心の音

日々感じたこと、思ったことなど、心の中で音を奏でたことや、心に残っている言葉等を書いてみたいと思います。

ミリオンダラー・ベイビーは人間の心の絆の大切さを改めて感じさせる名作でした

2005-07-10 08:12:06 | Weblog
 アカデミー賞をとったこの作品をやっと先日見ることができました。実の娘に縁を絶たれた初老のボクシング・トレーナーのフランキー(クリント・イーストウッド)。家族の愛に恵まれない女性ボクサーのマギー(ヒラリー・スワンク)。
 不幸な人生を送ってきた31歳のマギーは、名トレーナーとして知られるフランキーに弟子入りしようとします。フランキーはもちろん、断るのですが、その熱意にまけ結局受け入れます。
 猛練習の末、マギーは連勝を重ねます。ボクシングのシーンはすごい迫力ですし、ヒラリー・スワンクの演技もすばらしいです。マギーの人生は、フランキーとの心の絆によって輝きを帯びていきます。
 多くのファンからも愛され、栄光を勝ち得たマギーは、生活の苦しい母親を喜ばそうと、故郷に家を買い、母親にプレゼントします。しかし母親は、家を持つと生活保護が打ち切られてしまうことになると、喜びません。どうして現金をくれないのかとむしろ娘を責めます。そして彼女の血のにじむような努力も知らず、マギーの仕事を軽蔑するような発言をします。傷つくマギー。
 家族の愛に恵まれずかわいそうなマギーですが、今は自分をわかってくれるフランキーと、大好きなボクシングが彼女を救ってくれます。
 そして迎えたタイトルマッチ。彼女は予測もしない相手の行為により大きなけがをしてしまい、人工呼吸器がないと、自分で呼吸さえできないような状態になってしまいます。傷つき自分を責めるフランキーの心の痛みも伝わってきます。
 入院をしているところに、母親と妹夫婦が来ます。何とディズニーランドやユニバーサル・スタジオで遊んだその格好で、娘の見舞いにきます。そして今度は死ぬ前に、あの家を自分名義にしようと、口にペンを持たせサインをさせようとしました。マギーが本当に哀れでした。
 そしてマギーはあるお願いをフランキーにします。フランキーも悩みますが、本当にマギーの気持ちを分かっていたからこそ、あのようなことをしたのだと思います。
 マギーの人生は全体的には、苦しく哀れなものではありました。しかし、それを1時期ではありましたが、輝かしいものとし、生の喜びや充実と、人から愛される喜びを知ったのは、フランキーのおかげでした。実の娘に縁を絶たれていたフランキーも、マギーとの出会いで、救われたような気がしたと思います。
 輝かしい生き方とは何かとか、人と人との絆の大切さを改めて考えさせてくれる、大人の名作でした。イーストウッド自身が手がけたという音楽もなかなかしぶくて良いです。モーガン・フリーマンの脇役ぶりも存在感がすごくありました。多くの人に是非見てほしい作品です。