最近よくメタセコイヤなる高木を見かける。
その根元の辺りに、一糎程の無数の穴ガ有る事に気付く。視線をその幹から上の
枝葉にやると、蝉の羽化後の、鈴なり状の抜け殻に驚く。しっかり足を固定して、
背の部分から脱出し、成虫は木の幹に這い上り、蝉一生の華やかな謳歌が始まる。
幼い日、古賀メロデーの「永ろうべきか空蝉の儚き影よ~」と、子供心に、蝉
の哀れを感じたものだった然し、羽化後こそ、彼ら一生の、クライマックスでは
ないかと、大人になってからの私は、蝉しぐれに歓喜の歌の終楽章を重ねること
屡であった。只私は、残念ながら、無数の穴から幼虫が地上に現れる現場に遭遇
していない。しかし昆虫の変態については、養蚕農家に生まれて、日常的に観察
の環境にあった私だった。
卵~(毛ゴ)の1令~5令と成長し、旺盛な桑葉を食み、6令には、絹糸を
8ノ字状に吐き、美しい繭となり、その中で蛹となって、旬日の間にみずから、
繭の破風部から脱出し、カイコ蛾になり交尾後産卵し、昆虫一生の終焉となる。
さて、メタセコイヤの根本の穴から地上に現れた蝉はその樹幹に這い上がり謳歌
後、高木に卵管を差込み、産卵し、翌年には、幼虫が地中に潜り込み6年余の歳月を
地下で過し(この辺りは観察の方法もなく謎の成長を経て)5令に達し
真夏の夕暮れ、地上に出て、空蝉を残して、短い生涯を謳歌し炎暑の蝉しぐれを
奏で恋を成就し、命を次代に残し、自らは尽きると言う。凛々しい世代交代だ。
その根元の辺りに、一糎程の無数の穴ガ有る事に気付く。視線をその幹から上の
枝葉にやると、蝉の羽化後の、鈴なり状の抜け殻に驚く。しっかり足を固定して、
背の部分から脱出し、成虫は木の幹に這い上り、蝉一生の華やかな謳歌が始まる。
幼い日、古賀メロデーの「永ろうべきか空蝉の儚き影よ~」と、子供心に、蝉
の哀れを感じたものだった然し、羽化後こそ、彼ら一生の、クライマックスでは
ないかと、大人になってからの私は、蝉しぐれに歓喜の歌の終楽章を重ねること
屡であった。只私は、残念ながら、無数の穴から幼虫が地上に現れる現場に遭遇
していない。しかし昆虫の変態については、養蚕農家に生まれて、日常的に観察
の環境にあった私だった。
卵~(毛ゴ)の1令~5令と成長し、旺盛な桑葉を食み、6令には、絹糸を
8ノ字状に吐き、美しい繭となり、その中で蛹となって、旬日の間にみずから、
繭の破風部から脱出し、カイコ蛾になり交尾後産卵し、昆虫一生の終焉となる。
さて、メタセコイヤの根本の穴から地上に現れた蝉はその樹幹に這い上がり謳歌
後、高木に卵管を差込み、産卵し、翌年には、幼虫が地中に潜り込み6年余の歳月を
地下で過し(この辺りは観察の方法もなく謎の成長を経て)5令に達し
真夏の夕暮れ、地上に出て、空蝉を残して、短い生涯を謳歌し炎暑の蝉しぐれを
奏で恋を成就し、命を次代に残し、自らは尽きると言う。凛々しい世代交代だ。