、柱は三本だと思ったんです。ひとつめは、写真ということ。日本は大学もマーケットもないけれども、いい写真家自体はいっぱいいる。だから絶対写真家で、というのが一つです。そして、アーティストは女性。グループ展も含めて、もう100年の歴史があるのに、女性が展示したのは86人と1プロジェクト中、5人だけしかいない。そして、ヴェネチアという場所を考えたら絶対個展だと思った。グループ展では太刀打ちできないと思ったんです。それを考えたら、やっぱり石内さんしかいなかったんです。」

http://satoyamasha.com/series/kasahara-ishiuchi/pioneer01

木曜日

2018-05-03 | Weblog
本日5月3日(木) 21:00より、『映画 日本国憲法』をニコニコ動画で無料配信します。ぜひご覧下さい。
また、情報拡散をよろしくお願い致します。

「憲法」について考えるドキュメンタリー 『映画 日本国憲法』【ネット上映会】
http://live2.nicovideo.jp/watch/lv312751592


「あの時の映像がいまYouTubeで見られる。明らかに選挙活動の妨害行為だ」
朝日
(社説)安倍政権と憲法 改憲を語る資格あるのか
2018年5月3日
 憲法施行から70年の節目にあったこの1年で、はっきりしたことがある。それは、安倍政権が憲法改正を進める土台は崩れた、ということだ。
 そもそも憲法とは、国民の側から国家権力を縛る最高法規である。行政府の長の首相が改憲の旗を振ること自体、立憲主義にそぐわない。
 それに加え「安倍1強政治」のうみとでもいうべき不祥事が、次々と明らかになっている。憲法の定める国の統治の原理がないがしろにされる事態である。とても、まっとうな改憲論議ができる環境にない。
 ■統治原理ないがしろ
 この3月、森友学園との国有地取引をめぐる公文書の改ざんを財務省が認めた。
 文書は与野党が国会に提出を求めた。改ざんは、憲法の基本原理である三権分立、その下での立法府の行政府に対するチェック機能を損なうものだ。民主主義の根幹にかかわる重大事なのに、政権はいまだに改ざんの詳しい経緯を説明していない。
 いま政権を揺るがす森友学園と加計学園の問題に共通するのは、首相につながる人物に特別な便宜が図られたのではないかという疑惑である。
 長期政権の下、「すべて公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない」という憲法の定めが、大きく揺らいでみえる。
 昨年の通常国会の閉会後、野党は一連の問題を追及するため、憲法の規定に基づいて臨時国会の召集を要求した。首相はこれを放置し、野党の選挙準備が整っていないことを見透かして、衆院解散に打ってでた。憲法を無視したうえでの、「疑惑隠し」選挙だった。
 ■普遍的価値も軽視
 この1年、社会の多様性や個人の尊厳を軽んじる政権幹部の言動も多く目にした。
 象徴的だったのが、昨年7月の都議選の応援演説で、首相が自らを批判する聴衆に向けた「こんな人たちに負けるわけにはいかない」という言葉だ。
 都議選の惨敗後、いったんは「批判にも耳を傾けながら、建設的な議論を行いたい」と釈明したのに、今年4月に再び、国会でこう語った。
 「あの時の映像がいまYouTubeで見られる。明らかに選挙活動の妨害行為だ」
 財務事務次官によるセクハラ疑惑に対し、被害女性をおとしめるような麻生財務相、下村元文部科学相の発言もあった。
 憲法が定める普遍的な価値に敬意を払わないのは、安倍政権発足以来の体質といえる。
 この5年余、首相は経済を前面に立てて選挙を戦い、勝利すると、後出しじゃんけんのように「安倍カラー」の政策を押し通す手法を繰り返してきた。
 国民の「知る権利」を脅かす特定秘密保護法、歴代内閣が違憲としてきた集団的自衛権の行使に道を開く安全保障関連法、捜査当局による乱用が懸念される共謀罪の導入……。合意形成のための丁寧な議論ではなく、与党の「数の力」で異論を押しのけてきた。
 1強ゆえに、内部からの批判が声を潜め、独善的な政権運営にブレーキがかからなかったことが、現在の問題噴出につながっているのではないか。
 ちょうど1年前のきょう、首相は9条に自衛隊を明記する構想を打ち上げ、「2020年を新しい憲法が施行される年にしたい」と宣言した。与野党の対立で国会内の機運はすっかりしぼんだが、首相はなお任期中の改憲に意欲をみせる。
 自民党は首相の意向を受けて、自衛隊明記に加え、教育、緊急事態対応、合区解消の計4項目の改憲案をまとめた。憲法を変えずとも、法律で対応できることが大半で、急いで取り組む必要性はない。
 ■優先順位を見誤るな
 「21世紀の日本の理想の姿を、私たち自身の手で描くという精神こそ、日本の未来を切りひらいていく」。首相は1日、新憲法制定を目指す議員連盟主催の会合にそんなメッセージを寄せた。
 透けて見えるのは、現憲法は占領期に米国に押し付けられたとの歴史観だ。人権、自由、平等といった人類の普遍的価値や民主主義を深化させるのではなく、「とにかく変えたい」という個人的な願望に他ならない。
 本紙が憲法記念日を前に実施した世論調査では、安倍政権下での改憲に「反対」は58%で、「賛成」の30%のほぼ倍となった。政策の優先度で改憲を挙げたのは11%で、九つの選択肢のうち最低だった。「この1年間で改憲の議論は活発化した」という首相の言葉とは裏腹に、民意は冷めたままだ。
 いま首相が全力を尽くすべきは、一連の不祥事の全容を解明し、憲法に基づくこの国の統治の仕組みを立て直すことだ。それなくして、今後の政権運営は立ち行かない。
 首相の都合で進める改憲は、もう終わりにする時だ。


東京新聞【社説】
憲法記念日 平和主義の「卵」を守れ
2018年5月3日
 自民党により憲法改正が具体化しようとしている。九条に自衛隊を明記する案は、国を大きく変質させる恐れが強い。よく考えるべき憲法記念日である。
 ホトトギスという鳥は、自分で巣を作らないで、ウグイスの巣に卵を産みつける。ウグイスの母親は、それと自分の産んだ卵とを差別しないで温める。
 一九四八年に旧文部省が発行した中高生向けの「民主主義」という教科書がある。そこに書かれた示唆に富んだ話である。
◆「何ら変更はない」とは
 <ところが、ほととぎすの卵はうぐいすの卵よりも孵化(ふか)日数が短い。だから、ほととぎすの卵の方が先にひなになり、だんだんと大きくなってその巣を独占し、うぐいすの卵を巣の外に押し出して、地面に落してみんなこわしてしまう>
 執筆者は法哲学者の東大教授尾高朝雄(ともお)といわれる。「民主政治の落し穴」と題された一章に紹介されたエピソードである。そこで尾高はこう記す。
 <一たび多数を制すると、たちまち正体を現わし、すべての反対党を追い払って、国会を独占してしまう。民主主義はいっぺんにこわれて、独裁主義だけがのさばることになる>
 この例えを念頭に九条を考えてみる。基本的人権や国民主権は先進国では標準装備だから、戦後日本のアイデンティティーは平和主義といえる。国の在り方を決定付けているからだ。
 九条一項は戦争放棄、二項で戦力と交戦権を否認する。自民党はこれに自衛隊を書き込む提案をしている。安倍晋三首相が一年前にした提案と同じだ。
 だが、奇妙なことがある。安倍首相は「この改憲によって自衛隊の任務や権限に何らの変更がない」と述べていることだ。憲法の文言を追加・変更することは、当然ながら、その運用や意味に多大な影響をもたらすはずである。
◆消えた「必要最小限度」
 もし本当に何の変更もないなら、そもそも改憲の必要がない。国民投票になれば、何を問われているのか意味不明になる。今までと何ら変化のない案に対し、国民は応答不能になるはずである。
 動機が存在しない改憲案、「改憲したい」欲望のための改憲なのかもしれない。なぜなら既に自衛隊は存在し、歴代内閣は「合憲」と認めてきたからだ。
 安倍首相は「憲法学者の多くが違憲だ」「違憲論争に終止符を」というが、どの学術分野でも学説は分かれるものであり、改憲の本質的な動機たりえない。
 憲法を改正するには暗黙のルールが存在する。憲法は権力を縛るものであるから、権力を拡大する目的であってはならない。また目的を達成するには、改憲しか手段がない場合である。憲法の基本理念を壊す改憲も許されない。
 このルールに照らせば九条改憲案は理由たりえない。おそらく別の目的が潜んでいるのではないか。例えば自衛隊の海外での軍事的活動を広げることだろう。
 歴代内閣は他国を守る集団的自衛権は専守防衛の枠外であり、「違憲」と国内外に明言してきた。ところが安倍内閣はその約束を反故(ほご)にし、百八十度転換した。それが集団的自衛権の容認であり、安全保障法制である。専守防衛の枠を壊してしまったのだ。
 それでも海外派兵までの壁はあろう。だから改憲案では「自衛隊は必要最小限度の実力組織」という縛りから「必要最小限度」の言葉をはずしている。従来と変わらない自衛隊どころでなく、実質的な軍隊と同じになるのではないか。
 それが隠された動機ならば自民党は具体的にそれを国民に説明する義務を負う。それを明らかにしないで、単に自衛隊を書き込むだけの改憲だと国民に錯覚させるのなら、不公正である。
 また安倍首相らの根底には「九条は敗戦国の日本が、二度と欧米中心の秩序に挑戦することがないよう米国から押しつけられた」という認識があろう。
 しかし、当時の幣原(しではら)喜重郎首相が連合国軍最高司令官マッカーサーに戦争放棄を提案した説がある。両者とも後年に認めている。日本側から平和主義を提案したなら「押しつけ論」は排除される。
 歴史学者の笠原十九司(とくし)氏は雑誌「世界」六月号(岩波書店)で、幣原提案説を全面支持する論文を発表する予定だ。
◆戦争する軍隊になるか
 他国の戦争に自衛隊も加われば、およそ平和主義とは相いれない。日本国憲法というウグイスの巣にホトトギスの卵が産みつけられる-。「何の変更もない」と国民を安心させ、九条に自衛隊を明記すると、やがて巣は乗っ取られ、平和主義の「卵」はすべて落とされ、壊れる。それを恐れる。


現実と乖離しているのは中国だと思うが、中国を理由になし崩しにしようとしているようにさえ感じるこの頃。中国に対しても同じ目を向けなくてはいけないなあ、と思うこの頃。

毎日新聞社説
引き継ぐべき憲法秩序 首相権力の統制が先決だ
2018年5月3日 東京朝刊

 平成最後の憲法記念日である。

 施行から71年。日本国憲法は十分に機能しているか。現実と乖離(かいり)してはいないか。安定した憲法秩序が時代をまたいで次へと引き継がれるよう、点検を怠るわけにはいかない。

 1年前、安倍晋三首相は憲法9条への自衛隊明記論を打ち上げた。自民党をせき立て、野党を挑発し、衆院総選挙まではさんで、改憲4項目の条文案作成にこぎつけた。

 しかし、衆参両院の憲法審査会は今、落ち着いて議論できる状況にはない。最大の旗振り役だった首相への信用が低下しているためだ。

 モリ・カケ、日報、セクハラ。問われている事柄を真正面から受け止めず、過剰に反論したり、メディア批判に転嫁したりするから、いつまでもうみは噴き出し続ける。

90年代政治改革の産物

 この間くっきりと見えたのは立法府と行政府のバランスの悪さだ。

 改ざんした公文書の提出は、国会への冒〓(ぼうとく)としか言いようがない。なのに、国会はいまだに原因の究明も、事態の収拾もできずにいる。

 国会が首相を指名するという憲法67条は議院内閣制の規定だ。同時に66条3項は内閣の行政権行使にあたり「国会に対し連帯して責任を負う」よう求めている。憲法が国会に内閣の統制を期待している表れだ。

 連合国軍総司令部(GHQ)による憲法草案の作成過程で、当時27歳のエスマン中尉は「行政権は合議体としての内閣にではなく、内閣の長としての内閣総理大臣に属する旨を明確にすべきだ」と主張した。

 これに対し、総責任者のケーディス大佐は「強い立法府とそれに依存した行政府がいい」と考えて退けたという(鈴木昭典著「日本国憲法を生んだ密室の九日間」)。

 しかし、強い立法府は生まれなかった。とりわけ安倍政権では、首相の過剰な権力行使が目立つ。

 昨年8月、首相は内閣改造に踏み切りながら、野党による国会召集の要求を無視し続けた。総選挙後にようやく特別国会を開くと、野党の質問時間を強引に削減した。

 本来中立性が求められる公的なポストに、意を通じた人物を送り込むのもいとわない。内閣法制局長官の人事や各種有識者会議がそれだ。

 小選挙区制の導入、政党助成制度の創設、首相官邸機能の強化といった1990年代から進められてきた政治改革が、首相権力の増大に寄与しているのは明らかだ。

 中選挙区時代の自民党はライバルの派閥が首相の独走を抑えてきた。しかし、今や首相は選挙の公認権と政党交付金の配分権を実質的に独占する。政府にあっては内閣官房スタッフの量的拡大と内閣人事局のにらみを前に各省は自律性を弱めた。

 すなわち国会と内閣の同時掌握が「安倍1強」の根底にある。ここに権限のフル活用をためらわない首相の個性が加わって、日本の憲法秩序は安倍政権を通じて大きく変容してきたと言わざるを得ない。

議論は健全な国会から

 国会には立法機能と政府の創出機能がある。同時に国会は行政を監視し、広範な合意に導く役割を併せ持つ。国会が権力闘争の場であることは否定しないが、現状は政権党が政府の下請けに偏り過ぎている。

 今国会で増えた質問時間を持て余した自民党議員が、意味なく首相をほめそやしたのはその典型だ。

 大島理森衆院議長はよく「民主主義は議論による統治だ」と語る。議院内閣制の下でこの原則を生かすには、立法府と行政府との相互抑制や強力な野党の存在、首相の自制的な態度などが要件になる。

 公職選挙法や国会法など統治システムの運用にかかわる法律は「憲法付属法」と呼ばれる。一連の政治改革が当初の予測を超えて憲法秩序をゆがめているとしたら、付属法の是正がなされるべきだろう。

 少なくとも国政調査権の発動を、与党の数の論理で封じる慣行は見直していく必要がある。公文書管理法や情報公開法の厳格な運用も、憲法秩序の安定に貢献するはずだ。

 冷戦前、国連の集団安全保障が機能する前提で生まれた憲法9条と、現在の国際環境を整合させるために議論をするのはおかしくない。

 しかし、本当に国民の利益になる憲法の議論は、健全な国会があってこそ成り立つものだろう。敵と味方を峻別(しゅんべつ)するあまり、客観的な事実の認定さえ受け付けない現状は不健全である。まずは国会が首相権力への統制力を強めるよう求める。


5月3日 世界報道自由デー
World Press Freedom Day

世界新闻自由日 | 报纸和太阳一样,它们共同的使命就是给人带来光明
2018-05-03 现实以上主义

5月3日,世界新闻自由日

让人讲话,天不会塌下来,
自己也不会垮台,不让人讲话呢?
那就难免有一天要垮台。
——〔中〕毛泽东

报纸和太阳一样,
它们共同的使命就是给人带来光明。
——〔法〕萨特

信仰和出版应该是不受限制的。
——〔英〕葛德文

只要新闻自由,人人能读报,
一切便有安全的保障。
——〔美〕托马斯·杰斐逊

新闻是启迪人们思想的最好的工具,
它提高人们的素质,
使之成为有理智、有道德的社会之人。
——〔美〕托马斯、杰斐逊

新闻业永远是国家的主宰。
——〔英〕王尔德

信仰的自由,教育的自由,
言论的自由,集会的自由,
这些是民主的基础。
一旦新闻的自由遭到严重的挑战时,
这一切便会化为乌有。
——〔美〕罗斯福

纽约的报纸对统治这个国家所起的作用,
比华盛顿的白宫更大。
——〔美〕W·菲利浦斯



北海道新聞
卓上四季
空気のような存在
05/03
ちょっと前のこと。道立高校の当時15歳の男子生徒が、道の苦情審査委員に申し立てをした。「アルバイトを許可制とする校則は憲法違反だ」と。勤労の権利と義務を定めた憲法27条に反するというのだ▼委員は「校則には合理性がある」として昨年、申し立てを却下した。アルバイトを無制限にすると判断力が未熟な生徒が劣悪な環境で働かされる危険性があり、学業がおろそかになる可能性があるとの理由だ▼一方、委員は「問題を感じた時、憲法上の権利はどうなっているかと考えたことは非常に有意義だ」とも評価した。日々の暮らしが憲法の下で営まれていることを、改めて思い出させてくれる出来事だった▼国民の自由や権利は、法律や条例などさまざまなルールで守られている。同時に社会秩序の維持のため、一定の規制も設けられている。こうしたルールが野放図に国民を縛ることのないよう、国家権力を制限する最高法規が憲法である▼普段、憲法を意識することはほとんどないだろう。空気のような存在に違いない。けれど、この高校生の例に限らず、セクハラや子どもの貧困から戦争放棄や平和まで、すべての問題が憲法と関係することを忘れてはなるまい▼改憲が政治の焦点の一つになっている。本当に変える必要があるか。必要だとするなら何を、どう変えるべきか。一人一人が考える機会にしたい。きょうは憲法記念日。


河北新報
河北春秋
2018年05月03日 木曜日
 東日本大震災の後、大規模な復興土地区画整理事業が進められた陸前高田市や岩手県大槌町。市や町が計画する住宅再建予定地に広大な空き地が生じかねないという。長期の工事を待ちきれぬ住民が離れていくためだ▼仙台市と近隣を除く宮城、岩手両県の大半の被災自治体で2045年の人口が半減~4割減の見通し-と、国立社会保障・人口問題研究所の推計で分かった。半島部の住民流出が著しい石巻市、宮城県女川町なども同様だ▼以前訪ねたことのある北海道夕張市。映画『幸福の黄色いハンカチ』で知られる往時の炭鉱町に半世紀前、11万人がいた。今はわずか8千人台。震災と産業消滅という背景の違いはあるが、衰退の行く末を知ることはできる▼財政も破綻した夕張市では税金、下水道などの料金が軒並み上がり、ごみ処理も有料化。公共施設は閉鎖され、市立病院は診療所に。市職員の数、給料はほぼ半減され、客が来ない商店街の組合も解散。若者は去り高齢化率は50%超▼連休に暗い話で恐縮だが、27年後の被災地がそうならぬため、市町村と住民が知恵を出し合いたい。現実にがんじがらめになる大人だけの発想でなく、若い世代が「こんな街でこんな夢をかなえたい」という未来図を描き加えてみてはどうか。その時間はある。(2018.5.3)

水朝

2018-05-02 | Weblog

朝日
(社説)朝日襲撃31年 異論に耳傾ける社会に
2018年5月2日
 取材の最前線をねらった凶弾への憤りを胸に、新聞の役割を再確認したい。
 兵庫県西宮市の朝日新聞阪神支局に散弾銃をもった男が押し入り、記者2人が殺傷された事件から明日で31年になる。
 赤報隊を名乗る犯人が起こした8件の事件は、03年3月までに公訴時効が成立している。だがそれは刑事手続き上の話だ。卑劣なテロの記憶を風化させてはならない。
 重傷を負った犬飼兵衛さんは1月に73歳で亡くなった。常々「なぜ撃たれたのか、知りたかった」と無念を語っていた。
 阪神支局3階の資料室には、犬飼さんと小尻知博記者(当時29)が座っていたソファや遺品が展示してある。見学者がつづったメッセージのひとつに、こんな文章がある。
 「言論の自由が猛烈な勢いで脅かされている現在、市民の一人ひとりが『みる・きく・はなす』を実践していくことが必要だと思う」(50代女性)
 この国の状況に危機感を覚えての感想だろう。
 事件直後、多くの人が怒りを表し、当時の中曽根首相は「憲法の保障する基本的な権利への挑戦だ」と批判した。ところがいま、銃撃を「義挙」と呼び、「赤報隊に続け」などと、そのゆがんだ考えと行動を肯定する言葉がネット上に飛び交う。
 同じく1月に92歳で他界した元自民党幹事長の野中広務さんは、かつて北朝鮮への人道支援を唱え、「国賊政治屋」などと非難された。事務所に弾丸を送りつけられたこともあった。
 それでも「私の姿勢と信念はゆるがない」と述べ、昨年も阪神支局事件に触れて「言論は民主主義の基本だ」と変わらぬ思いを語っていた。言論統制下の戦時中を知る人の言葉を、今こそ重く受け止めたい。
 大切なのは、異論にも耳を傾け、意見を交換し、幅広い合意をめざす社会を築くことだ。
 それなのに「反日」「国益を損ねる」といった言い方で、気に入らない意見を敵視し、排除しようという空気が、安倍政権になって年々強まっている。
 先日も、自民党の下村博文・元文部科学相が「メディアは日本国家をつぶすために存在しているのかと最近つくづく思う」と講演した。政権の足を引っ張るものは許さない。そんな本音が透けて見える。
 多様な言論の場を保証し、権力のゆきすぎをチェックするのがメディアの使命だ。立場や価値観の違いを超え、互いに尊重し合う民主社会の実現に、新聞が力になれるよう努めたい。