仙露軒日常

利根川べりの仙露軒にすめる初老のおやじのつぶやきごと。ご笑止、ご笑止。

サドウかチャドウか

2012年12月29日 | 茶の湯

 

某院長閣下とはことなりだいぶ放置してしまいまして

もしかして更新を期待されていたみなさまには失礼いたしました。

今年も暮れゆく頃になりまして大掃除がわりに書き込みます。

近々聞かれたのでこの問題についての私見を開陳いたします。

漢字には音読みと訓読みがあることはご存じの通りですね。

訓読みは「やまとことば」を漢字にあてたもの。

音読みは中国音をあてたものです。

この音読みにも3種類あります。(厳密には4種類ですが)

呉音=平安時代までに伝わった中国南方の音       ギョウ  例 勤行

漢音=平安時代に伝わった長安あたりの音         コウ   例 行動

唐(宋)音=漢音以降、鎌倉時代ごろからに伝わった音  アン   例 行灯 

漢字は正式には漢音で読まれるべきでして、

うぃきさまにも

桓武天皇延暦11年(792年)、漢音奨励の勅を出し、大学寮儒学をまなぶ学生には漢音の学習が義務づけられ、また仏教においても僧侶の試験に際して音博士が経典読誦の一句半偈を精査することが行われ、また漢音を学ばぬ僧には中国への渡航が許されなかった。漢音学習者が呉音を日本なまりの発音として「和音」と呼び、由来もはっきりしない発音として「呉音」と呼んで蔑んだように、漢音は正統の中国語音で発音することが求められたものであった。

とあります。

チャは漢音

サは唐音です。

禅宗との深い関わりで伝わった茶道ですから「サドウ」と呼ばれることに不思議はありません。

禅では茶礼(サレイ)がありますし。

こう考えると、サドウは宗教性を深く帯びている言い方になります。

茶禅一味ということでしょう。

では茶の湯者が自分からそうした言い方を選ぶとしたらいかがでしょうか。

人間性の修行としての茶の湯を自他共に標榜している方ならばよろしいでしょうが、

心得としては、茶の湯者としての謙遜があってしかるべきでしょう。

となるとチャドウという中立的な言い方をとるのがよりよいということになります。

裏千家でチャドウといいならわすのには、

サドウとは自ら言うことではないと考えるからではないでしょうか。

心ではサドウをめざしつつ、

チャドウを修めている姿が真のサドウなのかもしれません。

 

小座敷の茶の湯は、

第一、仏法をもって修行得道する事なり。

家居の結構、食事の珍味を薬とするは俗世の事なり。

家は漏らぬほど、食事は飢えぬ程にて足る事なり。

是れ仏の教え、茶の本意なり。

水を運び薪をとり、湯を沸かし茶をたてて、

仏に供え、人にも施し我も飲み、

花をたて香をたき、

皆々仏祖の行ひのあとを学ぶなり。『南方録、覚書』

 

歳末には心も大掃除しないといけませんね。

 

 


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