31日昼過ぎの小田原から見る箱根。湿った南西からの気流が箱根で雲を発生させている。
小田原アメダスの12時20分の気温は34.7℃。 1分毎の記録では、最高気温は35℃に達して
いるかもしれない。内陸の海老名では35℃を越えたが、海沿いの三浦や辻堂では31~32℃の
最高気温だった。山越え気流によるフェーン現象が発生したと思われる。
31日昼過ぎ、気象庁発表の72時間先3日9時(日本時間)の予想天気図(数値予報図)。
上側の500hPa気圧の高度を予測した高層天気図では、朝鮮半島北部から沿海州に、
上空の寒気を伴った気圧の谷(寒冷渦)がある。この寒冷渦は30日頃からこの場所に現れ、
ゆっくり東へ移動している。寒冷渦の南東側では南からの暖湿気流が集まり(収束)し、
前線や低気圧が発生し、大気の状態は不安定となる。台風15号もこの前線に取り込まれた。
この寒冷渦は4日ごろにかけて日本海へとゆっくり移動する予想。それまでは寒冷渦の
南東側になる東日本は前線が停滞しやすく、不安定な大気の状態が続きそうだ。
* * *
30日から、気象庁は『特別警報』を発表するようになった。
『特別警報は、これまでの警報の発表基準をはるかに超える現象が予想され、重大災害の
危険性が著しく高まっている場合に発表し、特別警報が発表されたら最大限の警戒が必要。
直ちに身を守るために最善を尽くしてください。(気象庁)』
危険な状況が迫っているときに、避難勧告や避難指示は自治体(警察、消防)によりだされる。
しかし、最終的に自らの安全確保を図るのは個人である。暴風雨の際、確実に住民に
情報伝えられるのか、また、暴風雨、冠水・浸水の際の避難行動がかえって危険ではないか、
などいろいろと課題はあるが、避難行動を遅らせる要因のひとつに、『リスクに対してかかる
バイアス』がある。バイアスとは「自らに都合の良いことは、自らに確率を高く思い込ませ、逆に
都合の悪いことやリスクはその発生確率を小さく評価してしまう」ことだが、ギャンブルでは、
勝てる確率を実際より高く思い込むというバイアスにより深みにはまってしまうことがある。逆に、
体の変調に気がついたとき、重い病の前兆であるにもかかわらず、『たいしたことはない、
疲れだ・・』と、症状を軽く思い込ませるバイアスが働き、治療が手遅れになる。
そして、警報が発表されたとき、「これまで警報が発表されても災害が発生したことはない。」
「このくらいならまだ大丈夫。」などリスクを小さく思い込む(思い込ませる)バイアスがかかり、
そのため、避難行動が遅れてしまうことが多くあるようだ。後で笑って済ませることのできる
リスクと、取り返しのつかないことになるリスクをしっかり区別し、行動を起こさなくてはならない。
カレー専門店で『特辛』のうえに『激辛』があると、かなり辛いはずの『特辛』の存在感が希薄になる。
『特別警報』が発表されるようになっても、『警報』発表の重みはこれまで通りに受け止め、早めの
『身の安全確保』を図らなくてはならない。