シッコ錯誤

TVが突然映らなくなった。
数年前、商店街の福引で当てた、今となっては旧式の小さなTV。
それにしても昨日まで、何の兆候もなく小さな画面イッパイに大好きな時代劇を映してくれていたものが、
突然、お陀仏になるものだろうか。

そうだ、昭和生まれは、まず叩いてみよう！

TVに近づくと異変に気がついた。
TVには音を出すための、スピーカー用小さな穴がいくつか開いている。
その穴の中から、お約束のシッコのニオイがする・・・

むっちゃんが、スピーカー用の小さな穴めがけてシッコをし、
上手にTVの中にシッコを染み込ませていたのだ。
高等技術である。

臭いTV。表面は濡れタオルで拭けるが、中を開けることはナカナカ難しい。

とりあえず、TVを叩くのはやめた。
したり顔のむっちゃんを叩いてもTVが映るわけではないし、そもそもむっちゃんを叱る気にもならないので、むっちゃんはお構いなし、となった。
だが、TVには気の毒なことだ。

そうだ、ドライヤーで乾かしてみよう。

我ながら名案だ。
風力を最大にして、穴めがけてブンブン風を送り込んでみた。

5分後、TVからジジッという音がして、一瞬画面が映った。そして消えた。
（期待とは、一瞬の画面からでも生まれることがわかった）

10分後、一瞬が一呼吸くらいの長さになり、映った。そしてやはり消えた。
（期待は常に希望と共にある、ということを悟った）

15分後、画面がユラユラしながら、映る時間が長くなってきた。
（人類が発明したTVとドライヤーの偉大さを痛感した）

20分後。回復した。
（ヒトが感涙むせび泣く気持ちがわかったような気がした）

叩く前に、乾かせ！
ネコおばちゃんの知恵袋に名言が刻まれた記念日となった。
まさにシッコ錯誤（試行錯誤）である。

～おまけ～
何年振りだろうか。
家具を移動して足場を増やしたところ、ついに天袋から、ゴマちゃんが出てきた。


だが、油断は禁物である。
マカロニは、いつでもゴマちゃん襲撃を企んでいる。



それでもゴマちゃん、久々の領地拡大は、よほどウレシカッタようだ。
以来、毎日、天袋から出てきて窓の外を眺めたり、部屋全体を見下ろしたりしている。

～おまけのおまけ～
清涼感あふれる夏の2作品。





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