
突然ですが、5/19(土)・20(日)にfinger marksにて春のイベント「工場大開放Festival」を開催します!
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イベントでは、初の試みとなる「ものづくり体験付き!工場見学ツアー」をはじめ、
前回好評だった「家具の修理&リメイク相談会」も開催。
そして相談会では、イベント期間中のみ、なんと在庫張地を無料でご提供!
椅子の張り替えをご検討中の方必見です!
また、椅子の張り替えをその場でご成約いただいたお客さまには、
ご希望の場合、職人がその場で椅子の座面をはがして中身をご覧いただくこともできます。
”長年使ってきた自分の椅子の中身を見る”、滅多にないチャンスです!
さらに「自分ではがしてみたい!」という方は、『座面はがし体験』も可能ですよ。
そんなわけで今回は、一足先に、椅子の中身をご覧いただこうと思います。
今回ご紹介するのは、最近張り替えなど修理のご依頼が多い、「バネ仕様」の椅子。

左が修理前、右が修理後。
バネ仕様の椅子は、こんもりと盛り上がった高さのたっぷりとある座面が特徴ですが、
修理前の座面は、盛り上がりのラインがいびつになってしまっています。

一番上の紺色の生地と、「土手」と呼ばれる”縁”をはがしたところ。
麻布の下にバネが隠れているのが見えます。

麻布をはがすと、バネが姿を現しました。
バネは「バラバネ」と呼ばれる、バネがひとつひとつ単体で独立しているタイプのもの。
いくつかのバネがセットになって周りが針金で固定された「セットスプリング」というものもあります。
椅子の座面をバネで張る技法は18世紀末期にヨーロッパで生まれ、
その後改良や工夫が重ねられたといわれています。
座面がいびつにへたっていたのは、中身のバネが折れていたのと、
バネを固定している「バネ糸」が劣化により切れてしまい、バネが正しい位置に収まっていなかったことが原因とのこと。

古いバネ糸を外し、バネとその下の麻テープも取り除き、
新しい麻テープに張り替えました。

麻テープの上にバネを置く位置を決めます。
上から力が加えられていない状態のバネって、こんなに高さがあるのですね・・!
今回の椅子のバネは4つ。
バネの数は、椅子の大きさや、座り心地をどんなふうにするかによっても変わるそうです。

椅子張り歴45年の大ベテラン職人タカイが、工場一の若手職人ウエシマに、熟練の技を伝承中。
数えきれないほどの古い椅子を修理してきたタカイの知識と技が、次世代にもきちんと受け継がれていくことで、
この先もまたずっと、どんな家具も修理し続けることができます。

バネ糸でバネを固定したところ。
蜘蛛の巣のように張られたバネ糸は、ラミシンという素材でできた太めの糸を5本撚ってつくられた丈夫なもの。
表面にはすべりをよくするためにロウが塗られているそうです。
頑丈で弾力のあるバネに強固な糸をかけていく作業はとても力が必要で、
若く体力もじゅうぶんなウエシマでも苦労する作業だそうです。

バネの上に、麻布を張り、

「土手」と呼ばれる縁を取り付けたところ。

土手もボロボロだったので、中身の藁も新しいもので作り直しました。
土手は、麻布で藁を巻いて作ります。
椅子張り場に藁。
初めて見たときは牧歌的な光景にびっくりしましたが、今ではすっかり見慣れた光景です。

ここからは、「いかにお尻へのバネの当たり具合を和らげられるか」が問われる作業。
まず麻布の上に、チップウレタンと呼ばれる硬めのウレタンを張り、

その上に、やわらかく粘りのあるウレタンを張ります。
2種類のウレタンを重ねることで、お尻をやわらかく受け止めつつ、沈み込みすぎない絶妙な座り心地に仕上がります。

そして最後に生地を張り、縁に連鋲をずらりと打って、ようやく完成です!
実は中にいろんなものが詰まっていた、バネ仕様の椅子、いかがでしたか?
バネの耐久性はだいたい40年といわれていて、30年ほど経った頃からだんだんとバネが柔らかくなってくるのだとか。
高度な職人技が求められる、バネ仕様の椅子。
最近はほとんどなくなりましたが、まだ一部の高級な椅子では使われているのだそうです。
中身を知ることで、よりいっそう椅子への愛情が深まるかもしれません。
「ちょうど張り替えたい椅子がある、椅子の中身が見てみたい!」
という方は、ぜひ来月のイベントにてご相談くださいね!
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