HPVワクチンは、男性にも使ってはいけない
男性への HPV ワクチンの是非
薬のチェック編集委員会
薬のチェック MAY 2024/Vol.24 No.113
まとめ
- HPV(ヒトパピローマウイルス)感染予防に対するワクチンは一般に「子宮頸がん予防ワクチン」とも呼ばれ、2006 年に米国で、日本では 2009 年に接種が始まりました。そして 2013 年4月には積極勧奨が始まりましたが、重篤な害のため2か月後に取下げられました。
- ところが積極勧奨取下げのまま、2020 年 12 月に男性への使用が承認されました。
- HPV は新生児から乳幼児期に母や父から移行し、口や陰部、皮膚に常在するウイルスです。多くの型があり、がんの原因になる型の HPV は子宮頸部や肛門にも感染しますが、たいていの場合は自身の免疫力で速やかに除去されます。
- HPV ワクチンは、がんの原因になる型の HPV による感染は減らします。しかし、HPV で生じるがんの予防を実証した研究は皆無です。子宮頸がんや、女性の肛門がんを減らしたとの報告はありますが、健康者接種バイアスを考慮すると、いずれも効果は消滅します。
- 一方、本誌で以前から述べているように、HPV ワクチン接種後の女性に自己免疫疾患や認知障害・運動障害などの難病が多発し、総死亡が増えており、害は明瞭です。今回さらに複数のランダム化比較試験と観察研究により、HPV ワクチンでさらにがん死亡が増えることがわかりました。男性でも、がんと死亡増加の危険は間違いなくあるでしょう。
結論:効果なく害が大きい HPV ワクチンは、男性にも使ってはいけない
キーワード:適応拡大、4価ワクチン、肛門がん、中咽頭がん、尖圭コンジローマ、健康者接種バイアス