今日9月28日衆議院が「日本国憲法7条により解散」されたが、憲法7条のみの解散が合憲か違憲かを判示した判例があるのでここで書いてみます。
判例(東京高判昭和29年9月22日行裁例集5巻9号2128頁)より
①解散権の所在並びに②解散権行使の要件を下記の通り判示し、憲法7条のみによる解散を合憲とした。
①衆議院を解散し得るものは、主権を有する総体としての国民の外にはあり得ないはずである。憲法7条は、天皇が内閣の助言と承認とによって『国民の為に』為す国事に関する行為の中に『衆議院を解散すること』を挙げているが、その趣旨は憲法1条によって国民の総意に基づき日本国の象徴であり、日本国民統合の象徴であるとされている天皇に、・・・天皇をして政治上の責任を負う内閣の助言と承認の下にこれを行使せしめんとするにあると解する。
②憲法69条は、憲法7条と対立する規定でもなければ、所定の場合に限り解散ができるとする趣旨の規定でもない。解散は変遷する事態を政治的に判断してなされるべきもので、・・・その解散権の行使は法規により一義的に拘束するには不適当な事柄である。その解散が妥当であったか否かの如きは固より裁判所の判断の対象となるものではないとして、衆議院で内閣の不信任決議案の可決も信任決議案の否決もないのに本件解散が行われたかといって、本件解散が憲法に違反するものとはいえない。