追い出されて・・・

 

家には車を停めるスペースが少ない。

おいらの黒狸の目の前に別の車を停められると

動きが取れなくなる。

で

前もって車をどかしてくんないかな？

みたいなことになって

阿吽の呼吸で家を飛び出すことになるのだ。

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昨日もそんなことで

歯art美術館なる珍妙な美術館へ向かった。

東京女子カメラ・クラブとかいう団体様の写真展が

今月いっぱい開催されてるんだとか。

これもおっかさんの情報戦略の一部で

お爺を追い出すための情報として普段から収集してるらしい。

写真展だとかいうとオイラが追い出されても

そうそう辛くはないと見込んでのことだ。

香川県の東の方に向かって黒狸を走らせる。

歯art美術館は海に向かって突き出した半島の東側にある。

600円也を支払って拝見するが

まぁ～女の子の写真だ。

それとプリント用紙の質が悪くてインクジェットプリンターで

普通紙に印刷してるから細かい線が走っていて見苦しい。

10分程度に600円は高いなぁと思った。

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でも、追い出されたんだから仕方がない。

腹が減ってきた。

ここまで来たんだからも少し足を伸ばしてもっと東へ行くことに決めた。

東香川市　三本松は祖母の出身地なのである。

祖母の想い出ってのは全くない。

明治３３年、もう100年も前にこの世を去ったのである。

そうなのであるが・・・

この三本松という小さな町には心惹かれるものがあって

時折、この地を訪ねてる。

ここに飛び切り旨いパスタを出すイタリアン・レストランがあるんだ。

いや、オイラの下品なベロが旨いというだけで

世の中的にはどうなのかまったく不明であるが。

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店に入るとやたらと薄暗い。

でも、昼過ぎとあって三々五々にお客が座ってる。

カウンターに腰掛けたら目の前に10周年記念のフレームがあった。

10年か・・・

10年って長いですよね。

そうですねぇ・・・とお姉さん。

10年店を維持するのって結構大変だと思う。

しばらく待ってると前菜が来た。

スープが美味しい！

やがてお待ちかねのパスタがっ！

 これが旨いのである。

それは以前から知ってたので

食べる前から味が判るような気がした。

鶏肉の笹身にアスパラガスをあしらったもの。

最後にお皿を傾けてソースをスプーンで掬って真っ白なお皿だけ残った。

デザートに桃とスモモのなんたら言うジュースを飲んだのだが

銀座の資生堂へもこのジュースの原料が送られてるとのことで

いい味がしましたな。

もぉ～そろそろ来客は帰ったと思われたが

ここへ来る途中にコスモスが咲いてた原っぱがあったので

そっちへ急ぐことにした。

もと来た道を10分ほど戻ると・・・

コスモスが一面に咲き誇る田んぼがあった。

ひょっと見ると最近は年寄りが増えたのか、もう田んぼに座り込んで

三脚を立ててるおっさんが居るぢゃないか？

オイラは三脚を使う写真って基本、嫌いだからそんなもん使わねぇ。

ハイキーなコスモス。

雑草まみれのコスモス。

ここには昔からの東香川の山里があった。

オイラの婆ちゃんも秋にはこんな景色を

眺めてたのかなぁ～。

また追い出されたらここへ来ようっと。