前号の判例(苫米地事件)の上告審において、衆議院の解散は違憲審査の対象となるかが争点として争われた。(最大判昭和35年6月8日民集14巻7号1206頁)
判決は、「衆議院の解散は違憲審査の対象とならない」と判示し、原告側の上告棄却で原告の敗訴が確定した。
判決文において
「現実に行われた衆議院の解散が、その依処する憲法の条章について適用を誤った故に、法律上無効であるかどうか、これを行うにつき憲法上必要とせられる内閣の助言と承認に瑕疵があったが故に無効であるかどうかのごときことは裁判所の審査権に服しない」
「かかる国家行為は裁判所の審査権の外にあり、その判断は主権者たる国民に対して政治的責任を負うところの政府、国会等の政治部門の判断に委され、最終的には国民の政治判断に委ねられているものと解すべきである」
「衆議院の解散は、・・・その国法上の意義は重大であるのみならず、・・・その政治上の意義もまた極めて重大である。すなわち衆議院の解散は、極めて政治性の高い国家統治の基本に関する行為であって、かくのごとき行為について、その法律上の有効無効を審査することは司法裁判所の権限の外にありと解すべきことは既に前段説示するところによってあきらかである」
☆果たして今回の憲法第7条による衆議院の解散は、主権者たる国民がどうとらえて判断していくのか関心をもって注目をして参りたいと思います。