
<角だけ山頂から富士山を望む>
今夏最高の猛暑にやっと登る丹沢;塔ノ岳(今年16回目)
(リハビリ単独登山)
2016年7月2日(土) 霧後晴
■早朝から何だか嫌な感じ
先週の土曜日は天気が思わしくなかったために,恒例の塔ノ岳土曜日登山は中止した.
幸いなことに,今週は土曜日,日曜日の2日間は,久々に青空が望めそうである.ただ天気予報は,この2日間は気温が高く湿気も高いので,熱射病には十分に気を付けるように,繰り返し言っている.
私は,折角の土曜日だが高温多湿と聞いて,やっぱり塔ノ岳に出掛けるのを躊躇する.でも,今日塔ノ岳詣でを逃すと,3週間も間が空いてしまう.3週間の空白はいくら何でも困る.私は熱中症に十分注意しながら塔ノ岳に登ることにする.
何時ものように4時10分に自宅を出発する.
家から外へ出て驚いた.雨雲が低く垂れ込めていて,辺りには濃い霧が掛かっている.
”これから果たして予報通りに雨が止んで曇り空になるだろうか…”
私は少々不安だが,もう家を出てしまったからには仕方がない.とにかくそのまま出掛けることにしよう.
霧の住宅地から,霧雨のようなベトベトした空気が立ちこめる山を下る.大船駅に到着する前に,着院が何となく濡れて嫌な感じになる.
”今ならまだ引き返せるぞ…”
と思いながらも,惰性で大船駅から東海道本線下り初電に乗車してしまう.
<朝霧の住宅地> <霧の山を下る>
■歩き出しから身体が重い
小田原駅で小田急電車に乗り換えて,6時11分に渋沢駅に到着する.何時の野土曜日だと,この時間に大倉行バス停に並ぶと4~5人目になるが,今日は蒸し暑いという予報が影響したのか久々に一番乗りということになる.
丁度下り電車が到着したのに合わせて,少々早めに臨時バスが出る.勿論立ち席は出るがギュウギュウ詰めの状態ではない.
臨時バスに乗り合わせた常連は,毎日登山のTGさん,三角髭のTDさん,IsIさん,IwIさん,TNさんなど.
臨時バスは9時50分頃,バス停大倉に到着する.登山の支度を済ませて,6時54分に大倉から歩き出す.
路面は意外に乾いているが,全くの無風でムシムシと暑い.
暫くの間,たまたま一緒に歩き出した三角髭のTDさんと一緒に歩く…が,私の経済速度より少々速いペースである.何時もなら,少しぐらいペースが速くても,特段にどうと言う事もないが,今日は様子が少し違って,何時になく身体が重い感じがする.
”(歩行速度が)ちょっと速いな…”
とずっと感じながらも,TDさんと雑談しながら登り続けて,7時17分,観音茶屋に到着する.TDさんが観音茶屋前のベンチでリュックを降ろして何かし始めたが,私はそのまま一人旅になって登り続ける.観音茶屋を通過しようとしたときに後から来られたTGさんが私を追い抜いていく.
観音茶屋から先はジメジメとしたジグザグ道が連続する.路面がこんな状態のときは山ヒルにやられるのではないかと少々心配しながら登り続ける.
7時14分,見晴茶屋に到着する.何時ものように見晴茶屋からの眺望をデジカメに収めるが,雲が低く垂れ込めていて,視界はほとんどきかか
<見晴茶屋からの眺望>
■見晴階段
見晴茶屋を通過して,見晴階段に差し掛かる.
何時ものように見晴階段を見上げた写真を撮る.沢山の登山者の後ろ姿が見えている.
階段をユックリ登り始めるが,相変わらず身体が重くて思うように登れない.
”今日は,小草平(堀山の家)辺りで下山しようかな…”
と弱気になり始める.
<見晴階段>
■駒止階段
見晴階段とモミジ坂を登り切って,7時53分,一本松を通過する.大倉から一本松までの所要時間は59分.
”ありゃ…1時間を切っているな…これは速すぎる”
たった1分だけだけど,こんなに重い感じの身体で,1時間を切るのは,私にははいペ巣過ぎる.
案の定,一本松上の平坦地に差し掛かっても,歩行速度は全く伸びない.シンドイばかりである.
やがて駒止階段に差し掛かる.このときTNさんほか常連の女性軍3人が軽々と私を追い抜いていく.
毎度のことながら,駒止階段を登るのはとてもきつい.
<駒止階段>
■駒止茶屋
8時10分,漸く駒止茶屋に到着する.
すぐ目の前に,先ほど私を追い抜いていった3人組の後ろ姿が見えている.たったこれだけの距離だが追いつけそうで追いつけない.
大倉からの所要時間は1時間16分.やっぱり何時もより2~3分余計に時間が掛かっているようである.
駒止茶屋から先の水平道に入る.何時もなら,この辺りは快調の飛ばして歩くが,今日はどうしても気勢が上がらない.ただノソノソと惰性で歩いている.
私は心の中で.
”今日は,やっぱり,堀山の家を終点にしよう…”
と心に決める.
<駒止茶屋>
■見えない富士山
堀山の尾根道をノソノソと歩き続ける,蒸し風呂のような暑さの中の登山である.まさに疲労困憊.まあとにかく堀山の家までは辿り着こうと思いながら歩き続ける.
やがて富士山が良く見える場所に到着する.先ほどまでに較べると雲の高さは大分高くなったが,富士山は相変わらず雲の中である.それでも私は儀式として見えない富士山の写真を撮る.
<堀山からの富士山>
■小草平(堀山の家)
8時20分,堀山を通過する.そこから先の下り坂でも,気勢が上がらないまま,ユックリ,ユックリと歩く.そして,小草平手前の上り坂を喘ぐように登って,8時32分に小草平に到着する.
私は小草平のベンチに倒れ込むようにして座る.そして,冷たい水を少し飲んで気分を落ちつかせる.
堀山の家の温度計は21.5℃を指している.
ベンチに座って休憩を取っていると,ISIさんが小草平に到着する.
「私,ここから下山します…」
とISIさんに言う.
数分,休憩を取っていると,何となく涼しくなったような感じになる.
”じゃあ…折角だから萱場平まで登って見ようか…”
私は何となくこのまま下山してしまうのが惜しい気分になる.
8時35分,萱場平を目指して,小草平を出発する.
もう,歩行速度が速い遅いは問題ではない.もうヤケクソ.
■萱場平
小草平を過ぎてからは,いくらか涼しくなる.
超ユックリペースで登り続けて,9時02分,やっと萱場平に到着する.
”やれやれ,今日はここまでで登るのを止めよう…”
ということで,ベンチにヘタヘタと座り込む.
ところが,休憩を取っている間に,また気が変わる.
”もう少し登って見ようか…”
私は後七分坂(花立階段のこと)の下までは登る気になる.
<萱場平>
■花立階段
9時06分,萱場平を出発する.歩行速度を少しでも上げようとすると,汗が噴き出るので,とにかく暑さとの勝負である.無理をして熱射病になるのが一番怖い.
9時14分,大岩付近で下山してくるチャンピョンとすれ違う.
「おやFHさんですね…」
と私の名前を確かめるようにしてすれ違う.そして私のすぐ後ろを登っている若い3人組に
「オレを知っていますか…」
と温ねている.そして霊之「丹沢登山回数世界チャンピョン」という名刺を配っている.
私も「平成28年5月塔ノ岳5300回登頂達成!!」という名刺を頂戴している.
5300回登頂するには,年に530回登頂しても,10年掛かる計算になる.私のようにせいぜい年に50回程度しか登らない人間なら100年登っても達成できない途方もない回数である.
急坂を登っていると,後から来られたKIさんとMTさんが私に追い付く.私が途中で登山を止めて,下山すると挨拶する.
「そんなこと言わないで山頂まで行きましょう…」
とMTさんから発破を掛けられる.ついで,KIさんが,
「FHさんは負けず嫌いだから,山頂まで登るでしょう」
と予言する.
私は,
”あれっ! 俺って,負けず嫌いだろうか?”
と自問自答する.自分の自己評価は”飽きっぽくて長続きしない正確”だと思っているのに…
9時22分,後七分坂に到着する.
坂を見上げた写真を撮る.見るだけでウンザリするが,折角,ここまで来たのだから,やっぱり花立山荘まで登ろうかと思い始める.
<花立階段>
■花立山荘
花立階段をユックリ,ユックリ登り始める.全く嫌になるほど長い登り坂である.階段の上を見ると,ウンザリするので足許だけを見て登り続ける.でも,これまで何回となく登っている所なので,足許の階段の様子を見ただけで,今どの辺りを登っているかが分かる.
もう何も考えずに自動運転のロボットのように淡々と登り続けようと心掛ける.
花立階段を8分掛けて登りきって,9時30分にようやく花立山荘に辿り着く.山荘の入口にある「氷」の幟旗に誘惑されるが,ここは我慢しておこう.
大倉からの所要時間は2時間22分,小草平からは55分も掛かっている.遅い大記録のようである.
ここが今回の最終最後の地点と決めた私は,ベンチに座り込んで5分ほど休憩を取る.
<花立山荘>
■花立山
休憩を取っている間に,何となく体力が少しばかり回復する.
”折角ここまで来たんだから,もう少し登って見るか…”
と気が変わる.
9時35分,花立山荘から花立山を目指して登り始める.登り始めの階段道が,私には死ぬほど辛い.この階段を登り切ってガレ場に入るとホッとする.ここで後のバスで来られたMGさんが私に追い付く.
「いやあ…暑いですね.ユックリ登りましょう…」
「YDさんは御一緒では…?」
「彼女は後から来ますよ…」
…ということで,MGさんには先に行ってもらう.
MGさんが花立山山頂を通過する頃,私はやっと花立山の中腹を喘ぎながら登っている.
”この差は一体何だ!”
花立山荘から9分掛けて,やっと花立山山頂に到着する.ここまで登ればさすがに気温も涼しくなる.
今まで全く雲に隠れていた富士山が,少しだけ見え始める.私は花立山から周囲の風景を眺めながら,やっぱりここまで登ってきて良かったなと改めて思う.
<花立山山頂>
■塔ノ岳山頂
花立山を過ぎれば,もう難所はない.ユックリ歩こうが急ごうがそれほど大差ない時間で塔ノ岳山頂に到着できるはずである.
路傍に咲く可愛い花の写真を撮りながら,気楽に登り続ける.
9時51分,金冷シを通過する.
金冷シから最初の長い登り階段の途中で,下山してくるTGさんとすれ違う.さらに,2番目の階段で,同じく下山してくるYSさんとすれ違う.
余りに遅い私に,YSさんは訝りながら,
「今日はどうしたんですか…?」
と言う.
「いやあ~…,今日は蒸し暑くて参りました…」
シンドイ思いをして最後の階段をやっと登って,10時12分に塔ノ岳山頂に到着する.山頂の気温は21℃.かなり高温である.
山頂では,もうとっくに到着したMGさんが待っている.
大倉からの所要時間は3時間18分.何とも冴えない.私の最低記録である.花立山荘から42分もかかっている.
山頂で暫く休んでいると,次第に寒くなる.
<塔ノ岳山頂>
■山頂の野良ネコ
登山客の間でウロウロしている白い野良ネコが居る.登山客から食べ物を貰うのか丸々と良く太っている.
尊仏山荘に立ち寄ろうか…どうしようと迷っていたが,ここでネコの写真が撮れたので,尊仏山荘には立ち寄らずに,このまま下山することにする.
<塔ノ岳山頂のネコ>
■ノロノロと下山する
10時20分,MGさんと一緒に下山開始.
丁度そのときISIさん,TNさんのグループが疾風のように私を追い越して下山していく.疲労感のある私は到底そんな速い速度にはついて行けないので,見送るしかない.それに昨年痛めた半月板が悪化したら元も子もなくなる.私は,大倉13時11分発のバスに間に合うように,下り続ける.
山頂直下の木道で登って来るFTさんとすれ違う.
「FHさん,ずいぶん速いですね」
「速くないですよ…」
「でも,この時間に下山するんですから速いですよ…」
私は,”まあ…いいや,そういうことにしておこう”
ということでお別れする.
登って来る沢山の登山者とすれ違いながらの下山である.若い学生のグループも何組か登ってくる.
11時40分,やっと小草平まで辿り着く.
堀山の家の女主人が外に居られる.
「今日は,ちょっと遅くなったので寄らずに下山します…」
と挨拶して通過する.
小草平を過ぎるとだんだんと蒸し暑くなり始める.
12時35分,観音茶屋に到着する.ここで氷水を飲みたいところだが時間がないので,ここも通過して,12時50分,ようやくバス停大倉に到着する.舗装道路が焼け付いていて暑いのなんのって…
■大船のそよ風にホッとする
予定通り大倉発13時11分のバスに乗車する.
渋沢から小田急線で小田原へ.小田原から特別快速新宿行の電車に乗車する.14時32分,大船に到着する.
大船駅前に降りたつ.心地よい海風が吹いている.とにかく涼しい.
”やっぱり湘南地方の気候は最高だな”
と実感する.
大船から路線バスを使って帰宅.
体中が疲れ切っている.シャワーを浴びて,すぐに昼寝.知らぬ間に夕方19時頃まで寝入ってしまう.
今回は蒸し暑さのため,難行苦行の山旅だった.
<ラップタイム>
6:54 大倉歩きだし
7:17 観音茶屋
7:34 見晴茶屋
8:10 駒止茶屋
8:32 小草平(堀山の家)(8:35まで休憩)
9:30 花立山荘(9:35まで休憩)
9:51 金冷シ
10:12 塔ノ岳山頂着
10:20 〃 発
10:50 花立山荘
11:29 小草平(堀山の家)
11:48 駒止茶屋
12:18 見晴茶屋
12:35 観音茶屋
12:50 大倉着
[山行記録]
■水平歩行距離 7.0km
■累積登攀下降高度 1,269m
■登り所要時間(休憩時間を含む)
大倉発 6:54
塔ノ岳山頂着 10:12
(所要時間) 3時間18分(3.30h)
水平歩行速度 7.0km/3.30h=2.12km/h
登攀速度 1,269m/3.30h=384.5m/h
■下り所要時間(休憩時間を含む)
塔ノ岳山頂発 10:20
大倉着 12:50
(所要時間) 2時間30分(2.50h)
水平歩行速度 7.0km/2.50h=2.80km/h
下降速度 1,269m/2.50h =507.6m/h
(おわり)
「丹沢の山旅」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/ba3d14cac1e26cac263cd1916e2467ef
「丹沢の山旅」の次回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/81674d059af12779d1cb1dc14545eba4
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