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【モスクワ=工藤武人、ワシントン=田島大志】ロシア軍のウクライナ侵攻は3日で開始から1週間が過ぎ、首都キエフや東部ハリコフといった大都市の包囲作戦が進められている。短期で決着はつかなかったが、露軍はウクライナ東部と南部を制圧し、同国を「内陸国」とする狙いのようだ。
南部の黒海沿岸の港湾都市マリウポリは、露軍の支援を受ける武装集団が包囲する状況が続いている。
2日、ウクライナ東部ハリコフで、ロシア軍の攻撃を受けたビルの消火活動(AP)
ロイター通信によると、武装集団の司令官は3日、ウクライナ軍に総攻撃を予告し撤退するよう求めた。タス通信は3日、人口約40万人のマリウポリでは飲料水をはじめ物資の供給が途絶えており、「強制収容所のようだ」との武装集団の幹部の発言を伝えた。
東部と南部の部隊は、ロシアが2014年に併合した南部クリミア半島と東部の親露派支配地域をつなぐ「回廊」の確保を目指す。
露軍の動向に関し、米国防総省高官は「マリウポリとハリコフを線でつなぎたいという願望が見える」と指摘し、ロシアの軍事作戦がウクライナ東南部の広範囲な制圧を目標にしている可能性に言及した。
一帯は、プーチン露大統領が「歴史的なロシア」と呼ぶ地域とも重なる。
露軍は南部で、黒海に面した海上輸送の拠点であるオデッサの攻略に乗り出す可能性もある。オデッサと周辺を奪われれば、ウクライナは黒海への出口を失う。
一方、露軍は人口約290万人のキエフでも包囲作戦の準備を進めているようだ。露国防省は3日、キエフにある放送局の関連施設をミサイル攻撃したと発表した。露軍はキエフ郊外に多くの軍用車両を集結させているが、この数日は大きく前進していない。
市外から重要施設を砲撃し、都市機能をマヒさせる戦法はハリコフなどの攻略でも多用している。
米国防総省高官は2日、露軍が古典的な包囲作戦を展開していると指摘し、「人口密集地を取り囲み、制圧する場合は大砲が非常に強力な武器となる」と説明した。
この高官は露軍の目的はウクライナのゼレンスキー政権を倒すことにあるとの見方も示し、「キエフ包囲は最終目標に到達するための手段だ」と指摘した。
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