心の音

日々感じたこと、思ったことなど、心の中で音を奏でたことや、心に残っている言葉等を書いてみたいと思います。

政治家とは、「ステイツマン」であるー果たして日本の政治家は?

2004-12-18 12:12:23 | Weblog
 哲学者の池田晶子さんのエッセイからの抜粋です。政治家とは、「ステイツマン」である。「ステイト」は動詞で、「述べる、言う、申し立てる」すなわち、言葉を語ることである。政治家とは、言葉を語る人にほかならない。このことは、政治家たち自身はもちろん、われわれ政治を批判する側にも、ほとんど忘れられている。政治とは現実的な力の行使のことであり、言葉などその前には無力なものだと。
 しかし、現実的な力が現実的な力たりうるのは、そこに言葉の力が働いているからにほかならない。大統領の正義の演説が人々の心をつかんだのは、まさしく言葉の力によるもので、それがすなわち現実的な力となって、世を広く動かしてゆくことになる。人間は、どこまでも言語的動物なのである。
 しかし言葉には本当とうそがある。言葉のこのうそをつく機能を自覚しつつ、いかにして本当を語るかというところに、その人の本当がある。議論するとは、言葉の正しい使用に基づき、共に正しく考えてゆくことである。議論を打ち切るために捨てゼリフを吐くような政治家は民主主義の代表としてどうか。小泉首相に人気があるのは、おそらく、人々の迷いを打ちきるような、勢いのある言葉を吐くからである。しかし、勢いのある言葉は、力のある言葉とは違う。勢いのいい詭弁で、ごまかせると思っているのは、言葉を信じていないからである。言葉を信じていない者の言葉が、どうして力あるものとして歴史的現実を動かせていけるだろうか。「ステイツマン」とは、言わば、自分の言葉が歴史に残ると自覚している者のことであると言い、小泉首相の言葉を批判しています。
 勢いやインパクトのある言葉で、演出上手な人間より、力のある言葉や、重み・深みのある言葉を使える人間でありたいですね。そのためにも、色々な本を読み、色々な人の話を聞き、色々な体験を重ねたいものです。また、棒読みの国会答弁や、思いが伝わらない(伝えようとしない?)官僚の言葉などを聞いていると、腹立たしくなることもあります。言葉を国民に必死で伝える努力をしてほしいです。