日々・戯言の叫び

感じた事とか色々、表に出せない事を吐き出す独り善がりで嘘つきな日記

新しい靴を買いに行こう

2016-04-23 21:32:11 | 小ネタ
まぁ春だしね。そろそろね。
スニーカー系です。紐靴好き。でも履きにくいのは嫌。
こだわりなんか無いけど、普段使うものだから履き心地って大事だと思うの。
明日でも行こうかな。ちょっと天気悪いみたいだけど。
髪の毛も切ってさっぱり!
本日も二次創作なあれ。

後ろが長いのはいいけど前髪長いのは無理! 邪魔!!
でも切りに行くのは面倒で、だから伸びるの。
そうしてギリギリまで我慢する。
だってー、めんどうだしぃ。


BBB。
斗流弟子のどっちかが女の子の話。


傾ぐガンダルヴァ



番え。子を生せ。


かつて、師匠である裸獣に言われた。

カグツチを継承した己とシナトベを継承予定の二番弟子。

どこからか連れてこられた半魚人はツェッドと言うらしい。

顔を合わせて数日後、そんな爆弾発言が降ってきた。

幸いと言うべきか、あるいは不幸というべきか。

二人の性別は異なっている。だからといって子を生せとなる辺り師匠の頭の中身も大概心配だ。口に出せば仕置きを受けるのは確定なので黙っているが。

自分と同じ二重属性使いを育てたいとか、斗流血法を完璧な形で伝えたいとかそんなものではないだろう。

このジジィは単に自分の鍛錬相手が欲しいのだ。同じ二重属性使いならば確かに他よりは希望があるかもしれない。

しかし産まれてすぐに相手になるわけも無く、やはり鍛えなくては成らず。いつまで生きる気だ、この雑巾ジジィが。

ザップはもはや突拍子も無い師の言動には慣れっこだったが連れてこられたばかりの半魚人には刺激が強すぎやしないか、と内心思ったものだ。

が、当の本人は一番弟子の僅かばかりの哀れみと労わりの視線など気付かず至極普通に頷いたのだ。

「はい、わかりました」

コレに面食らったのはザップの方。

地獄に堕ちた方がまだ優しいと思えるほど恐ろしい修行を課すこの人間からかけ離れた人間最強の台詞に一切の躊躇いも無く頷けるなんて、こいつの頭はおかしい! 真剣にそう思った。

それでもまぁ、初めて出来た後輩弟子。

寛大な心で可愛がってやろうではないかとも思う。

一番弟子たる自分に口答えする生意気な奴だが、泣き言一つ零さず修行についていく根性は認めてやらんこともない。

ザップ自身は否定するがもう一人弟子が増えたことでプライドが刺激されたのか、以前よりも修行に力を入れるようになり脱走の回数も減った。

ツェッドより上でないと気がすまないらしく何かにつけて突っかかっていっていき、ツェッドもザップに負けたくないのか売り言葉に買い言葉で血法を使っての喧嘩になって、最終的に師匠の鉄拳制裁で収まる。

その繰り返しでしかしいがみ合っているようで、それでも弟子たちの仲は険悪ではない。

ザップはひねくれた態度ながらもツェッドの面倒を見ているし、ツェッドはザップに皮肉を言いながらもその実力には敬意を抱いている。

ただ単にお互いに対してだけ妙に素直ではないのだ。

それでも同じ血法を学ぶもの同士の気安さか、獣の仔のようにじゃれあうこともある。

綺麗な泉での水浴びに樹上の木の実の取り合い、落石の激しい崖での追いかけっこ。雪山に放り出されれば寒さを少しでも和らげるために身を寄せ合う。

お互いの身体の違いが面白くて触れ合うこともよくあった。

「うひゃひゃひゃひゃ! 何これしっとり葛餅肌! ジャパニーズスイーツ肌、この半透明ボディめ!!」

「意味が解りません。ちょっとやめてください! 痛いですってば」

「うるせー、口答えすんなぴちぴち魚類! へー、お前のこここうなってんだなぁ」

「僕は人類じゃないですからね。貴方とはやっぱり違いますよ。そもそも性別も違いますし」

「ふーん、なぁもっと見せろよ」

「嫌ですよ、だからやめて下さいって! あ、ちょっ!?」

最近寝床にしている洞窟。敷き詰めた適度に乾燥し暖かい草の上でほとんど裸の状態で絡まりあうなんて日常茶飯事。

性別の違いは知っているが環境が環境なため常識を学べる機会はほとんど無く、師匠に叱られない限り許容範囲なのだと彼らは認識してしまう。

結果としてお互いに対しては羞恥心だとかデリカシーだとかの人として大切なものが上手く機能しなくなった。

もっとも、彼ら自身はそんなこと微塵も気付いていない。比較対象がいないということは時に悲劇を生む。

そんなこんなでしばらく経ったある日、ザップは唐突に放り出された。そりゃもう簡単にぺいっと放られた。あるいは売られた? ザップ本人はこれに近いと半ば本気で思っている。何せ血闘神はその業界では名が知られたどころではなく大人物、生ける伝説。

その弟子ならば喉から手が出るほど欲しいという奴はいくらでもいるだろう。師匠にはまだまだ未熟とそれはもう真似できないほどとても高尚な表現で言われるが。

――大崩落。

たった一晩でニューヨークと呼ばれた街が消え失せ、再構築されると言う未曾有の大事件。世界を揺るがす大珍事。そして混ざり合うこちら側とあちら側。永遠の虚から溢れる有象無象。霧の結界は全てを押しとめたがそれは溢れるそれらを全て一つの街へと押し込めただけ。

新たにヘルサレムズ・ロットと名付けられ、地図にもそう記されることとなったその場所では毎日が異変と怪異と狂乱のオンパレード!

牙狩りはそれを看過せず、世界の天秤を護るために新たな組織を置くことに決定した。

それが秘密結社ライブラ。

そこへの所属を打診され、師匠はあっさりザップを差し出したのだ。

自由でいたいとか、どこの中二だ。

思わず口にして死に掛けた。

「あのじじぃ、いつかころす」

「返り討ちにあうのが関の山ですね」

魚類も許さん。

かくして秘境から野に放たれたザップの奔放な人格とカオス極まるヘルサレムズ・ロットの相性が良かったのだろう。むしろ良すぎたのだろう。これ以上無いくらいに歯車が噛み合ったのだろう。

様々な彩に溢れたこの街でそれはもう自分に正直に生きた。底辺と低俗と下世話と安直と悦楽に人間の持つ欲求のままに従った。制御? 理性? なにそれおいしいの?と言う具合だ。

あっという間に上司からして「度し難い人間の屑」と評されるまでに成り果てた。

博打に酒に薬にセックス。欲望の塊に溺れに溺れた。好きなだけ怠惰に貪った。

色んな相手と身体を重ねるのは楽しかった。修羅場を起こすことは多々あったがそれでも懲りるなんて考えザップの脳みそには浮かびやしない。

ただし避妊だけはした。それだけはザップを知る者からしたら意外なほどにしっかりと備えていた。

子供が出来るのは面倒というのが表向き理由。

本音としては、己が子を生すならその相手はクソ生意気な二番弟子でなければならないから。

それから三年。

嵐が雷雲を孕むように、雨を導くように。

前触れもなく姿を現した師匠が二番弟子を置いていった。

いきなりの展開でザップもツェッドも、ましてや師匠の性格を知らないライブラメンバーも面食らうを通り越して呆然として。それでも新たな戦力として受け入れた。と言うか、選択肢は無かった。

ツェッドがここに残された理由をザップは知っている。ツェッドも自身が置き去りにされた理由を解っている。

だからお互い顔を見合わせて、溜息を零した。

師匠との修行よりはまだ易しく、されど死に易いこの街にツェッドが馴染むのを待って二人は身体を重ねようとして、気付いた。

果たして子供は出来るのだろうか?

ツェッドは人間と魚の交配種。鰓呼吸の時点でわかりきっているが体の構造が人間とは違う。

子を生すことは可能か否か。

仲間には隠れて医者に行った。

結果、問題なく子供を作れるとお墨付きを貰った。

そうして孕みやすい時期を狙い、二人はようやく身体を重ねた。


「ふーんそれでここで!ライブラのオフィスで!ツェッドの水槽前のソファでがっつりヤってヤリ疲れて朝まですっかり寝こけて真っ裸で!寝こけて!植物の世話をするためにやってきたクラウスが君達のあられもない姿を見て乙女のような悲鳴を上げたクラウスが!そのまま卒倒したんだよね?いやね別にいいんだよ君たちがどういう関係でもナニをしようともいいんだよ?でもね本当にねヤルならヤルで場所を考えてくれないかな?ここオフィスだから仕事場だからラブホテルじゃないからクラウスにトラウマが出来たらどうしてくれるお前ら」

「すいませんっす」

「申し訳ありません」

氷結による強制正座中の二人は血の気の引いた顔のまま素直に頭を下げた。
真正面には仁王立ちのスティーブン。
ニコニコ笑っているはずなのに背後にはっきり暗黒オーラが見える。あと般若とかサタンぽいものも見える。おかしいな、神々の義眼なんて持ってないのに。
その後ろから成り行きを見守っているレオナルドたちも若干引いている。
それはザップたちにか、はたまた暗黒を背負うスティーブンにかはわからないが。

「お前がいつまでも寝てるからだぞ、魚類」

「何言ってるんですかそもそも貴方があんな所で盛るから。僕は場所を変えようって言いましたよ?」

「ああ!? 俺の所為だって言うのかよ、いい子ちゃんぶるんじゃねーよ! お前だって乗り気だったくせに」

「僕は事実を口にしているだけです、だいたい貴方はいつも・・・」

「この葛餅魚類が、今日こそお前に敬う心っていうもんをな・・・!」

「ザーップ? ツェーッド? 反省が見られないようだなぁ?」

カッ。
スティーブンの靴底が硬質な音を立てる。
ひっ。息を呑んだのは誰だったか。

「「ごめんなさい」」

斗流弟子はとても綺麗にシンクロした土下座を披露する。
勿論それで許されるわけも無く。
笑っているが目がまったく笑っていない絶対零度の怒りに燃えるスティーブンに氷漬けにされたのはただの自業自得。

「お前ら、次は無いと思えよ?」

「「肝に銘じておきます!!」」

地獄ような副官の視線に、冷や汗すら凍りついた二人は声を揃えたのだった。

その後、ライブラメンバーは開き直ったのか、やたらオープンになってしまった二人に振り回されることになる辺りあんまり反省はしていないのだろう。


愛する御手はここに有り! 狂騒抱擁、貴方とならば地獄の果てまでも!!

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