本と音楽とねこと

グローバル・ソシオロジーⅠ・Ⅱ





ロビン・コーエン、ポール・ケネディ(山之内靖監訳),2003,グローバル・ソシオロジーⅠ 格差と亀裂、同Ⅱ ダイナミクスと挑戦,平凡社.(10.15.2019)

 16年前に出版された本であるが、筆者たちの対象・領域を自在に横断する「総合社会学」的な論述は、爽快でさえある。しかも、ここまで平易に論じ切るのはすばらしい。
 あえて難点を挙げれば、山之内氏が指摘しているとおり、縦断的・通歴史的な問題意識が希薄であることだ。
 先進産業社会における貧困層の増大、国境を越える労働力移動の増大と移民排斥・「外国人」排除運動の拡大、金融危機と反グローバリズム運動の活性化、イギリスにおけるニューレイバー、日本における民主党政権の挫折に象徴される社会民主主義勢力の後退とさらなるネオリベラリズムの席巻、といった社会事象を、本書で描かれた「世界地図」上に通歴史的な観点から適切に落とし込む知的作業が必要とされていることをあらためて感した。

目次

第1部 解釈の基準
グローバル・ソシオロジーへの招待
グローバルに考える
モダニティと世界社会の進化
変貌する労働の世界
ネーションフッドと国民国家
第2部 格差と亀裂
グローバルな不平等―ジェンダー、人種、階級
超国籍企業―その経済的・社会的役割
不均等発展―その犠牲者
グローバルな統制の失敗
アジア太平洋地域―奇跡からまぼろしへ?

第3部 経験の変容
人口圧力と移民
観光―その社会的・文化的影響
消費文化
メディアとコミュニケーション
都市生活
第4部 ダイナミクスと挑戦
社会運動の解読
ジェンダー化された世界への挑戦
持続可能な未来へ―環境運動
アイデンティティと帰属
グローバル社会へ―ユートピアかディストピアか?)

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