【都市伝説千二百年 「みやこ」の痕跡/東寺(とうじ) の巻】
最後は
現存する大寺院・東寺。
圧倒的な存在感を保ち続けている。
大坂のはずれから
単車で小一時間、入洛を目指すと
遠く五重塔と京都タワーが目に入ってくる。
わたしのなかでは
毎月21日の骨董市の寺であり
古書や焼き物のいくつは
ここで調達してきた。
独身時代、出勤前に250㏄をすっ飛ばして
急ぎ露店を見て回ったことがある。
園児だった娘の小さな手をつなぎ
人ごみをかき分けては
焼き物の値引き交渉したことも。
いまとなっては遠い記憶。
これら、手に入れた物は
今も普段使いとしている。
東寺 真言宗の根本道場であり総本山である。教王護国寺(きょうおうごこくじ)とも呼ばれる。本尊は薬師如来。平安京鎮護のための官寺として建立が始められた後、嵯峨天皇より空海(弘法大師)に下賜された。明治維新まで東寺の長官である4人の東寺長者は真言宗の最高位であり、中でも長者筆頭の東寺一長者は律令制における仏教界の首座である法務も兼任した。中世以降の東寺は弘法大師信仰の高まりにより「お大師様の寺」として信仰を集めるようになった。毎月21日の御影供の日には東寺境内に骨董市が立ち「弘法市」「弘法さん」としてにぎわう。
五重塔 京都のシンボルの一つ。国宝。高さ54.8㍍は木造塔としては日本一。天長3(826)年、空海による創建着手に始まる。雷火や不審火で4度にわたり焼失し、現在の塔は5代目。三代将軍・徳川家光の寄進で建てられた。
学生・社会人と2度にわたり
計6年半ほど京都市民であったが
〝平安京〟のなかに棲んだのは
だだ一度、わずか1年だけ
あとは〝洛外〟ばかり
今になって想うが
棲むよりも時折訪れる京都が
愉しくなってきた
ノスタルジーが恋人(ヘミングウェイ)
の世代になってしまったからだろう
土日また土日に単車を走らせ
「恋人」に逢いにいくわたしに
妻は苦笑し相当にあきれている