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本と音楽とねこと

母という呪縛 娘という牢獄

齊藤彩,2022,母という呪縛 娘という牢獄,講談社.(8.26.23)

 母を殺害し、遺体を解体して遺棄した娘。母と娘の間になにがあったのか、著者は、懲役10年の実刑判決を受けた女性と面談し、往復書簡を交わしたうえで、その真相に迫る。
 読後にざらざらした後味の悪さが残る作品だ。殺人は正当化できないとしても、毒親から逃れようとした女性を探偵を使って探し出し連れ戻す、虐待加害者であった毒親、その気分が悪くなるほどの毒々しさは、加害者には母親を殺すしかなかったのではないかと思わせるにじゅうぶんなものだ。
 殺害された母親の言動が下手なホラー小説を読むより怖ろしい。おすすめである。

2018年3月、滋賀・守山市野洲川の河川敷で、両手、両足、頭部を切断された体幹部だけの遺体が発見された。遺体は激しく腐敗しており、人間のものか動物のものかさえ判別が難しかったが、その後の捜査で、近所に住む58歳の女性のものと判明する。女性は20年以上前に夫と別居し、31歳の娘と二人暮らしで、進学校出身の娘は医学部合格を目指して9年間もの浪人生活を経験していた。警察は6月、死体遺棄容疑で娘を逮捕する。いったい二人の間に何があったのか―。司法記者出身のライターが、獄中の娘と交わした膨大な量の往復書簡をもとにつづる、渾身のノンフィクション。

目次
序章 面会の日
第1章 懲役一五年
第2章 モンスターを倒した
第3章 母と娘
第4章 詰問、罵倒、蒸し返し
第5章 医学部目指して
第6章 「娘は合格しました」
第7章 九年の浪人生活
第8章 助産師になりなさい
第9章 黄色いコップ
第10章 家族だから
終章 二度目の囚人

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