心の音

日々感じたこと、思ったことなど、心の中で音を奏でたことや、心に残っている言葉等を書いてみたいと思います。

津軽紀行 その4 酒とジャズに酔いしれて

2005-08-05 10:37:26 | Weblog
 弘前滞在の最後の夜に、ピアノが聞ける店という看板を見て、「シャローム」というピアノバーに入りました。扉をあけるとカウンターの奥にママが一人、カウンターで何か食べている人が一人でした。とりあえずビールを頼んで、隣の人に「ここの常連さんですか」と話しかけると、何とここのマスターでした。後で名刺をもらったのですが「今井實」さんという方で、この日は、この人の演奏に酔いしれてしまいました。
 食事がすむとやおら立ち上がり、最初に習って2年目だという津軽三味線を披露してくださいました。とても2年目とは思えない迫力ある演奏でした。ピアノはまず映画「カサブランカ」の名曲「アズ・タイム・ゴーズ・バイ」をリクエストすると、楽譜も見ずに、しかも情感たっぷりに弾いてくれました。さらにメドレーで、映画「ひまわり」、「星に願いを」など、有名な曲をこれまた情感たっぷりに弾いてくれました。そのほか「ミスティー」「枯葉」などをリクエストしましたが、今井さんはこれまた、楽譜も見ずにとても上手に弾いてくださったので、最後の弘前の夜はとても楽しいものになりました。
 今井さんは以前は、ビッグバンドで演奏されていただけあって、お客さんのリクエストに何でも答えられるのだそうです。
 後から入ってきた何人かのお客さんが、今井さんのピアノに合わせて歌を歌ったので、私も弘前最後の夜ということで、井上陽水の「少年時代」と坂本九の「見上げてごらん夜の星を」という歌を、今井さんのピアノで歌わせてもらいました。そうしたら帰る時、MDを手渡されて、あの歌を取ったから記念に持ち帰ってくださいということでした。自分は鹿児島から仕事で来ていると言ったので、なかなかもう2度と来ることもない客なのですが、それにもかかわらずそのようなことをしてくださいました。そうした温かい気持ちにも心打たれ、弘前最後の夜は最高のものになりました。「一期一会」の出会いを本当に大切にしたいものだと改めて感じさせられました。
 いつかまた、この美しい岩木山に会いに、弘前公園の満開の桜を見に、あるいは熱気ある「ねぷた」を見に、そしてこの「シャローム」のピアノを聞きに、妻や子供たちと来たいものだと思いながら、ホテルまで歩いて帰ることでした。津軽弁に象徴されるような弘前の人情に触れた4日間でした。
 「津軽弁 心にしみいる 夏の夜」