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イタンデイコウ!

ひっそりたたずむ、設備たち

卒業!金谷ホテル 2

2022年01月10日 | 暖房
まずは部屋についたら荷解きの前に家具移動させて、撮影。
今回の部屋は家具が多め(笑)






三柱13節の床置き全景。



マークは確かにナイアガラ社。





上には角のように「棒」が突き出ている。



これはねじ止めではなく、溶接で留めたようだ。


卒業!金谷ホテル

2022年01月09日 | 暖房
本格的な冬の到来で楽しみなのが、ラジエーター暖房が
稼働しているホテルである。8月に会社から「クビ」とか
言われて
迷ったが、気分転換に日光金谷ホテルに行ってきた。
この日だけ雪予報だったので、特急スペーシアでGО!




指定席が先頭車両の最前列。東武日光に着く直前に
後ろを振り返ったら、誰もいなかった。そこそこ
乗っていた客は鬼怒川温泉方面に行ったのだろう。




今年は「ラジエーター暖房の使える部屋」をお願いしていた。
案内されたのは11号室。そこは去年泊まった部屋だよ。




なのでわがままを言って、14号室に部屋を替えてもらった。
金谷ホテルさま、ありがとうございました。




なぜならば、11号室のナイアガラ社の壁掛けは去年は
温かくならなかったから。
新たに部屋を2つ提示されたが、この部屋を選んだのは
ラジエーターがナイアガラ社の床置きだったから。




部屋のベッドはダブル。本館に2室しかないそうだ。





金谷ホテルのチャレンジ精神

2022年01月04日 | 暖房
「節」が多い床置きの放熱器には中足を付けるが、
床置きより更に難しかったのが、「壁に掛ける」ことだろう。
放熱器の荷重(自重)を「壁」でもたせる構造なので、
床置きに比べて採用例は少ないが、中でも木造に設置
したとなると圧倒的に少ない。壁掛放熱器を採用している
金谷ホテルは本館・別館とも木造である。

壁掛はブラケットという部材を用いて固定する。






壁に掛ける放熱器は、壁掛用に作られたものもあるが、
ナイアガラのブラケットのカタログを見ると、床置きを壁に
つけることも可能だ。ただしその大きさから重量的に不利なのは
否めない。しかしそれにチャレンジしたのがバスルーム。
壁に掛かっているのは、2柱6節の床置きである。




日本放熱器工業組合が発行した「鋳鉄製放熱器」によると
壁掛放熱器のブラケットの数は
14枚まで 2個
15枚以上 3個 とあり、目安をクリアしている。

壁掛用放熱器を文字通り、壁に掛けたのがこちら。




節が42枚なのでブラケットは3つ。正解である。壁掛は
床置きより軽いとはいえ、やはり不具合が出てくるようで




目安どおりブラケットを3個使用しているが、保持できなく
なったのか、上からつかむ部品を2個追加している。
この部品はカタログにないので、オリジナルで製作したものと
思われるが、驚くほど美しくない。せめて木の部分はシルバーでは
なく、色を調合してほしかったな。

やっぱり美しくないのはよくないよね~、という解決方法を
とったのが食堂の放熱器。




これは42節あるが、ブラケットが一つしか見当たらない。
どうやって保持しているのかと床を覗くと




放熱器の径に応じてくり抜いた木台を2ヶ所にかませていた。
食堂に床置きを設置しても何の問題もない。ただ多少目障りなだけである。
くつろいで食事をする場所に壁掛を採用したのがテーテンスの美意識だと
したら、それを保守して継承する金谷ホテルもすごいのである。




抜き足 中足 忍び足

2022年01月03日 | 暖房
ぽつんと置かれた単体の放熱器のイメージは、こんな感じか。



鋳鉄製の放熱器は戦前は日本標準規格(JES)第76号で、
戦後は日本工業規格(JIS)A4001で規格化されていた。
しかしどちらの規格にも基準になかったのが「重量」。
そこまで決められたら製造に差し障るのであろう。

では販売者のカタログにはデータが掲載されているのか、と
見てみると、国産放熱器、高砂鉄工、日本放熱器製作所とも
重量の掲載はない。でも見た目で自重がありそうだ。
放熱器の1枚、「節」を増やすとこの自重で接合部に荷重が
かかり、接合のズレや沈む可能性がある。この防止に「中足」と
いうものを入れるが、なんのことはない端部にある足付きの
節である。上の写真のタイプに中足を付けたのがこれ。




昭和10年に日本放熱器工業組合が発行した鋳鉄製放熱器に
よると(本=節のこと)
20本以上 中足1本
31本以上 中足2本 と記されており、目安のようである。
すると上の写真は24節なので、正解である。
附表目次に「放熱器重量表」とあるので、コピーしてこよう。

この節を多くした放熱器は単体に比べると多くはない。
で、金谷ホテルである。




これは23節あり、中足1本。次はもっと長い



39節である。31節以上は中足2本と、目安どおりである。
しかしクラシックホテルで他の客がいなくなってから「節」を
数えているとか、自分でも正気じゃねえなと思うよ。
そんな正気じゃないものが、館内にある別システムの暖房。




このプラグはエンペラーでおなじみの本山製作所。
小さい中に自社が書きたい情報を、全部入れているよ(笑)



気まずくても、金谷ホテル

2022年01月02日 | 暖房
去年の正月休みに泊まる予定で、部屋のラジエーターを
「ナイアガラの壁掛」と指定して予約したら、用意された部屋が
国産の床置きだったので、ブチ切れて帰ってきた。

その後、どこかの温泉に行こうかと考えていたのだが、
湯に浸かりながら「あ~ラジエーター暖房、見てえ!」と
結局なるんだろうなあ~と、翌月泊まるように予約を入れた。

が、もう予約センターもフロントも信用ならんので(笑)
雑誌掲載時にお世話になった担当者にメールで、コレコレと
事情を説明し、希望がかなうように手配してもらった。
実は毎年この担当者にお世話になっており、去年は自分で
始末つけるぞ!と動いたら、あのザマだった。とほほ。

とはいえ、ホテルマン数名と副支配人を巻き込んでブチ切れて
いるので、こちらの落ち度はないとはいえ、やはり多少
気まずいのである。そんな中、泊まった部屋がこちら。






まずは「お約束」の家具移動。



うおーっ!アメリカのナイアガラ社の壁掛だ。
こだわるのは、壁掛が金谷ホテルにしかないからだ(たぶん)
で、もうひとつのお約束。




この接地面積から、おそらく温まらないであろう。
というか、この部屋のラジエーター壊れていたよ(思わぬ伏兵が・・)

入口の門のそばに「金谷の時間」というコーナーができており、
ホテルにまつわる様々なものが展示されていた。






大正五年十一月の銘板がついた電話。
沖電気のサイトを見ると
明治40年5月 合資会社沖商会に改組
明治45年8月 沖電気株式会社設立
大正6年2月 沖電気、沖商会を合併 とあるので、
「合資会社沖商会」の電話は、貴重かもしれない。

もうひとつ目に留まったものがコレ。





日本乾電池と記された乾電池。
製造者は高砂工業株式会社。
大正5年6月 高砂工業株式会社 設立
大正7年 日本乾電池製造株式会社 吸収
大正12年11月 高砂工業株式会社 解散
大正12年11月 第二高砂工業株式会社 設立
ということことから、これもなかなかレアかも。
ちなみに大正12年11月に同時に設立されたのが、暖房工事を
請け負う「高砂暖房工事株式会社」とラジエーターやニュー
ラジオボイラーの製造をしていた「高砂鉄工株式会社」である。



探していないと、ものは見つかる

2021年11月14日 | 暖房
久しぶりに衛生工業便覧(昭和27年版)を開いたが、
「ひょっとして?」となったのが、奈良ホテル最後の投宿
さようならなら奈良ホテルの記事。
この中でメーカー不明の「弁」を紹介していた。




このマークって、これだよね。



それじゃこのメーカーはどこかというと
株式会社齋藤省三商店。・・・Eって、何?




広告には創業大正2年とあるが、齋藤省三はこの年に齋藤製作所を
退社し、新しく興したのが齋藤大崎工場。これが後に高砂鉄工となるが、
この広告は昭和27年の便覧に掲載されている。
高砂もそうだが、齋藤省三は活発すぎて何が何だかわからない。


ボイラーデー

2021年11月08日 | 暖房


「あのな、今日の11月8日はボイラーデーだってよ」
「ということは、ふいご祭りじゃないか~ 呑むか?」
「んなこと言って、アンタいつでも呑んでんだろ」

※ この季節になるとふと思い出す、上司たちの会話。
  ちなみに「ふいご」どころか「火気」もない職場(笑)

写真はトチセン見学時のランカシャボイラー。

あなたのお名前なんてーの?

2021年11月07日 | 暖房
以前に(社)衛生工業協会が昭和27年に発行した
「衛生工業便覧」を買ったが、




この便覧シリーズの元ネタと思われる本を買った。



THE GUIDE 1936
米国暖房換気協会?発行の本で、HVAC(ヒーバック)の方が通じるかも。
H 暖房
V 換気
AC 空気調和 の略である。日本ではこれに冷凍のRがついて
HVAC&R である。

初めて知ったが、このアメリカの協会に昭和鉄工の創業者、斎藤一の
甥の斎藤省三、北浦重之、関藤国助ら5名が会員となっている。
名前は当たり前だがローマ字表記。




え?と思ったのがSEKIDO,Kunisuke の表記。
丸の内ビルディングとあるので、これはあの関藤国助だろう。
関藤の読みを「せきとう」としていたが、本当は「せきど」なのか?
国立国会図書館典拠データ検索・提供サービスで調べると
「せきふじ」と出てくる。
うーむ、日本語難しい・・・そういえば戸籍には「読み仮名」がないが、
これを法制化する動きもあるらしい。

【結論】三機工業製、ではない 3

2021年10月31日 | 暖房
国立にあった高田邸のボイラーは「三機工業」製ではないと
結論付けたが、思い出した。
高砂鉄工のカタログを買っていたことを。




ネットで見ると今は1万円もしているが、4千円でおつりが来た。
買っといてよかった・・・
表紙をめくると




目次には「ニューラヂオボイラー」があり、本文はこれ。



脇に値段と思われる数字が書き込んであるので、購入を検討したのかもしれない。
かなり鮮明ではないが、足元のマークは絞り出したような風車のマークである。



イイダコムテン

2021年10月25日 | 暖房
新型コロナウィルスが多少落ち着いてきたので、横浜へ。
今回の目的は洋館喫茶「えの木てい」のラジエーターだ。
建物は山手234番館の隣、どちらも昭和2年頃の建築らしい。
234番館はアメラジを採用しているので、同年代に建てられた
隣家は何を採用していたのだろう、というのが今回テーマ。




中には暖炉もあり、暖房は2種類の採用。
開店してからお客さんが入るまでに見せてもらったが、山手の
人気店ゆえにお客さんが並んでおり、開店前にお願いすれば
よかった。とはいえ、えの木ていさまありがとうございました。

目的のブツはセオリーどおり窓側の設置。








今は使われていないが、塗られていてこれが限度。
コックにはCENTRALのような文字が見えるが、
はっきりしない。1階は喫茶室で飲食ができ、焼き菓子等の
お土産は2階で購入できるので2階へ上がる。2階は
予約でアフタヌーンティーが楽しめるらしい。
この部屋にラジエーターがないことは事前に聞いていたが、
部屋の手前に設置されていた。予想外の嬉しさである。






これが舶来か国産かであるが、二柱の筋。
これはどっちにもあるので、決め手とはならない。
これはアメラジ。




これが国産の二柱。



空気弁を取り付ける穴が下の方にあるから、国産か?
メーカーを示すマークは




塗られているけど、前田鉄工所のように見えなくもない。
コックは1階のものとは違う。






そこには「IIDA KOМUTEN.」とあり、岡崎市に移築した
本多邸にあったHARADAは、原田一郎の施工だったことから、
えの木ていはイイダ工務店の施工なのではないかと思われるが、
詳細は不明である。(ちょっとだけ調べたけど、いいや)