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今日は舞台の上で五十分ほど待ち時間があって、周りの皆さまの熱演に耳を傾けつつ時折、昨晩亡くなった母方の祖母のことを思い出したりしながら過ごしました。こういう時に、案外たくさんのことをすらすらと思い出せるわけではないのだなあと少し寂しい気持ちになりました。そうして出番が近付き、さあ準備となった時のことでした、ひとつ、古くて鮮明な記憶が蘇ります。それは私が小学校に上がるかどうかという頃だったと思います、ひとりで祖母の家に何日か泊まりに行った時のことでした:
「アイラブユー。英語で『あなたのことが好きです』っていう意味よ。さあ、励起君も言ってみて」
エイゴってなあに?というくらいの小さな私に "I love you." を教えようとした祖母。「あなたを愛している」と伝えてくれていたのでしょうか。そうなのでしょう。「家族を愛しなさい」ということだったかも知れない。あるいは、いつか出会う人に伝えなさい、と。
急に、大切な人を失ったのだという実感が湧き、唇を噛みました。同時に、とても励まされました。人との繋がりや関わり合いにおいて人生はとても短い。幸せな時間を共有したり、感謝の気持ちを伝えたり、恩返しをしたり、そのような機会は本当に少ない。でもそのように短くちっぽけな私の人生も、より長くて大きな「愛」のようなものの一部なのだな、と思えたのです。護られている気がしました。私が勝手にそう受け止めただけですが。奮い立つことができました。
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