中高年の山旅三昧(その2)

■登山遍歴と鎌倉散策の記録■
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北アルプス:常念岳・蝶ヶ岳縦走:第2日目(2);蝶ヶ岳

2013年09月26日 07時30分40秒 | 北アルプス

                         <紅葉が始まった草地を行く>        

    北アルプス:常念岳・蝶ヶ岳縦走:第2日目(2);蝶ヶ岳
           (アルパインツアーサービス)
      2013年9月13日(金)~15日(日)

第2日目;2013年9月14日(土)(つづき) 

<コース地図>


※再掲

<素晴らしい草地を行く>

■綺麗な花や実が沢山
 休憩を終えて, 10時25分,2,512メートル峰を出発する.下り坂が連続する.
 標高が下がるにつれて,草花が沢山咲いている場所に差し掛かる.所々に綺麗な花が咲いている.ツアーリーダーから色々と草花の説明を受けるが,聞いた途端に忘れていく.結局,私の頭の中には何も残らない.
 “こういうのを馬耳東風っていうんだ…”
と私は一人密かに苦笑する.本当は,私だって,花の名前を一生懸命覚えたいんだけれども…それがダメなんだ.
 花や実の名前をいちいちインターネットで調べるのも億劫なので,せめて写真だけでも,ここで披露することにしよう.
 
 
<草花が綺麗だ>

■ふり返れば常念岳
 コルに近づくと,素晴らしい草地になる.紅葉し始めた草木に,もう秋の気配を感じる.草地の真ん中で振り返ると,先ほど槍ヶ岳や穂高岳の眺望を楽しんでいた常念岳が高く聳えている.
 ゴロゴロ石で足許が悪い坂道を夢中で下っている内に,随分低い所まで来たなという実感が湧いてくる.

<草地の向こうに常念岳が聳えている>

■小さな池
 11時30分,湿地帯のようなところを歩いている.登山道の脇に小さな池がある.水面に写る草花が美しい.
 この小さな池は地塘かな,いや違うな…やっぱり違うな,などと思いながら,池の畔を通過する.

<可愛い池の畔を通過する>

■まるでジャングル
 池を過ぎると,灌木が繁るジャングルを,かき分けるようにして,やや急な登り坂を進む.何となく南アルプス南部の山々を連想する.何時の間にか,足許は,常念岳周辺の石ばかりの道と違って,土道になっている,ジャングルをかき分けるのは少々面倒.でも,こちらの方がずっと歩き易い.
 灌木の中を歩いていると,身体が周辺の木々の緑に染まってしまうような感じがする.

<まるでジャングルのような灌木をかき分けて進む>

<蝶槍へ>

■一気に見晴が開ける
 12時頃,草地を抜ける.
 視界が一気に広がる.進行方向右手には,深い谷間が広がっている.谷底は見えないが,多分,この下は上高地の横尾辺りではないかと想像する.
 谷の向こうには,相変わらず槍ヶ岳,穂高連峰,槍沢などが見渡せる.

<一気に視界が開ける>

蝶槍に登る
 前方には蝶槍が見えている.砂礫が広々と広がる丘陵の高い所にピラミットのように尖った岩塊が見えている.蝶槍である.
 なだらかな坂道を登る.近くに見えるようで,蝶槍までまだかなり間がある.
 私のすぐ後ろを歩いていた男性は,槍ヶ岳に登るのが夢だと言っているが,彼が私に質問する.
 「槍ヶ岳って,この蝶槍のようなところですか?」
 「エッ…エエ~ッ…!!」
 私は,一瞬,言葉を失う.
 「槍ヶ岳と比較するなんて! 飛んでもないですよ! 比較にならないですよ.ここは岩塊が一寸重なっているだけ…比較にならないですよ」
 まだ,大分距離があるなと思っていた蝶槍も,意外に近くて,12時12分に蝶槍の頂上に到着する.ここで,ばらけた列の後から来る人達を待ちながら,ランチタイムとなる.


<蝶槍に到着>

<蝶ヶ岳三角点>

■2664メートル峰が見える
 先着組は,ランチタイムを終えて,12時32分に,一足先に,蝶槍の山頂から歩き出す.
 ここから先は見通しの良い高原が続く.遙か先…と,言っても,実際に歩いてみると,直ぐに到着してしまうが,2664メートル峰が見えている.
 2664メートル峰までは緩やかな登り坂である.ツアーリーダーが,私たちに,
 「あの辺りから蝶ヶ岳なんです.あそこに蝶ヶ岳の三角点があります.蝶ヶ岳で一番標高が高い所は,まだ,もっと先ですよ…でも,あそこから一番標高が高い所辺りまでが蝶ヶ岳なんです…」
と説明する.

<前方に2664メートル峰が見えている>

■蝶ヶ岳三角点に到着
 なだらかな坂を登って,12時43分に2664メートル峰の山頂に到着する.
 山頂には尖った岩塊が集まっている.岩塊の直ぐ近くに蝶ヶ岳三角点がある.三角点にタッチすると縁起がよいということで,交替でタッチする.
 ここで,後発の方々を待つというので,暫くの間,休憩となる.

<蝶ヶ岳三角点>

■唐沢周辺を眺める
 休憩時間を利用して,谷の向こうに広がる北アルプスの核心部の眺望を楽しむ.
 山頂付近には大分雲が湧いているが,それでも唐沢,南岳,氷河公園方面の眺望が素晴らしい.
 “もう,何年も槍・穂高にはご無沙汰しているな…”
 私は“焼けぼっくいに火が付いたように”急に槍・穂高方面に行きたくなる.

<蝶ヶ岳三角点からの眺望>

■梓川遠望
 さらに,進行方向右手前方の眺める.すると,深い谷底を蛇行しながら流れる梓川が見下ろせる.
 今頃,梓川沿いの散策路は沢山の登山客や観光客で賑わっているだろうなと想像しながら,贅沢な眺めを楽しむ.

<梓川遠望>

<今日の終点はまだまだ先だ>

■前方にはまだ山がある
 12時46分,蝶ヶ岳三角点を出発する.緩やかな下り坂を下ると,目の前に,また,なだらかな山が見え始める.今日の終着点である蝶ヶ岳ヒュッテは,この山のまだ先のようである.近いようで,まだまだ遠いなと思いながら,歩き続ける.

<今日の終点はまだまだ先だ>

■横尾分岐
 前方に見えている丘を越えるのはしんどいなと思っていが,幸いなことに,登山道は山頂下をトラバースしている.良かった! 助かった!!
 12時59分,横尾分岐に到着する.私は,
 “明日台風が来るんなら,ここでグループから離脱して,横尾に下ってしまおうか…”
と一瞬閃くが,まあ,止めておく.
 前方には,本日最後の山と思われるなだらかな丘陵が見えている.

<横尾分岐>

■雷鳥とご対面
 横尾分岐を過ぎると,緩やかな下り坂になる.
 下り坂が終わる頃,登山道の前方に2羽の雷鳥が居るのを見付ける.
 雷鳥を驚かさないように,立ち止まって,暫く様子を見る.1羽は直ぐに茂みの中に入ってしまう.もう一羽は私たちに興味があるのか,ジッと立ち止まって,私たちの様子を見ている.
 ツアーリーダーが,
 「みなさん,なぜ『雷鳥』って言うか知っていますか…」
と謎かけのようなことを言う.私はそんなこと考えても見なかったので,当然知らない.
 ツアーリーダーの話によると,雷鳥を見掛けると,天気が崩れて雷が鳴るという言い伝えがあるそうである.そこから雷鳥という名が付いたとのこと.ただし,この言い伝えの真偽の程は分からないという.
 言い伝えはともかく,この雷鳥は若い雄鳥だとのこと.

<雷鳥に出会う>

■終着点はあの山の向こうだ
 前方を見ると,まだ先に小高い丘が見えている.その先の遠くの丘の上に,何か人工物が見えている.あそこに今日の宿泊地,蝶ヶ岳ヒュッテがある.これから歩く道が丘の鞍部まで続いているのが見える.
 “うえ~…,まだまだ遠いな!”

<終着地はあの山の向こうだ>

<いよいよ蝶ヶ岳山頂だ>

■瞑想の丘(展望指示盤)
 遠くに見えている丘も,いざ歩いてみると,案外近い.あっさりと丘の鞍部に到着する.ここから先は緩やかな下り坂である.
 13時28分,ヨーグルトの瓶を大きくしたような形のモニュメントの脇を通過する.瞑想の丘である.慌ててデジカメでヨーグルト瓶の写真を撮るが,余りに引き近すぎるので“へんてこりん”な写真になってしまう.言うまでもなく,このヨーグルト瓶は展望指示盤である.
 私たちは瞑想する間もなく,瞑想の丘を通過する.

<瞑想の丘>

■蝶ヶ岳ヒュッテに到着
 目の前に蝶ヶ岳ヒュッテが見えている.
 これまでの疲労もすっ飛ぶ.
 先頭グループは,13時25分に蝶ヶ岳ヒュッテに到着する.
 “やれ,やれ,…やっとご到着! おめでとう!”
 私は心の中だけで,自分にねぎらいの言葉を掛ける.
 小屋に入る前に,全員揃って,蝶ヶ岳山頂(標高2677メートル)まで行こうといういうことになる.


<蝶ヶ岳ヒュッテに到着>

■蝶ヶ岳山頂を往復
 最後の方が到着するまで,数分待つ.そして,山小屋の軒下にリュックを置き,カメラだけ持って,13時31分に蝶ヶ岳ヒュッテから山頂を目指す.ザレた登り坂を5分ほど歩くと,蝶ヶ岳山頂に到着する.
 各自交替で,山頂の標識を入れて記念写真を撮る.

<蝶ヶ岳山頂>

■怪しい雲
 蝶ヶ岳山頂から,上高地方面を眺める.
 上空を黒くて怪しい雲が覆い始める.どうやら雲の下から上昇気流が立ち上がっているようである.前方にも活発に沸き上がる雲が見えている.
 “こりゃ~ぁ…,確かに天気は悪くなっているな”

<沸き上がる雲>

<蝶ヶ岳ヒュッテ>

■男女相部屋
 13時50分,蝶ヶ岳ヒュッテに戻る.
 クールダウン体操を終えて,ヒュッテから割り当てられた部屋に入る.ヒュッテは混雑しているらしくて,私たちに割り当てられたのは大部屋で男女相部屋である.でも,1人当たり布団1枚程度のスペースはあるので,これで良しとしなければ…
 もっとも,聞く所によると,台風18号の接近にともなって,かなりの宿泊予約がキャンセルになったという.天気が良ければ,もっと,もっと,混雑する所だった.
 夕食は17時30分からである.まだまだ,タップリと時間がある.
 正直な所,手持ち無沙汰である.
 外に出てみる.外は暑くも寒くもなくて心地よい.ヒュッテ前の広場でツアーガイドと男性客が集まって雑談をしている,私も雑談の輪に加わる…が,すぐに退屈する.
 そこで,私は地べたの上に仰向けに寝転んで,流れる雲を眺めている.その内に眠くなり,そのまま30分ほど寝込んでしまう.
 目が覚める.一寸寒い.取りあえずは部屋に戻る.そして,部屋にいた男性と雑談しながらユッタリと時間を過ごす.

■慌ただしく夕食
 17時30分から夕食.
 どうやら30分交替で,3回に分けての夕食のようである.少々忙しない.
 ここでも,順番に詰めて席に座る座る.ご多分に漏れず,少々,慌ただしい夕食である.日本の山小屋では,これが当たり前,別に,不平を言うつもりは全くないが,つい先日訪れたノルウェーの山小屋でのノンビリした夕食が懐かしい.
 ネーベンは写真の通りである.栄養的にも,バランスが取れた素晴らしい夕食だと思う.食欲旺盛な私は,ご飯とみそ汁を軽くお代わりする.

<蝶ヶ岳ヒュッテの夕食>

■食後のコーヒー
 夕食後,私はどうしてもコーヒーが飲みたくなる.
 喫茶室(談話室かな)は混雑しているが,頃合いも見計らって,400円也のコーヒーを所望する.山で味わうコーヒーはまた格別である.
 他の皆様は…ビールを嗜む人が多いようである.

<400円也のコーヒー>

■明日の天気予報
 珈琲を飲みながら,テレビの天気予報を見る.
 明日は午前中曇りで午後から雨になっている.
 “午前中に下山すれば雨に降られなくて済むかな…”
と思って居た途端に,天気予報が17時30分の最新版に切り替わる.すると天気が悪くなるのが早まって,明日は早朝から雨に変わっている.
 どうやら,明日は雨の中を下山しなければならないようである.

■楽しく団欒
 ツアーリーダーから,
 「明日の朝食弁当は,今日中に配ります…配るのは19時30分頃になります.それまで部屋で待っていて下さい…」
とのこと.
 一同車座になって,男性のどなたかが差し入れたワインを酌み交わしながら,就寝するまでの間,団欒を楽しむ.下の写真はちょっとボケてしまったが,団欒の様子である.
 明日の弁当を受け取ってから,20時頃就寝.

<部屋で団欒>

<2日目のラップタイム>

 5:30  朝食
 6:45  常念山荘発
 7:47  常念岳山頂(8:40まで展望休憩)
 9:17  コル(9:32まで休憩)
10:15  2,512m峰(10:26まで休憩) 
12:43  蝶ヶ岳三角点(12:47まで休憩)
13:05  雷鳥に出会う(13:10まで雷鳥の写真撮影)
13:25  蝶ヶ岳ヒュッテ着(13:31発<往路>
13:35  蝶ヶ岳山頂着
13:45     〃     発<復路>
13:50  蝶ヶ岳ヒュッテ着
17:30  夕食
20:00頃 就寝

{山行記録]

■水平歩行距離       5.7km

■累積登攀高度       818m

■累積下降高度       634m

■所要時間(休憩時間を含む)
  常念山荘発                6:45
    蝶ヶ岳ヒュッテ着         13:50
  (所要時間)        7 時間05分(7.08h)
   水平歩行速度     5.7km/7.08h=0.81km/h
 

                                 (2日目終わり)
                                 (
3日目に続く)

「北アルプスの山旅」の前の記事
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