goo blog サービス終了のお知らせ 

囲碁漂流の記

週末にリアル対局を愉しむアマ有段者が、さまざまな話題を提供します。初二段・上級向け即効上達法あり、懐古趣味の諸事雑観あり

〝一目の負けに座布団撫でまわし〟

2023年06月05日 | 雑観の森/芸術・スポーツ

 

 

【ザル碁ヘボ碁あるある / いにしえの川柳、狂歌から】

 

似たような古川柳に

〝一目の負けそこら中かきまわし〟

というのもあります

 

取った碁石(アゲハマ)は

相手陣地を数える前に

埋めることができます

 

一つの石で一目減るのですから

〝貴重な捕虜〟は時として

勝敗を左右します

 

碁笥(碁の入れ物)のフタを裏返しにし、

相手に見えるように置くのが基本マナー

途中の形勢判断の材料となるためです

 

ところが、

あちこちにバラバラに置かれると

目算をするのに具合が悪いのです

 

行儀の悪いアマに散見されますが

平成四天王同士のタイトル戦でも

フタに石を置いていたのですが

数え終わった二人が納得できず

座布団をひっくり返したことも

 

半目勝った方が「半目負け」を覚悟し

半目負けた方が「半目勝ち」と信じていました

両者が目算を間違えていたのです

これはなかなかのビックリでした

 

 

 

 

 

 


〝口だけは皆一廉の碁打ちなり〟

2023年06月01日 | 雑観の森/芸術・スポーツ

 

【ザル碁ヘボ碁あるある / いにしえの川柳、狂歌から】

 

腕はともかくとして

口は達者なヒトがいます

 

「解説は立て板に水

あなた様、プロですか」

とチクリ刺したくなるほどですが

盤の前に座ると

口ほどにもなく………

 

でも、

それは向上心がある証拠ですから

いずれは入段の可能性を秘めています

プライドが強いことは悪いことではなく

こういうヒト、わたしはキライではありません(笑)

 

 

 

一廉(ひとかど)

1、一つの事柄。一つの分野。

2、ひときわ優れていること。いっかど。

3、人や物が名前に恥じない能力や内容をもつこと。一人前。

 

 


〝同じだと云ってしまえばそれまでよ〟

2023年05月30日 | 雑観の森/芸術・スポーツ

 

【ザル碁ヘボ碁あるある / いにしえの川柳、狂歌から】

 

碁盤には

縦と横に19の線が引かれ

361の交点が存在します

原則 どの交点に打っても良く

ボードゲームで最も複雑といわれます

AIが最後まで人間の碁打ちを

征服できなかった所以です

 

碁に造詣が深かった川端康成は

こんなことを語っています

 

「碁というものは

中国の哲学であるところの三六〇の陰陽――つまり

天文学に関係しておこったのではないかと思います。

碁盤の目は三六一、そして天体は三六〇から成っていますね。

はじめは勝負事ではなかったのではないでしょうか。

天文を研究する道具ではなかったのでしょうか」

 

着点はどこでも良い、とはいえ

一路違いで好手にも悪手にもなり

その違いにより全く別の碁となります

 

「たった一路違いじゃないか

そんなに変わりはしないぞ」

などと のたもうなかれ

雑駁な碁打ちに上達なし

勝手にお愉しみくださいませ

ただし碁技を競うには

あなた様は向いていません(笑)

 

 

 

 

 


〝笊同士諦めたのがいつか生き〟

2023年05月29日 | 雑観の森/芸術・スポーツ

 

【ザル碁ヘボ碁あるある / いにしえの川柳、狂歌から】

 

相撲にも

序盤で決着が付く〝押し相撲〟あり

最後までもつれる〝四つ相撲〟あり

 

囲碁も

序盤・中盤で一気に勝負が決まる〝短手数決着〟あり

三百手超もの鍔迫り合いが続く〝数え碁・作り碁〟あり

 

最初は隙間だらけの碁盤は広く

石が密集してくると怪しい難戦になり

ホントの実力が試されます

 

ダメがつまれば

オイオトシやウッテガエシがあり

相撲でいうウッチャリが出現します

 

そこで相手を撲殺すれば

爽快このうえなし

 

勝負事の光と影とは

なんと残酷なのでしょう

だから楽しいのです

 

 

 


〝下手コスも時によりけるむずかしさ〟

2023年05月28日 | 雑観の森/芸術・スポーツ

 

【ザル碁ヘボ碁あるある / いにしえの川柳、狂歌から】

 

空中戦になる中盤で

どう打てば良いのか

全く分からなくなったら

どうしますか

 

〝一間トビに悪手なし〟

という格言もあり

迷ったときに

役に立ちます

 

一間飛び、大ゲイマ、

それともケイマ?

コスミは良さそうでもあり

堅すぎるようでもあり……

 

〝上手まっすぐ下手コスム〟

という格言もあります

が、下手コスも時に好手があります

 

形だ、筋だ、といっても

最後はヨミがなくては

上手くいかないところに

碁の難しさがある

といえましょう

 

 

 

公開中 〝♡♡の一つ覚え〟 2023/05/08

 

 

 

 

 

 

 


〝ノゾキにつがぬ馬鹿はなし〟

2023年05月27日 | 雑観の森/芸術・スポーツ

 

【ザル碁ヘボ碁あるある / いにしえの川柳、狂歌から】

 

ノゾキといっても

〝出歯亀〟のことではありません

 

相手の石の断点を直接切らず

隣の地点から次に切るぞ、と

脅かす技のことです

 

キカシの手段ですから

専門家の碁はツギではなく反発して

思わぬ大変化になることが多いです

 

われわれの碁では

ツギで悪くならないでしょう

 

ただし、何でも裏があるもので

ノゾキの手が悪手となることもあり

返し技で形勢が一気に傾くことも

多々あるのですから不思議です

 

「ノゾかれりゃ

なんでもツイでる

馬鹿ややつ」

とか

「ノゾきゃ

ババでもヘソ隠す」

(品のない三味線です)

とか

ま、いろいろあります

 

つまり

ここは手拍子で打たずに

考えるべきところなのです

碁の玄妙を味わうべきところ

と言い換えてもよろしいでしょう

 

 

 

 


〝打ち出しは笊といえども小目なり〟

2023年05月26日 | 雑観の森/芸術・スポーツ

 

【ザル碁ヘボ碁あるある / いにしえの川柳、狂歌から】

 

本稿は、

所作・マナーの要素だけでなく

碁技にも関係した古川柳です

 

初手は、

黒番が「右上隅」に打ちます

四つの隅のどこに打ってもよさそうですが

これは「右利き」を前提にしたものです

 

つまり相手(白番)が

次に打ちやすいよう

左下隅を「空けておく」ためです

 

わたしは「左打ち」ですが

この習いに従います

 

AIはこんなこと

気にしていない節があります

 

さて、

布石段階では「まず隅に打つ」といっても

〝常套の着点〟はそう多くはありません

右上隅の? それとも小目

いまはどちらかが主流です

 

目外し高目はめったにありませんが

面白いので、わたしは時々打ちます

初手天元もそうです

 

AIの影響で「初手は」が多いのですが

これは案外、変化が多くて難しいです

 

日本棋院発行雑誌で

こんな記述がありました

 

「小目は難しいというイメージがあります。

しかし穏やかな定石で一段落することも多いです。

どんどん試してなれてください」

 

そんなものですかね?

 

プロは勝たなきゃいけませんが

アマはその点、自由ですから

打ちたいところに打てます(笑)

 

 

注:昭和のはじめまでは、

〝初手の小目〟が圧倒的多数でしたが、

呉清源と木谷実の革命的提案で

〝初手の星打ち〟が大流行し、

さらにAIの台頭により

その流れが続いています

 

将棋も飛車先の歩を突くか

角道を開けるかのどちらか

大家もザルも初手は同じ

というのが面白いですね

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


〝しまったと云へど内心得意なり〟

2023年05月25日 | 雑観の森/芸術・スポーツ

 

【ザル碁ヘボ碁あるある / いにしえの川柳、狂歌から】

 

プロ棋士のボヤキは

大別して二種類あります

 

ほんとに困っている正直タイプ

困っているフリをする策士タイプ

 

さて、あなたはどっち?

あるいは、黙って打つ?

口三味線も時によりけり?

 

 

     ◇

 

 

ときは昭和56年冬

第5期 棋聖戦七番勝負での名場面ハイライトです

 

華麗なる技芸の藤沢秀行(大正14年6月生まれ)

形を尊ぶ美学の大竹英雄(昭和17年5月生まれ)

古今の大勝負という

鳴り物入りで始まりました

 

新旧最強者の激突ですが

前評判は今期も挑戦者有利

ところが終わってみると

あっけなく藤沢4連勝で防衛

棋聖位5連覇となりました

 

当時の観戦記を読むと

激しく鳴る扇子トラブルや

口三味線(ボヤキ等)の応酬等

〝賑やかな対局室〟だったようです

皆さん、どうお感じになりますか?

 

 

「バラバラになってしまった

あーあ、参り軒のおやじか」(大竹十段)

「うふふっ」(藤沢棋聖)

 

「あいた、いた、

いかんな、麻雀のしすぎか」(大竹)

 

「軽率だったか」(藤沢)

 

「ええーい、

威張られちゃたまらんよ」(藤沢)

 

「撲殺されたかな

頭をガツンとやられた

アタガンだ」(大竹)

 

「いかん、いかん

軽率ヨビタイをやった」(大竹)

 

「オレのほうがおかしかった

軽率をやった」(藤沢)

 

「ダメダメダメダメ……」(大竹)

 

「持ち込みになった」(大竹)

 注:捨てるつもりだったらしい

 

 

 


〝碁敵は憎さもにくしなつかしさ〟

2023年05月17日 | 雑観の森/芸術・スポーツ

 

 

【ザル碁ヘボ碁あるある / いにしえの川柳、狂歌から】

 

碁の古川柳の白眉です

ヘボ同士の気の置けない関係を

一行で見事に表現しています

 

そもそも

「おい、おまえ」といえるような関係

つまり何をやっても赦されるような

ズブズブの間柄なんてものは

そうあるものではありません

 

「さん」付けで呼びあう浅い関係など

しょせん〝知り合い〟であって

〝友〟とまではいえません

囲碁同好会の知り合いなら

当然〝待った〟はご法度です

 

大岡政談を描いたTVドラマでは

大岡忠高(忠相の父=片岡千恵蔵)と

村上源一郎(忠相配下同心=大坂志郎)の

ヘボ同士の縁台将棋を想い出します

〝待った・待てぬ〟の他愛のない口喧嘩は

こういう条件においてのみ赦されるもの

 

碁でやり込められたとき

ヘマをして負かされたとき

悔しくてしょうがないのですが

ニ、三日も顔をみないと

だんだんと寂しくなるのです

 

碁好きの愛憎の不思議が

ギュッと詰まっています

 

 

注:碁敵(ごがたき)とは「碁の好敵手」の意味。川柳は落語「笠碁(かさご)」のまくらにも使われる。登場人物は、旧知の隠居仲間。人生の悟りを得る頃になっても、見苦しい振舞い(待った・待たぬ)のやり取りがあり、碁の魔力がなんたるかを見事に描いている。

 

 

 

 

しばらくはリアクションボタンを閉じます

ワケらしくもないワケがいくらかあります

もしちょっとでも琴線に触れることがありましたら

ブログ村等のバナーを押していただければ幸いです


〝それでヨイかと待った方駄目を入れ〟

2023年05月16日 | 雑観の森/芸術・スポーツ

 

【ザル碁ヘボ碁あるある / いにしえの川柳、狂歌から】

 

このごろは

有段者でも平気で

〝待った〟をするようになりました

 

低段者(初段、二段)ばかりか

高段者(五段以上)にさえも

まん延するようになっては

いよいよ碁の世界も末法です

 

    ◇

 

この古川柳は

いつも待ったをされるので

用心でお尋ねすることにした

ということです

 

おそらく、

庶民にも普及した幕末あたりの

湯屋の二階あるいは長屋の風景

かと思われます

 

ヘボ同士の私的な遊びなら

これもアリではないでしょうか

古くからの気の置けない者同士であれば

「反則だ」「失礼だ」といきり立つのも

ヤボとしたものでしょう