エアコンが弱いような気がするとのことで、とりあえずお預かり。
日産 ウイングロード Y12 2008年式 235500キロ

まずは作動確認。
エンジンを掛けてエアコンのスイッチを入れますが冷風は出ず。エンジンルームに回って確認するとラジエーターファンが回ってないですね。

ラジエーターファンはエンジンを冷却している冷却水(LLC=ロングライフクーラント)が熱くなりすぎるのを防ぐために、予め設定した温度になるとファンが回り強制的に冷却する役割を持っていますが、それ以外にもエアコン作動時にも回ります。
エアコンはエアコンガスを使い室内に冷風を出しているわけですが、システム内を循環してるエアコンガスはコンプレッサーで圧縮されるために高温になります。その高温になったエアコンガスを冷却する必要があるため、エアコンを使うときにはエンジン水温に関係なくラジエーターファンが回るようになっています。
ラジエーターファンが回っていない原因を探るために診断機を繋ぎます。
診断機には各種警告灯の内容を確認したり、センサーの作動状況や水温などのデータを確認する事の他に、アクティブテストといって強制的に部品に命令を出して作動させることも出来たりします。
この車のアクティブテストにはラジエーターファンの強制駆動が合ったので試してみます。


強制的にラジエーターファンをONにしましたが、全く動く気配がありません。これによりECM(エンジンコントロールモジュール)からは信号が出ているのにモーターが駆動していないことがわかったので、ラジエーターファンのモーターが壊れているのか、モーターに信号が届いていないのかを確認していきます。


強制的にラジエーターファンをONにしましたが、全く動く気配がありません。これによりECM(エンジンコントロールモジュール)からは信号が出ているのにモーターが駆動していないことがわかったので、ラジエーターファンのモーターが壊れているのか、モーターに信号が届いていないのかを確認していきます。
ラジエーターファンモーターに繋がるコネクターを外して電圧を確認すると、コネクターまではきてますのでスイッチや配線は問題ないことがわかりました。
次にモーターを確認するために直接12V電源を繋いでみますが動かない…ということでラジエーターファンモーターの故障で間違いないと思います。
部品を手配してバラしていきます。

モーターの単品供給がありましたのでモーターだけ交換します。

モーターの単品供給がありましたのでモーターだけ交換します。
車によってはラジエーターファンASSYでしか部品供給されないこともあります。

脱着時にラジエーターホースを一部外してますし、ラジエーターファンが回っていなかったということはエアコン云々の前に通常走行時にも冷却水を十分冷やせてなかったことになりますので、冷却水のエア抜き時にエンジンの状態も確認しておきます。

冷却水のエア抜き時の状態から過去にオーバーヒート等でダメージは受けていないようなので安心して次のステップへ。

脱着時にラジエーターホースを一部外してますし、ラジエーターファンが回っていなかったということはエアコン云々の前に通常走行時にも冷却水を十分冷やせてなかったことになりますので、冷却水のエア抜き時にエンジンの状態も確認しておきます。

冷却水のエア抜き時の状態から過去にオーバーヒート等でダメージは受けていないようなので安心して次のステップへ。
アクティブテストでモーターを強制駆動した時に正常に作動する事を確認。次にエアコンを作動させた時に作動するかを確認。これも問題なかったのでついでに水温が上がったときに作動するかを診断機でモニタリングします。


無事に作動しました。
これでエアコンの作動に関する点検整備は終わったので、エアコンの効き具合を確認すると吹出口温度は16℃。若干効きが弱いですね。
そんなわけでスナップオンのエアコンガスステーションでエアコンガスクリーニングを施工します。







規定量450グラムに対して回収量(エアコンシステム内に入っていた量)は290グラム。
真空引き、エアコンガスのクリーニング後に規定量を充填してワコーズのエアコン添加剤パワーエアコンプラスを注入。

施工後の確認をすると吹出口温度は10℃まで下がりました。


今回はエアコンの効きが弱いような…ということが発端でラジエーターファンが作動していないことが見つかり、エンジンのオーバーヒートを未然に防ぐことが出来ました。

施工後の確認をすると吹出口温度は10℃まで下がりました。


今回はエアコンの効きが弱いような…ということが発端でラジエーターファンが作動していないことが見つかり、エンジンのオーバーヒートを未然に防ぐことが出来ました。
このように『いつもと違う』ことに早めに気付くことで重大な故障を防ぐことに繋がったりしますので、気になることがあったら馴染みの修理工場にご相談ください。
それでは皆様からのご依頼をお待ちしてます。