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CIRCUS, CIRCUS & CIRCUS

FOR LONELY HEROINES & BROKEN HEROES……目指せ、甲斐バンド全曲解説!

英雄と悪漢/04 裏切りの街角

2007-09-23 | album:英雄と悪漢

本作「英雄と悪漢」は、2曲目に「東京の冷たい壁にもたれて」というタイトルを持つ曲があるために錯覚しがちだが、実はあまり「都会の気配」はしないアルバムだ。もちろん、舞台は福岡、と限定はできないけれど、地方都市を舞台にしている感じ。この「裏切りの街角」にしても、むしろ曲中の女性は舞台の街から東京へ向かったのだろう。

さて、この曲は2枚目のシングルにして初のヒットをはなったことで有名な曲である。元ネタはキンクスの「The Village Green」。ただイントロのギターのフレーズは、あくまでも憶測だけどCCRの「Feelin' Blue」をベースしているように思う。いずれにしろ、こうしたちょっと渋めの音のモチーフに、やたらと歌謡曲的な歌をのせた試みは、見方によっては本曲をこの時点における一種の実験作ととらえることができるかもしれない。しかし、こうした「実験」は後に「ダニーボーイに耳をふさいで」「氷のくちびる」などの代表作を生み出す、甲斐バンドの一つの方向性へとつながっていく。

その歌詞の内容はというと、二人が過ごした街を出て行こうとする恋人を追って駅のホームまで行くんだけど、結局彼女は行ってしまった、というあまりにもわかりやすいお話である。わからないのは、ここまでベタな別れの曲が、なぜ年末の賞レースにノミネートされるまでのヒットになったのか、ということだ。この曲、よく出来てると言えば出来てるし、「HERO」以降のビジネス的にもBIGになった甲斐バンドを知る者が振り返れば、その「青さ」もほほえましいけれど、なんか優等生っぽいというか、あまりにもきっちりと出来すぎててつまらなくないかな?それとも「わかってたよ 俺らじゃだめさ」のように「僕」でなく「俺ら」と歌うことで、当時は十分「叙情派フォーク」や「歌謡曲」に反するスタンスでいられたんだろうか。正直なところ、この曲の魅力がよくわからない。いや、決して悪い曲とは思わないけれど、甲斐バンドの全ての曲の中でみると、そつなく作りこんだ感じがいまひとつつまらなさになっているような何と言うか。

ちなみに、YouYubeにこの頃彼らがテレビ番組で「裏切りの街角」演奏した映像などがときどきアップされている。「Story Of Us」にも収められた異様に前髪を短く切った甲斐よしひろの映像も一曲まるまる見られたりする。間奏では甲斐と大森信和がツインリードを弾いていたりして、なんか微笑ましいです。


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