わかりやすく解説 | 不動産のあいうえお

わからない不動産のことをわかりやすく解説

都市計画税がない県庁所在地(沖縄県と高知県は都市計画税なし)

2022年12月20日 | 固定資産税

市街地に位置する土地や家屋の所有者には、固定資産税に加え都市計画税も課されます。

都市計画税とは、主に市街化区域に位置する土地や家屋の所有者に課される税金であり、その土地や家屋が所在する市町村が徴収する地方税です。

しかし、実は全ての市町村が都市計画税を徴収するわけではなく、県庁所在地であるにもかかわらず徴収しない市や、そもそも都市計画税が全くない県も存在します。

都市計画税がない県庁所在地と、都市計画税がない県をご紹介しましょう。

なお、ご紹介するのは、令和3年度における都市計画税のデータのため留意してください。

青森市、秋田市、和歌山市、高松市、松山市、高知市、沖縄市は、県庁所在地であるにもかかわらず都市計画税がない

まずは、総務省の記述から、令和3年4月1日の時点における市町村数と、都市計画税が課される市町村数をご紹介しましょう。

令和3年4月1日の時点において、日本には1,719の市町村が存在し、都市計画税を課す市町村は644であり、全体の約3分の1です。

都市計画税を徴収する市町村の割合

つぎに、国土交通省が公開するデータを元に、令和3年度において、県庁所在地であるにもかかわらず、都市計画税を徴収しない市をご紹介します。

県庁所在地であるにもかかわらず都市計画税を徴収しない市は、青森県青森市、秋田県秋田市、和歌山県和歌山市、香川県高松市、愛媛県松山市、高知県高知市、沖縄県沖縄市の7市です。

県庁所在地であるにもかかわらず都市計画税がない市

7つの市は、県庁所在地であるにもかかわらず都市計画税を徴収しません。

県庁所在地であれば市街地が存在し、都市計画税を徴収するはずですが、なぜ徴収しないのでしょうか。

つづいて、県庁所在地であるにもかかわらず、各市が都市計画税を徴収しない理由をわかりやすく簡単にご説明しましょう。

市町村は、都市計画事業や土地区画整理事業がなければ、都市計画税を徴収しない

一般に、都市計画税は、市街地に位置する土地や家屋の所有者に課されるといわれます。

その情報に間違いはありませんが、実は正確ではありません。

都市計画税は市町村が徴収する地方税ですが、市町村はある条件を満たす場合に限り、市街化区域の土地や家屋の所有者から都市計画税を徴収します。

その条件を満たさない場合は、都市計画税を徴収しません。

市町村が都市計画税を徴収できる条件は、地方税法という法律の第七百二条によって規定されています。

地方税法とは、不動産取得税や固定資産税、都市計画税などの地方税に関することを定めた法律であり、第七百二条をわかりやすく簡単にご紹介すると以下のとおりです。

地方税法 第七百二条(都市計画税の課税客体等)
市町村は、都市計画法に基づいて行う都市計画事業や、土地区画整理法に基づいて行う土地区画整理事業に要する費用に充てるために、市街化区域に位置する土地や家屋の所有者に都市計画税を課すことができる

上記のように、市町村は都市計画法に基づいて行う都市計画事業、または土地区画整理法に基づいて行う土地区画整理事業の費用を賄うために、市街地に位置する土地や家屋の所有者に都市計画税を課すことができます。

従って、その市町村に都市計画法に基づいて行う都市計画事業、または土地区画整理法に基づいて行う土地区画整理事業がなければ、たとえ県庁所在地であっても、都市計画税を徴収しません。

また、その市町村に、特別な予算を必要とする都市計画事業、または土地区画整理事業がない場合なども、都市計画税を徴収しません。

都市計画法に基づいて行う都市計画事業とは、道路や公園、学校、病院、浄水場、下水処理場、ゴミ焼却場などの公共施設を維持新設する事業です。

土地区画整理法に基づいて行う土地区画整理事業とは、公共施設を新設や移設するために必要となる土地を調達する事業を指します。

都市計画税のマメ知識
市町村は、都市計画事業や土地区画整理事業がなければ、都市計画税を徴収しない

ちなみに、都市計画税を徴収する市町村が少ない県は、以下のとおりです。

  • 青森県:40市町村のうち都市計画税を課すのは4市1町(弘前市、五所川原市、十和田市、むつ市、大鰐町)
  • 岩手県:33市町村のうち都市計画税を課すのは1市(盛岡市)
  • 秋田県:25市町村のうち都市計画税を課すのは1市(由利本荘市)
  • 福島県:59市町村のうち都市計画税を課すのは4市(福島市、郡山市、いわき市、須賀川市)
  • 山梨県:27市町村のうち都市計画税を課すのは5市1町(甲府市、富士吉田市、山梨市、韮崎市、甲州市、富士川町)
  • 富山県:15市町村のうち都市計画税を課すのは1市(富山市)
  • 鳥取県:19市町村のうち都市計画税を課すのは1市(鳥取市)
  • 高知県:34市町村のうち都市計画税を課すのは0市町村(高知県は都市計画税がない
  • 愛媛県:20市町のうち都市計画税を課すのは2市(八幡浜市、新居浜市)
  • 佐賀県:20市町のうち都市計画税を課すのは2市(佐賀市、鳥取市)
  • 沖縄県:41市町村のうち都市計画税を課すのは0市町村(沖縄県は都市計画税がない

上記のとおり、なんと沖縄県と高知県には都市計画税がありません。

沖縄県と高知県には都市計画税がない

最後にお約束ですが、私のサイトをご紹介します。

私は「固定資産税をパパッと解説」という固定資産税をわかりやすく解説するサイトを運営中です。

そして、同サイトで公開するコンテンツ「都市計画税とは?使い道や各市町村の税率などわかりやすく解説」では、都市計画税をわかりやすく解説しています。

同コンテンツでは、市町村が都市計画税による税収をどのように使用するか、市町村によって都市計画税の税率が異なること、主な市町村の税率の一覧などをご紹介中です。

都市計画税にご興味のある方がいらっしゃいましたら、ぜひご覧ください。それではまた次回の更新でお会いしましょう。不動産のあいうえおでした。

都市計画税とは?使い道や各市町村の税率などわかりやすく解説


最新の画像もっと見る