宮代学園台自治会

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【文化体育】地域コミュニティは孤独を救えるか

2021年05月21日 | コラム

統計データが物語る孤独

令和2年高齢社会白書によると、65歳以上で独居をしている人の数(全国)は、1980年当時は男性約19万人、女性約69万人であった。ところが2020年には男性約244万人、女性約459万人まで増えている。

一方、生涯未婚率も上昇している。国立社会保障・人口問題研究所が2015年の国勢調査をもとに算出したところ、生涯未婚率は女性で約7人に1人、男性だと約4人に1人に上っている。生涯未婚者は、時間の経過と共に必然的に独居になってしまう。

統計データから見る限り、住民の半数以上が 65 歳以上という学園台地域の高齢化に触れずには先に進めない。

もう一つ、自殺者統計データが示す現実がある。令和2年の自殺者数は全国で21,081人となり、対前年比912人(約4.5%)増であった。令和2年6月までは前年より減少傾向であったが7月から対前年比で増加に転じ、特に女性の自殺の割合が7月以降対前年比で高い傾向を示した。

町の平成25年から平成29年までの5年間累計の20歳以上の自殺者数は、男性が19人、女性が9人で、割合が最も多い区分は「女性・60歳以上・無職・同居」次いで「男性・20歳~39歳・無職・同居」「男性・60歳以上・無職・同居」と続いている。町の60歳以上の同居人有無による自殺者数の5年間累計の割合は、意外にも、全国・埼玉県より同居人ありの割合が多くなっている。

 

同居孤独死という実態

孤独死とは「事件性がなく、誰にも看取られることなく屋内で死亡し、死後2日以上経過してから発見されること」とされており、正確な統計データはないが警検視調査課などで年間約3万人ほどが孤独死に該当すると見ており、死因の約65%が病死、約10%が自殺と推計されている

男女間を比較した場合、女性よりも男性の方が地域の人たちとのコミュニケーションを苦手とする人が多く、老後に社会との接点を失う人が多いといわれる。妻に先立たれてしまったら助けを求める相手を失い、社会的孤立に陥る恐れが高く、それゆえに孤独死に陥る人が多いという傾向がある。

このところ、孤独死は若年化しており、40・50代でも孤立死の危険がある。また、コロナ禍での孤独死も増えているという。

同居人がいるのに孤独死が起きるという『同居孤独死』の実態が「クローズアップ現代+」(2021年4月13日NHK放送)で取り上げられた。過去にも、『同居孤独死』は2018年の1年間に、東京23区と大阪で204人いたことが報告されている。

一緒に住んでいても互いに孤立していて、会話すらない。生活時間が違えば食事の時間も、入浴の時間もなにもかもに隔たりができる。1週間の間で1回も顔を見ないで一緒に暮らす生活が常態化すれば、もはや相手のことを思いやることも、存在そのものを意識することもない。このような「同居内別居」とも呼ばれる家族の形態はおどろくほど多く、その成れの果てが『同居孤独死』になるという。

同居して顔を合わし会話していても経済的困窮など打ち明けられない悩みを抱えて孤独に陥る場合もある。現在の40代は、バブル崩壊後の就職氷河期の影響により新卒で正社員として就職できず、アルバイト・パートや派遣社員といった非正規雇用での就労を長年余儀なくされてきた人が多くいる。また、バブル期に採用された50代は、その後リストラの対象となって収入が激減したというケースが少なくない。町の統計で「男性・無職・同居」の自殺はこのような背景があっただろう。

 

地域コミュニティは孤独を救えるか

誰もが安心して暮らせる地域社会を構築するためには、地域の交流を活発にして、共に支え合う地域づくりが不可欠という。対策が自治会に丸投げされているかに見えなくも無い。

果たして外見上、家族と共に暮らしている人の孤独死や自殺を、具体的にどうやって防ぐことができるだろうか。続きは、町のゲートキーパー養成講習の体験を踏まえて対策に踏み込んでみたい。

文責:福井宏


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