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ふたばの農業通信

福島県 相双農林事務所 双葉農業普及所より 双葉地方の農業情報を発信します。

避難先で営農再開しています!

2013-01-09 | ニュース

 原発事故の影響により避難を余儀なくされている双葉郡の農業者の皆さんは、帰還の目途が立たず、今後どうすればいいのだろうという不安と戦いながら生活をしています。
 そのような中、避難先で一念発起して営農再開している方々がいらっしゃいます。


 双葉町の吉田晴男さんは、震災前は46aのハウスで鉢花経営(エニシダ、ポインセチア、ダリア、ゼラニューム、カスミソウ、クレマチス等)をしていました。
 震災後はいわき市に避難し、双葉町での営農再開の見通しが立たないことから、いわき市でなんとか営農再開できないかとハウスを探していたところ、いわき市の農業者の方々の協力により、平成23年10月からハウスを借りて鉢花栽培を再開しました。震災前同様、多品目栽培で関東の市場を中心に出荷しています。

借用ハウスのダリア(H24.5.1)



 平成24年には、借用ハウスに加えて、いわき市渡辺町に農地を購入し、園芸産地等復興支援事業を活用して、大型ハウス2棟を建設しました。
 今後は避難前と同規模の経営を目指して規模拡大を計画しており、更なる活躍が期待されます。

大型ハウスを直営施行している吉田さん(H24.11.8)


川内村特産のタラの芽出荷始まる

2012-12-27 | ニュース

 川内村では、震災の前から特産品としてタラノメを生産していました。
 このたびの原発事故のため、川内村では一時全員が村外に避難。
 タラノメ生産者の皆さんも、まだ出荷途中でしたが、すべてを放棄して避難を余儀なくされました。

写真:H24年11月のタラの木圃場


 栽培管理できなかった圃場は荒れ、病虫害が多発し、帰村してからも穂木も十分に確保できない状態になってしまいました。

写真:カミキリムシの食害を受けたタラ


 生産を再開したとしても、果たしてちゃんとしたふかし芽に育つのか、放射性物質は大丈夫なのか、風評被害で価格はどうなるのか、心配な点はたくさんありました。
 しかし、このまま圃場を放棄すれば益々山は荒れ、復興はさらに遠のいてしまう。
 そんな思いから、昨年から生産再開に踏み切りました。


 そして、生産者の皆様の努力により、本年も立派なふかし芽が育ちました。
 出荷前の放射性物質検査も終了し(放射性セシウムは、全ての検体で検出限界以下でした)、年末には初出荷になる予定です。

写真:きれいに調製されたタラの芽


「天のつぶ」の稲刈りが行われました

2012-10-03 | ニュース

 収穫の秋を迎えました。10月3日楢葉町松本公一さんの小さな田んぼでも稲刈りです。楢葉町で水稲作付けをしていた松本さんは、今年いわき市内の仮設住宅で稲のバケツ栽培を行いました。

 春の植え付けから始まり、猛暑のなかでの水管理、スズメ対策など、大変な苦労のなかでの収穫に、喜びも格別です。稲刈りには田植え同様、楢葉町で水稲作付けを行っていた方々も参加し、2年ぶりの収穫に笑顔が絶えませんでした。松本さんは、すでに来年の栽培に意欲を燃やしています。

 品種も昨年登場したばかりの福島県オリジナル品種「天のつぶ」を選び、代表的な品種「コシヒカリ」も栽培し比較することで、草丈も短く作りやすい「天のつぶ」の特徴を確認することができました。

 現在、双葉地方の水稲作付けには多くの制限がかけられています。一日も早い双葉郡の水稲の再開、農業の復興を支援していきたいと思います。

 
小さな田んぼの稲刈り

 
福島県オリジナル品種「天のつぶ」


楢葉町津波被害地に絶滅危惧種のミズアオイが群生

2012-09-27 | ニュース

 8月10日に警戒区域が解除された楢葉町。木戸川河口付近の津波被害でできた湿地に、絶滅危惧種のミズアオイが蘇り話題となっています。

 ミズアオイは、水田雑草のコナギによく似た植物で、かつてはコナギ同様水田雑草でしたが、水路の改修や除草剤の使用などで全国的に激減し、現在は環境省レッドリストで絶滅危惧2類に指定されています。この場所も震災前はミズアオイは確認されていませんでした。地中深く眠っていた種子が津波の影響で出てきて発芽したものと思われます。

 8~9月に青紫のかわいらしい花を咲かせたミズアオイは、現在来年の種子をつけているところです。津波で蘇ったミズアオイを残していけないか、役場と協力して保全について検討しています。


双葉地方の水田でアヒル、アイガモの活躍再開!

2012-08-07 | ニュース

 双葉地方では、東京電力福島第一原子力発電所の事故の影響で、多くの農家の方々が避難を余儀なくされ、また放射性物質により多くの地域で水稲の作付ができない状況が続いています。
 しかし、土壌分析の結果や、緊急時避難準備区域の解除により一部の水田では水稲の作付が再びできるようになりました。
 アヒルやアイガモも、広野町と川内村の特別栽培や試験栽培の水田で活躍を再開し、元気に水田を泳いで雑草や害虫を防いでくれています。その愛らしい姿は、帰還し復興に取り組んでいる住民の方々の気持ちを癒やしてくれてもいるようです。
 今後、モニタリング調査や米の全袋検査等に取り組み、安全・安心な農畜産物の生産ができるよう、そして、多くの水田で、アヒルやアイガモのかわいい活躍が見られる日が早く来るよう努めて参ります。


アヒル(広野町)


アイガモ(川内村)


農産物モニタリングを実施しています

2012-07-11 | ニュース

 今年も県では、役場やJAと協力して、流通・販売を目的とする農産物の「緊急時モニタリング」を実施しています。
 双葉管内では広野町内及び川内村内で生産され、流通量が多い品目(野菜類)や昨年度調査で100Bqを超過した品目(果樹)を中心にモニタリングを実施します。
 結果は県のホームページや新聞で確認することができます。

掲載先 「ふくしま。」

 

双葉農業普及所内にて、ラッキョウの前処理(皮むき・洗浄)


水稲実証田で試験栽培がはじまりました!

2012-06-12 | ニュース

 平成24年度は、広野町、楢葉町、川内村、大熊町、浪江町、葛尾村の水田で、水稲実証田を設け試験栽培を行います。今年度、多くの制限がかけられている中での貴重な水稲作付です。

 試験栽培を実施することにより、放射性物質低減対策を確認し、来年以降、消費者が求める安全安心な米作りができるよう、地域が一丸となって取り組んで行きます。放射性物質低減対策は、カリ肥料とゼオライトの施用などを行います。

 現在、実証田の田植えがほぼ終了し、水をたたえた貴重な水田がまぶしく光っています。


水稲実証田における栽培管理、放射性物質吸収抑制対策について説明(広野町)


水稲実証田用の苗を配布(川内村)


楢葉町実証田の田植え作業の様子



広野町(上)、葛尾村(下)で水をたたえる水稲実証田


いわき市仮設住宅でバケツに田植え

2012-05-15 | ニュース

丁寧に苗を植えていく松本さん(右)

 

 新緑のまぶしい5月11日、楢葉町松本公一さんが住むいわき市中央台の仮設住宅において、田植えが行われました。

 松本さんは楢葉町の水稲農家で、昨年よりいわき市の仮設住宅で避難生活をしています。避難している皆さんへ元気を与えられればとの思いから、今回の植え付けとなりました。

 今回はバケツ栽培を行い、培土や植え付け方法などにも工夫を凝らし、さらに品種は昨年登場したばかりの福島県オリジナル品種「天のつぶ」を選びました。当日は楢葉町で水稲栽培を行っていた方も参加し、久しぶりの田植え作業に目を輝かせていました。

 今年、楢葉町では水稲の作付制限がされています。この小さな田んぼは、仮設住宅の憩いの場となるとともに、復興を後押しする存在になってくれると思います。


土壌モニタリング調査を実施しています

2011-12-28 | ニュース

双葉農業普及所では、双葉郡内の農用地の土壌中の放射性物質の状況を把握するため、第9回土壌モニタリング調査を12月上旬までに138地点で実施し、さらに追加調査で300地点を調査中です。
追加調査は地点数が多いので、関係町村のご協力を得ながら、1月いっぱい土壌採取作業が続きます。


H23.10.25大熊町


H23.12.19川内村


H23.12.28川内村

今後は、これまでの結果を含め、国と連携して農用地土壌における放射能濃度分布マップの作成を進め、農用地の除染に活用してまいります。

農用地の除染についてはこちら↓
がんばろう ふくしま! 農業技術情報
特別号「福島県農林地等除染基本方針(農用地編)の概要と除染方法」(平成23年12月22日)


豊かなむらづくり顕彰事業表彰伝達式が行われました!

2011-07-22 | ニュース

 

 6月26日、郡山合同庁舎において、平成22年豊かなむらづくり顕彰事業表彰伝達式が行われました。

 豊かなむらづくり顕彰事業は、ごちそうふくしま絆づくり運動の一環として、集落等におけるむらづくりや農業生産活動に顕著な業績を収めている団体を表彰するもので、県と福島民友新聞社との共催で実施されています。

 JAふたば女性部葛尾支部は、 農業生産活動や、味噌の受託加工、花いっぱい運動、村内外のイベント等による販売活動など、30年にわたり多彩な活動を行ってきました。
 今後も、食育や特産加工などに継続して取り組むこととしており、優秀団体(むらづくり部門)として表彰されることが決まっていました。

 しかし、このたびの震災で3月16日に予定されていた表彰式は中止、葛尾村は警戒区域及び計画的避難区域となってしまったため、構成員の皆さんも避難し散り散りになりました。

 震災から3ヶ月あまり経過し、当面の生活がようやく落ち着きつつあったことから、このたびあらためて表彰伝達式を行うことになったものです。伝達式を期に久しぶりに皆が再会し、互いに無事を喜び合うこともできました。

 高屋敷支部長は、「村とともに30年間続けてきた活動なのに、原発事故の影響で今後の予定が立たず悔しい。受賞を励みに少しでも早く村に戻り、活動再開できるよう心を一つに前に進みたい」と謝辞を述べました。